有料老人ホームの闇

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「有料老人ホーム」「指定」「契約」、この3つのキーワードで何を思いつきますか?

有料老人ホームはどういったイメージですか?
私のイメージでは、有料老人ホームは『ごく一部のお金持ちを対象としたホテル』です。

今回の記事では、有料老人ホームの「闇」の部分についてを、厚生労働省の資料をもとに、自分なりに説明させていただきます。

有料老人ホームの類型

厚生労働省より公表されている「有料老人ホームの類型」には

  • 介護付き有料老人ホーム(一般型)
  • 介護付き有料老人ホーム(外部型)
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム

の4つが記載されていますが、その4つの「類型の説明」には、

  1. 「特定施設入居者生活介護の指定を受けていない」
  2. 「介護付き」
  3. 「表示」
  4. 「ません。」

という4つの言葉が共通しています。

【参考:有料老人ホームの類型

つまり、『特定施設入居者生活介護の指定を受けていない』のであれば、『介護付き』という『表示』をしてはいけ『ません。』ということなのです。

指定と設置と届出について

指定について

『指定を受けていない』指定とは、一体なんなのでしょうか?
簡単に言ってしまえば、指定とは介護保険を使うための許可のようなものです。

介護保険制度における「特定施設入居者生活介護」として、介護保険の給付対象に位置付けられている。ただし、設置の際の届出とは別に、一定の基準を満たした上で、都道府県知事の指定を受けなければならない。

【参考:厚生労働省 有料老人ホームの概要

つまり、都道府県知事の指定を受けなければ、介護保険制度の特定施設入居者生活介護にはならないが、指定を受けているのであれば、利用者は特定施設入居者生活介護のサービスを一割の自己負担で利用することができるということなのです。

設置について

「設置に当たっては都道府県知事等への届出が必要」というところまでは、他の多くの介護サービスと共通しているのですが、有料老人ホームは「設置主体は問わない」とされています。

となると、有料老人ホームの主な設置主体は、当然、民間企業となるのです。

届出について

届出をしなければ、「有料老人ホームとは認められない」とお思いでしょうが、そうでもないのです。

そのポイントは、「入居サービス」と「介護等サービス」にあります。
この二つを提供しているのであれば、要件を満たしているとされ、事業者の希望・届出の有無にかかわらず、老人福祉法の規定に則り、「有料老人ホーム」として扱われます。

そして、届出を行っていない事業者は、老人福祉法第29条第1項の規定に違反していることとなります。

届出を行っていない有料老人ホーム事業所数の推移2

有料老人ホームの届出状況の推移施設数の推移

【参考:厚生労働省 有料老人ホームの概要

「届出」をしないとどうなるの?

厚生労働省の「有料老人ホームの概要 違法ケース 1.届出を行っていない」には、

  • 「届出」を行っていない事業者は、老人福祉法第29条第1項の規定に違反していることとなる。
  • 「届出」がなければ、その有料老人ホームは行政との連携体制が不十分となる恐れがあるため、地方公共団体においては、未届施設に対する呼びかけを強化するなどの対応が必要。
  • 事業者に対しては、なぜ届出をおこなっていないのか(制度に不案内、自治体のガイドラインに不適合など)の事情も聴取し、届出の有無にかかわらず指導の対象になることを説明する必要がある。

と記載されています。

ここでのポイントは、「届出がなければ、行政との連携体制が不十分となる恐れがある」という2つ目の項目です。
これを簡単に説明すると、「届出をしなければ、誰がどこで何をしているのかがわからない」ということなのです。

では、有料老人ホームのトラブルには、どういったものがあるのでしょうか?

有料老人ホームに関するトラブルについて

ここで見ていただきたいのが、厚生労働省より公表されている「有料老人ホームに関する消費者相談」の右側の「相談内容別分類」です。

有料老人ホームに関するトラブルについて消費者相談

中でも群を抜いているのが、「契約・解除」に関してのトラブルで、次いで「価格・料金」となっています。

【参考:厚生労働省 有料老人ホームの概要

契約に関してのトラブル

有料老人ホームと特別養護老人ホームの大きな違いの1つに「利用料」が挙げられます。
特別養護老人ホームであれば、契約をしてから支払うのは月額利用料だけですが、

費用特養

有料老人ホームでは、月額利用料以外にも「入居一時金」といったものがあります。

費用2

私の知っている都内の有料老人ホームであれば、その入居一時金は1500万円以上のところが殆どです。
この入居一時金が「契約・解除に関してのトラブル」であり、有料老人ホームならではの支払方式なのです。

利用料の支払い方式

有料老人ホームによって、その支払い方式は違ってきます。

  • 全額前払い方式 :
    終身にわたって受領する家賃又はサービス費用の全部を前払金として一括して受領する方式
  • 一部前払い・一部月払い方式 :
    終身にわたって受領する家賃又はサービス費用の一部を前払いとして一括受領し、その他は月払いする方式
  • 月払い方式 :
    前払金を受領せず、家賃又はサービス費用を月払いする選択方式

【参考:有料老人ホームの類型

入居一時金

入居一時金は、上の「利用料の支払い方式」でいうところの「前払金」であり、その算出方法は、入居一時金 =(その有料老人ホームの利用料+家賃)× 期間としているところがほとんどだと思われます。

ここでの期間とは、その有料老人ホームで生活できるであろうおおよその期間で、同時に償却期間でもあります。

措置

では、ここからはタカシさんという方を例に説明させていただきます。

例:タカシさんの場合

  • 名前:タカシ
  • 年齢:85歳
  • 入居一時金:2000万
  • 償却期間:60ヵ月

タカシさんは、契約後、入居一時金2000万円を支払い、毎月定められた日に月額利用料を支払っています。

  1. タカシさんは、その有料老人ホームと契約をしてからまだ1週間ほどですが、あることをきっかけに別の有料老人ホームに行きたくなりました。こういった場合、契約のキャンセルはできないものなのでしょうか?
  2. タカシさんが、その有料老人ホームで、5年(60か月)以上生活をするようであれば、入居一時金は相殺されますが、5年未満で退居せざるを得ない場合には、入居一時金はどうなってしまうのでしょうか?

90日ルール(1)

有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、90日以内であれば、全額返金も契約のキャンセルもできるが、契約解除日までの利用期間分は受領して構わない、といったことが記載されてます。

ですが、下の図からもお分かりいただけるように、30.9%の有料老人ホームでは重要事項説明書にその記載がないのです。

さらには、この90日返還ルールは、老人福祉法には位置づけられていないため、この制度を設けていない事業者も存在しているのです。

また、前払金については、現在においても算定の基礎を書面で明示することとなっていますが、その内訳が不明確なこともあり、トラブルの原因の一つとなっているのです。

90日ルールの運用実態90日

【参考:厚生労働省 有料老人ホームの概要

前払金の保全措置(2)

老人福祉法第29条第7項の規定では、「入居一時金の返還債務の保全措置をとらなければならない」とあります。

これを簡単に説明すると、「必要になった時にちゃんと返金が出来るように銀行等への対策をしておきなさい」ということで、前払金の保全措置を講じていない事業者は、違反となるのです。

有料老人ホームの保全措置保全措置

【参考:厚生労働省 有料老人ホームの概要

まとめ

違反になっても保全措置をとらなかったり、届出をしない事業者は未だに多く存在しています。
「介護付き」と指定を受けた事業所でも、90日返還ルールを記載していなかったりと、やはり民間企業の参入は「大きな助け」でもあり「リスク」でもあります。

大切なことは、前払金があるのであれば、予めその内容・返還についてを細かく聞いておくことです。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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