データで見る高齢者向け住宅(養護老人ホームと軽費老人ホームの比較)

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養護老人ホームと軽費老人ホームの違いはご存知ですか?
正直なところ、私自身もぼんやりとしか知りませんでした。

前回の記事「データで見る高齢者向け住宅(有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の比較)」では有料老人ホームとサ高住についての比較をさせていただきました。

  • 有料老人ホーム
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(該当するもののみ)

上記の4つは介護サービスでは、特定施設入所者生活介護とされています。
詳しくは「特定施設入居者生活介護の内容とポイント」をご覧ください。

今回の記事では、養護老人ホームと軽費老人ホームの比較を厚生労働省のデータをもとに説明させていただきます。

養護老人ホームと軽費老人ホーム

養護老人ホームと軽費老人ホーム、一体何がどう違うのでしょうか?
では、まず最初に厚生労働省より公表されている資料をもとに制度の目的から見ていきます。

制度の目的を比較する

養護老人ホーム:65歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な者を入所させ、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行う措置施設。(老人福祉法第20条の4)

軽費老人ホーム:無料又は低額な料金で家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な老人を入所させ、食事の提供その他 日常生活上必要な便宜を供与する施設。(老人福祉法第20条の6)

養護老人ホームの「環境上の理由」とは、家族や住居の状況などから、その者が現在置かれている環境の下では、居宅において生活することが困難であると認められる場合 ・経済的理由とは、本人の属する世帯が生活保護を受けているか、市町村民税の所得割を課されていない場合等とされています。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

利用対象者

名前も違えば目的・概要も違い、利用の対象者も違ってきます。

  • 養護老人ホーム :市町村が設置する「入所判定委員会」により、一定の基準に基づき、措置の要否を判定
  • 軽費老人ホーム:60歳以上、家庭環境、住宅事情等の理由で在宅での生活が困難な者。 (利用者と施設長との契約による)

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

軽費老人ホームの種別

養護老人ホームに関しては、種別が存在しませんが、軽費老人ホームには4つの種別が存在しています。(平成24年度より、定員29人以下の小規模な養護老人ホームが加わりましたが、種別としては分けられていません。盲養護老人ホームも同様です。)

  1. 高齢者が車いす生活となっても自立した生活が送れるように配慮した「ケアハウス
  2. 都市部における低所得高齢者に配慮した小規模なホームである「都市型
  3. 食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する「A型」(※経過措置)
  4. 自炊を原則とする「B型」(※経過措置)

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

概要を比較する

次にそれぞれの制度の概要を比較してみます。

 養護老人ホーム軽費老人ホーム
施設数953施設2,182施設
定員数65,113人91,474人
入所者数56,860人80,561人
入所率92.0%93.4%

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

居室面積基準

養護老人ホームと軽費老人ホームの面積の比較
養護老人ホーム10.65m²以上
軽費老人ホームケアハウス21.6m²(13畳)【単身】 31.9m²(19畳)【夫婦】
都市型7.43m²/人(4.5畳) (10.65m²/人(6.5畳)が 望ましい)
A型6.6m²/人(4畳)
B型16.5m²(10畳)【単身】 24.8m²(15畳)【夫婦】

では、ここで参考までに「その他の居住系サービス」の居室面積基準も見ていきたいと思います。

その他の居住系サービスの居室面積基準の比較
特別養護老人ホーム10.65m²/人(6.5畳)
養護老人ホーム10.65m²/人(6.5畳)
認知症高齢者
グループホーム
7.43m²/人(4.5畳)
サービス付き
高齢者向け住宅
原則25m²/人(15畳) (「18m²以上20m²未満」 の物件が6割強)

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

設置にあたって

事業所の設置にあたっては、微妙な違いがあります。

養護老人ホーム:設置に当たっては、市町村は都道府県知事への届出、社会福祉法人は都道府県知事の認可が必要。

軽費老人ホーム:設置に当たって、市町村・社会福祉法人は都道府県知事への届出、他の法人は都道府県知事の許可が必要。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

介護保険との関係

養護老人ホームと軽費老人ホーム、どちらも特定施設入所者生活介護ですが、指定を受けることが可能になった経緯には若干の違いがあります。

養護老人ホーム:平成18年度より、入所者が介護保険の居宅サービスの利用が可能 ・「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」の指定を受けることが可能

軽費老人ホーム:平成12年度より、利用者が介護保険の居宅サービスの利用が可能 ・「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることが可能
平成18年度より、「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」の指定を受けることが可能

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

データで見る養護老人ホームと軽費老人ホーム

養護老人ホーム

養護老人ホームの施設数・定員数の推移

養護老人ホームの施設数・定員数の推移
定員数2

  • 養護老人ホームの施設数についてはほぼ横ばいとなっており、定員数・在所者数については減少する傾向にある。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

養護老人ホームの建物・設備の状況

★ 施設設置年と設置・全面改修からの経過年数 ★ 養護 設備の状況

★ 居室の収容人数別割合と状況 ★ 養護 居室の状況と割合

  • 開設・改修から21年以上経過した施設が約半数。全室個室の施設の割合が4割弱。
    施設の改築や改修に関する計画がある自治体は、約3割。【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

養護老人ホーム入所者の状況

★ 入所者の状況 ★ 養護 利用者の状況

★ 障害疾病の状況 ★ 養護 障害の有無

★ 養護老人ホームへの措置理由 ★ 養護 措置理由

  • 入所者の半数以上が要介護者等。入居者の4割以上が認知症日常生活自立度II以上の者。
  • 措置理由は、上位から「養護者の不在」(62.6%)、「身体機能の低下」(60.7%)、「認知機能の低下や精神的理由による社会生活困難」(59.6%)。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

養護老人ホームへの措置の状況(自治体)

入所判定の年間開催頻度養護 入所判定委員会

  • 「入所判定委員会」の年間開催頻度が「2回以下」の自治体が約半数。
  • 「入所判定委員会」で「対象者の入所措置の必要性のみを検討」している自治体が、8割以上。
  • 「予算計上人数を超えて措置を行うこと」がない自治体が6割以上。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

軽費老人ホーム

軽費老人ホームの施設数・定員数の推移

軽費老人ホームの施設数・定員数の推移

定員数

  • 軽費老人ホームについては、「ケアハウス」の類型が創設された平成元年度以降、施設数、定員数と もに増加率が顕著である。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

軽費老人ホーム・ケアハウスの種別、特定施設の指定、開設年

★ 施設の種類 ★軽費-施設の種類

特定施設入居者生活介護の指定軽費-指定

施設種類別の開設年

軽費 設置年-2

  • 特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設は、約2割。A型及びB型のほぼすべての施設は、指定を受けていない。
  • A型及びB型のほぼすべての施設は、開設から20年以上が経過。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

軽費老人ホーム・ケアハウス入居者の状況

★ 入所者の要介護度 と認知症高齢者の入所率割合 ★ 軽費 要介護度

★ 社会的保護が必要な高齢者の割合と収入ランク別割合 ★軽費 社会的保護

  • 入居者の半数以上が要介護者等。認知症高齢者の入所割合が2割以上。
  • 年収250万円以下の入所者の割合が、約9割。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

軽費老人ホーム・ケアハウスへの自治体の関わり

★ 入所者の把握状況 ★軽費 入所者の把握状況

  • 都道府県等が、入所者について「あまり把握していない」と「把握していない」割合は、7割以上。
  • 都道府県等が、「生活保護受給者の入所を認めている」割合は、8割弱。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

今後のあり方

厚生労働省からはさらに、養護老人ホームと軽費老人ホームのこれからについても言及しています。

養護老人ホームの今後のあり方

  • 施設機能の高度化 ・入所者の地域移行支援機能の強化 ・地域移行が困難な入所者への伴走型支援

軽費老人ホーム・ケアハウスの今後のあり方

  • 高齢者等に選ばれる住まい
  • 地域ニーズに沿った柔軟な支援機能の確保・自立高齢者、要介護高齢者、社会的援護を要する高齢者等への柔軟な 支援の提供

養護老人ホーム、軽費老人ホーム・ケアハウス共通の今後のあり方

  • 専門的支援機能(ソーシャルワーク)の強化 ・相談支援・アウトリーチ機能の強化 ・地域の高齢者等の居場所づくり(生きがいづくり、就労支援等)
  • ソーシャルワーク機能の向上 ・専門人材の確保・増員、職員のソーシャルワークスキルの向上
  • 居住支援(住まい)機能、生活支援機能の強化 ・入所(入居)者の特性や状態に適した環境の整備 ・生活支援サービス、低所得高齢者向け住まいの開発 等
  • 自治体、地域住民等との連携強化

★ 今後の役割のイメージ ★

今後の役割

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。