うつ病についての説明と簡単な診断

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気分が晴れない

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。

日本では、100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります。

さらに、厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査では、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されています。

世界保健機関が行った将来予測によると、うつ病が2000年では総疾病の第4位であったのに対し、2020年には第2位になると予測されており、今後も大きな健康課題になると考えられています。

「うつ病」とは?

うつ病とは一体どういった症状のことなのでしょうか?

 精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。

【参考:厚生労働省 こころの耳

これ簡単に説明すると、

うつ病とは、脳のエネルギーの欠乏が脳のシステム全体のトラブルへとつながることによって、憂うつな気分やさまざまな意欲(食欲、睡眠欲、性欲など)の低下といった心理的症状が続くだけでなく、さまざまな身体的な自覚症状を伴い、仕事・家事・勉強など本来の社会的機能や人との交際や趣味など日常生活全般に支障を来す状態のことです。

うつ病の段階

「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。

抑うつ気分が強い状態を精神医学では抑うつ状態と呼びますが、日常生活ではうつ状態という用語のほうがよく用いられます。

このようなうつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼んでいます。

うつ病の要因と危険因子

さまざまな研究によって分かっていることは、「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ということです。

非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いのですが、それ以前にいくつかのことが重なっていることもあるため、原因というより、要因というほうが考え方としてなじみやすいでしょう。

生活の中で起こるさまざまな要因が複雑に結びついて発症してしまうのです。

様々な要因

環境要因

最もきっかけとなりやすい「環境要因」ですが、大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)などが要因となります。

性格要因

「性格傾向」も発症要因のひとつです。

「うつ病とは」で説明したように、脳のエネルギーが欠乏した状態をうつ病と考えますと、義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視し関係を保とうとする性格の持ち主は、エネルギーの放出も多いということになります。

努力の成果が伴っているうちはエネルギーの回復もみられますが、成果が出せない状況が生じたり、エネルギーの枯渇が起これば発症の危険が高まります。

その他の要因

その他「遺伝的要因」、「慢性的な身体疾患」も発症要因のひとつです。

最近の研究では、脳内の神経細胞の情報伝達にトラブルが生じているという考え方で一致してきています。

脳の中では神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。

その伝達を担うのが「神経伝達物質」というものです。

なかでも「セロトニン」や「ノルアドレナリン」といわれるものは、人の感情に関する情報を伝達する物質であることが分かってきました。

前述のさまざまな要因によって、これらの物質の機能が低下し、情報の伝達がうまくいかなくなり、うつ病の状態が起きていると考えられています。

【参考:厚生労働省 こころの耳

危険因子

性別、年齢

女性は男性の2倍程度、うつ病になりやすく、うつ病が女性に多いことは、世界的な傾向であるとされています。

男女差の原因としては、思春期における女性ホルモンの増加、妊娠・出産など女性に特有の危険因子や男女の社会的役割の格差などが考えられています。

また、うつ病は一般には若年層に高頻度にみられるが、うつ病の経験者は若年層と中高年層の2つの年齢層に多く、中高年層にも心理的な負担がかかっている可能性があるとされています。

【参考:厚生労働省 うつ対策推進方策マニュアル

うつ病を疑うサイン

厚生労働省では、うつ病を疑うサインとして以下の項目を公表しています。

自分が気づく変化

うつ病を疑うサイン 自分が気づく変化

  1. 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
  2. 何事にも興味がわかず、楽しくない
  3. 疲れやすく、元気がない(だるい)
  4. 気力、意欲、集中力の低下を自覚する
  5. 寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
  6. 食欲がなくなる
  7. 人に会いたくなくなる
  8. 夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
  9. 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
  10. 失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
  11. 自分を責め、自分は価値がないと感じる など

周囲が気づく変化

  1. 以前と比べて表情が暗く、元気がない
  2. 体調不良の訴え(身体の痛みや倦怠感)が多くなる
  3. 仕事や家事の能率が低下、ミスが増える
  4. 周囲との交流を避けるようになる
  5. 遅刻、早退、欠勤(欠席)が増加する
  6. 趣味やスポーツ、外出をしなくなる
  7. 飲酒量が増える など

【参考:厚生労働省 うつ対策推進方策マニュアル

うつ病とストレスをチェックしてみませんか?

先ほどのサインだけを見ると結構当てはまる方は多いのではないでしょうか?

では、ここからはもっと本格的にチェックをしてみませんか?

5分でできる職場のストレスチェック

厚生労働省のこころの耳より「5分でできる職場のストレスチェック」を紹介させていただきます。

【詳しい内容はこちら:5分でできる職場のストレスチェック

簡易抑うつ症状尺度

簡易抑うつ症状尺度は、世界10カ国以上で使用されている16項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度・中核的なうつ病の診断基準に対応しているという特長を持っています。

すぐにできるうつ病重症度の診断なので皆さんもよかったら試してみてください。

【詳しい内容はこちら:厚生労働省 簡易抑うつ症状チェックシート

うつ病の治療

うつ病の治療には「休養」、「薬物療法」、「精神療法・カウンセリング」という大きな3つの柱があります。

こころの病気の治療は特別なものと考えがちですが、じつはこの治療の3本柱は身体疾患と基本的に同じです。

たとえば、骨が折れてしまった場合には、患部をいたわりギプスを巻いてあまり使わないようにします。

これが「休養」にあたります。

しかし、腫れや痛みといった症状がひどい場合には、休養もしっかり取れないので鎮痛剤を服用することになります。

このように苦痛な症状を軽減し休養を有効に取りやすくすることによって、自然治癒力を引き出そうというのが「薬物療法」です。

そして、強い骨にするために日常生活でもカルシウムを多く摂取するように心がけるなど、再発予防を考え生活習慣上の対応を考えていくのが「精神療法・カウンセリング」にあたります。

【参考:厚生労働省 こころの耳

うつ病にかかったときの治療や支援

ここで紹介させていただくのは、すべて厚生労働省より公表されているものになります。

治療や生活へのサポート

うつ病等の精神疾患を有する方は、各種の障害者福祉サービス、医療費の助成などを受けることができます。

【詳しい内容はこちら:治療や生活へのサポート

医療機関の探し方

医療機関を探す

お住まいの地域の、精神科の医療機関は、次のような方法で探すことができます。

また、医療機関に関する相談は、お住まいの地域の保健所・精神保健福祉センターなどでも受け付けています。

心の健康

みんなのメンタルヘルス総合サイト

こころの不調・病気に関する情報をまとめた総合情報サイトです。

病気や症状の説明や、医療機関、相談窓口、各種支援サービスについての紹介など、治療や生活に役立つ情報を分かりやすく提供しています。

【詳しい内容はこちら:みんなのメンタルヘルス

10代、20代の方向けのメンタルサポートサイト

10代、20代の方向けのメンタルヘルス情報サイトです。

ゆううつな気分、やる気がなくなる、不安な思いなど、こころのSOSサインに気づいたときにどうすればいいのか、など役立つ情報を分かりやすく紹介しています。

ご家族や、教職員の方々向けのページもあります。

【詳しい内容はこちら:こころもメンテしよう

マニュアル

こちらは厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業 「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」のうつ病の認知療法・認知行動療法になります。

【詳しい内容はこちら:うつ病の認知療法・認知行動療法

まとめ

すこし重たい話になってしまいますが、我が国の自殺の現状を見ると、平成10年以降では自殺者数が3万人を超える高い水準で推移しています。

自殺既遂者に対する調査からは、うつ病等の気分障害が自殺の要因として特に重要であることが明らかになっています。

そして、介護の世界でもまたうつ病が多く、事故、自殺、虐待などといったニュースとして取り上げられることも珍しくはなくなってきました。

日本経済新聞によると、社員のうつ病予防に力を入れる企業も増えてきたようです。

これから先、団塊の世代の介護がはじまる時までには介護業界にも一定の対策を設けることが望ましいのではないでしょうか?

介護士とうつ病
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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