通所リハビリテーションの内容とポイント

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介護サービスの種類」という記事では介護サービスの種類を説明させていただきました。

それでは、それぞれの介護サービスの内容とポイントをご説明していきます。

それぞれの介護サービスの内容とポイント、第10回目は「通所リハビリテーション」です。

私は以前に同じ職場で働いていた職員のヘルプで通所リハビリテーションにはちょくちょく行っていたので、今回の記事を書くのはちょっとした楽しみでした。

同じリハビリテーションに訪問リハビリテーションがあります。

通所か訪問かで違いはあるものの、当然共通する部分もあります。

今回の記事では、以前の記事「訪問リハビリテーションの内容とポイント」より、「どんな時に利用するの?」のみを引用しますが、通所リハビリテーションならではのこと、訪問リハビリテーションとの違いを中心にできるだけわかりやすく説明させていただきます。

どんな時に利用するの?

どんな時にこの通所リハビリテーションを利用するのかというところから説明していきたいと思います。

病気や怪我などで入院をし、身体機能の回復のためにリハビリを受けることになった場合は医療機関でリハビリを受けることになるのですが、医療保険でのリハビリというのは受ける日数に制限があります。

(心大血管疾患:150日、脳血管疾患等:180日、運動器:150日、呼吸器:90日)

では、ここからは介護の世界ではよく見かける脳卒中の方を例にして説明していきます。

脳卒中(脳血管障害:脳梗塞・脳出血)の方の場合

脳卒中と診断された方の約6割近くはその後の後遺症に悩まれます。

脳梗塞で代表的な後遺症としては「片麻痺」「半身麻痺」などが挙げられますが、後遺症は脳細胞の破損が原因ですので、適切なリハビリによっては改善が見込めることもあります。

そこでリハビリへとうつるのですが、脳卒中は上記のとおり「脳血管疾患等:180日」というところに含まれるので最長のリハビリ期間は180日となっていますが、これはあくまで重度の場合であって重度と診断されなければそのリハビリ期間は150日以内と定められています。

ですが、150日でリハビリの目標は達成されるのでしょうか?

ここからは私の叔父の話になってしまうのですが、やはり150日という期間は短く思えるようです。

それもそのはずで、脳梗塞と診断されてからは抜け殻のようになっていた叔父もリハビリをするようになってからは見違えるように元気になっていきましたが、150日という期間の終了が近くなってきてからは今後を心配するようにもなって来ました。

「特別な器具もない家で今後もリハビリに向き合えるのか?」

結果的に叔父は訪問リハビリテーションを継続することとなったのですが、その後もリハビリの継続を希望する場合、その方の身体の状況でリハビリの種類は大きく二つに分かれます。

  1. 通院や通所ができない →訪問リハビリテーション
  2. 通院や通所ができる  →通所リハビリテーション
Point !

医師より、リハビリの継続により状態の改善が期待できると判断された場合には算定日数上限の適用除外となるため、引き続き医療保険でのリハビリが続けられます。

通所リハビリテーション、簡単に説明すると?

それではまた例によって、厚生労働省の介護保険の解説 -サービス編 –より定義から見ていきたいと思います。

介護老人保健施設、病院や診療所で提供される、利用者の心身機能の維持回復、日常生活の自立を助けることを目的とする、リハビリテーションをいいます。

これを簡単に説明すると、

通所リハビリテーションは、利用者が老人保健施設、病院、診療所などに通い、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送るためのリハビリを日帰りで提供する介護サービスです。

通所リハビリテーション
分類居宅サービス
監督・指導都道府県
対象要支護1以上(介護予防)
要介護1以上
利用する場所施設
別名デイケア・通所リハ

その対象と利用するためには?

通所リハビリテーションを利用するには以下の条件をすべて満たしている必要があります。

  1. 居宅で生活を送る
  2. 要支援1以上か、要介護1以上で
  3. 主治医より、サービスの利用が必要だと認められた方

居宅とは?

上記の 1. 居宅で生活を送る の「居宅」とは一体何を指しているのでしょうか?

ここでいう「居宅」には、自宅のほか、軽費老人ホームや有料老人ホームなどの居室も含みます。

つまり、介護を要するための施設ではなく、自立した生活のための部屋ということで、集合住宅的なものも自宅と同様に居宅とされています。

要支援と要介護の違い

通所リハと訪問リハの違いの一つに、まず予防サービスにおける留意点が挙げられます。

サービスの内容の違い

要支援の方を対象とした介護予防通所リハビリテーションでは、

生活機能を向上させるための「共通的サービス」に加え、以下の3つの中から心身の状況に応じた個別的プログラムを実施する「選択的サービス」を組み合わせて受けることができます。

選択的サービス

  • 運動器の機能向上
  • 栄養改善
  • 口腔機能の向上

通所リハ

サービスの費用の違い

要介護の方を対象とした通所リハビリテーションでは、

  • 事業所の規模や所要時間によって費用が設定されている
  • 設定されているのはサービス1回について

要支援の方を対象とした介護予防通所リハビリテーションでは、

  • 選択的サービスの組み合わせで費用が変わる
  • 設定されているのはサービス1ヶ月について

つまり、要介護であれば 利用回数×基本サービス料 、要支援であれば利用回数にかかわらず 基本サービス料 が一ヶ月のサービス利用料となります。

具体的な内容は?

通所リハビリテーションは、利用者の能力に応じ自立した日常生活を自宅で営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指すための機能の維持や回復訓練などのリハビリテーションを中心としたサービスです。

リハビリの専門家って?

それではそのリハビリを行う3つの専門家、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士について表でまとめてみました。

リハビリの専門家
理学療法士筋肉や関節を動かす運動療法、立つ、歩く、座るなどの日常生活上必要な身体の機能回復
作業療法士仕事や学習能力を高めるための活動や手先を動かすための手工芸の活動の訓練などの機能回復
言語聴覚士話す、聞く、表現するといったコミニュケーション、食べるなど機能回復

具体的な内容

その主な内容については平成26年の社保審ー介護給付費分科会の資料を元にわかりやすくするために表で説明していきます。

対象:要支援1・2~要介護5(通所リハ500事業所、通所介護500事業所を無作為抽出し、調査)

通所リハの主なプログラムの実施内容
種別%分類
筋力増強訓練78.7心身機能
歩行訓練75.3
関節可動域訓練66.1
筋緊張緩和52.9
体操47.5
バランス練習39.9
マッサージ37.5
起居・立位動作訓練32.3
計算ドリル20.1
摂食・嚥下訓練10.5
回想法5.4
言語訓練3.9
趣味活動24.2活動
その他ADL訓練12.3
移乗動作訓練10.8
その他11.2
入浴動作訓練8.1
トイレ動作訓練6.7
IADL練習3.4

一日の流れ

一般的な通所リハビリテーションの一日の流れです。

  1. 利用者の自宅にお迎え (9:30頃)
  2. 体温、血圧、脈拍などのバイタル測定
  3. 入浴
  4. 体操や機能訓練などリハビリテーション
  5. 昼食
  6. ゲームや創作、趣味活動などのレクリエーション
  7. 利用者の自宅へお送り(17:00頃)
Point !

送迎の時間が違ったり、4のリハビリテーションと5のレクリエーションが入れ替わったり、入浴のタイミングが違っていたりとそれぞれの施設ごとの違いはあります。
また、利用者それぞれの希望によっても変わってきます。

通所リハはどこで受けるの?

指定を受けた病院、診療所、介護老人保健施設でリハビリを受けます。

メリットとデメリット

メリット

  • リハビリのための施設
  • リハビリ以外のサービス
  • 規則的な生活
  • 外出の機会
  • 他業種間の一体性

リハビリのための施設

まず、何と言っても通所リハビリテーションというだけあって、リハビリのための設備が整っているのが最も大きなポイントだと思います。

リハビリのための設備が整っているからこそ、目標が明確に定められ、それが意欲にもつながってきます。

また、一般的なデイサービスとは違い、リハビリという目的があれば、

  • 退屈に感じない
  • 健康や元気をより意識するようになる
  • 集団生活の無駄な気遣いが必要無い

といったことも考えられます。

リハビリ以外のサービス

まず、食事や入浴などがリハビリ以外のサービスも受けられるということが大きなポイントです。

また、栄養改善サービスの提供が必要と認められる方には「栄養改善」、口腔機能向上サービスの提供が必要と認められる方には「口腔機能向上」だったりと直接的なリハビリ以外のサービスもあります。(施設の規模や人員など、施設によっては行っていません)

規則的な生活

適切な指導のもと規則的にリハビリを行っていくことで、生活そのものが規則正しいものになっていきます。

それによって食事や睡眠などの生活習慣だけでなく、精神的なバランスに悪影響が少なくなるというのも大きなポイントであると言えます。

外出の機会

  • 退院してすぐの方
  • やっと歩けるようになった方

こういった方に多いのが、通所リハを利用されたばかりの頃は自宅に引きこもりがちであったということです。

通所リハでは、日常的な活動の支援を行うリハビリだけでなく、レクリエーションなどを通じ家族以外の方々とコミュニケーションをとることで協調性を豊かにし、家の外にある社会を自然に伝えるような効果が介護サービスの中で最も高いように思えます。

他業種間の一体性

多くの介護サービスでは時間と手間がかかるものですが、通所リハビリテーションは介護、看護、リハビリ専門員、医師などが密に連携できる環境にあります。

これはとても大きなことで、利用者本位という介護保険の求めているところに最も近いものではないでしょうか?

その方に適したサービスを提供する上でこれ以上ない環境が整っていると言えます。

デメリット

デメリットとして、訪問リハビリテーションと比べてしまうとやはり個別、そして環境という意味で大きな違いはあると思いますが、私個人としては訪問リハビリテーションとは比べるものではないと思っています。

通所リハビリテーションで働く友達にも色々と伺ったのですが、私の意見としてはデメリットはないに等しいのではないでしょうか?

あえて言うのであれば、施設の規模が大きければ大きいほど放っておかれる利用者が増えるということと、それと集団的なリハビリが多くなるということです。

通所リハビリテーションの利用料の目安

要介護の方の利用料の目安

以下の表が1単位を10円とし計算したサービス1回あたりの利用者負担額(1割)の目安になります。

通所リハビリテーション(通常規模) 利用料の目安
所要時間要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
1時間〜2時間未満329円358円388円417円448円
2時間〜3時間未満343円398円455円510円566円
3時間〜4時間未満444円520円596円673円749円
4時間〜6時間未満559円666円772円878円984円
6時間〜8時間未満726円875円1,022円1,173円1,321円

【参考:平成27年4月1日施行 厚生労働省 通所リハビリテーション費

要支援の方の利用料の目安

以下の表が1単位を10円とし計算したサービス1ヶ月あたりの利用者負担額(1割)の目安になります。

共通的サービス

  • 要支援1:1,812円
  • 要支援2:3,715円

選択的サービス

  • 運動器機能向上 :225円
  • 栄養改善    :150円
  • 口腔機能向上  :150円

【参考:厚生労働省 通所リハビリテーション 利用者負担

※注意

要介護・要支援ともに1単位を10円とした目安ですので、詳しくは市町村・東京都では23区の特別区の窓口までお問い合わせ下さい。

また、通常規模型の通所リハビリテーション費となります。

ポイント

規模・設備・人員・サービス

規模

通所リハビリテーションは病院、診療所、介護老人保健施設で受けられますが、その規模の大きさで幾つかの違いがあります。

大規模であれば、陶芸や読書や編み物など、いわゆるリハビリのイメージとは違うリハビリも多く、本当に自由に自分の好きなことができるという点が挙げられます。

また、メリットでも説明したように大規模になると集団生活というところを通り越した自分の自分が多く生まれます。

小規模であれば、職員に自分を見ていてもらいやすくなるので、変化や進歩に気がつき、それがやる気につながることも多いと思います。

これは大規模でも小規模でも共通することですが、通所リハを利用される方は、通所介護を利用される方よりも平均年齢は低く、介護度も低いのが実際のところです。

ですので、他の介護サービスに比べると意気投合するような方も見つけやすく、利用者によっては別の日に雀荘に一緒に行ったという話も聞いたこともあります。

大規模であればなおさら意気投合するような方を見つけやすいというのがあるかもしれません。

設備

東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例には

指定通所リハビリテーションを行うために必要な専用の器械及び器具を備えなければならない

とあります。

これはつまり具体的な設備は指定されていないということです。

ですので、自分に合った設備がある施設を探せたら一番良いのかもしれませんが、平成25年10月1日で通所リハビリテーション事業所は全国で7047箇所しかないのが現状です。

人員

東京都指定居宅サービス等の事業の人員に関する基準には

専任の常勤医師が1人以上勤務していること

とあります。

つまり、職員として必ず医師が配置されています。

そして、病院、診療所、介護老人保健施設がサービスを提供しているいるため、看護師、理学療法士、作業療法士といった医療従事者が配置されており、大きな安心のもと身体的に適切な回復が望めます。

まとめ

私は以前にデイサービスで働いていましたが、デイサービスに来ることを楽しみにしている方にはほとんど会ったことがありません。

もちろん数名はいましたが、やはり「うちの施設に来れば毎日、毎日、本当にずっと楽しいですよ」なんてことは口が裂けても言えないのが正直なところです。

ですが、私がヘルプで行く通所リハには、通うことを本当に楽しみにしている方が多くいます。

その違いはやはり意欲なんだと思います。

デイサービスのレクリエーションはあくまで職員から提供された課題などをこなすことが目的であり、その作業に機能回復といった効果はほとんど見られないように思えてます。

それは体操も同じです。

ですが、通所リハではリハビリという明らかな目標があり、その結果が日常生活に現れているため、意欲が全然違います。

また、意欲を持った方が多くいるということもあり、活気があふれています。

家族の意思で連れてこられたデイサービスで過ごす時間と、意欲を持って来た通所リハで過ごす時間、そこで何日間か働けばその違いはすぐにわかると思います。

もっと元気になりたい、長生きしたい、楽しい、幸せ、そう思うことが正しいことなのであれば、通所リハビリテーションこそが最も介護保険の目的に合ったサービスなのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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