デイサービスを運営するなら知っておきたい「今後の動向とポイント」後編

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デイサービスを運営する・しているのであれば、デイサービスの今後の動向や、今後のデイサービスに求めることをしっかりと理解しておく必要があります。

私も以前には運営に携わっていたので、その大変さは重々に理解していますが、国の方針や大きな流れを知ったうえで運営していくのと知らないで運営していくのでは大きな差があるどころか、結果的に営業を続けられないといった事態にもつながりかねませんし、無理をして稼働率を上げれば職員のストレスとなり、感染症や事故などにもつながりかねません。

デイサービスのなかでも「小規模」は、現在とてもナーバスな立ち位置であり、厳しい向かい風を受けている状態です。

今回の記事では、厚生労働省の2つの資料をもとに今求められているデイサービスの在り方についてをまとめさせていただきます。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて
【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

今後のデイサービスに求められていること

平成28年4月より施行された改正介護法によって、18名以下の小規模デイサービスは地域密着型となりました。

地域密着型となってからの資料は今のところ見つかっていませんが、厚生労働省より公表された 「平成27年度介護報酬改定に向けて」において、今後のデイサービスは地域連携の拠点としての機能が求められているとされています。

これは以前の記事「平成28年以降のデイサービスについて」でも説明させていただきました。

平成28年以降のデイサービスについて
通所介護、通称 デイサービスは平成28年4月から大きく変わっていきます。 それは、利用...

地域密着型デイサービスとなると、利用者や利用者家族、区市町村職員又は地域包括支援センター職員、 地域密着型通所介護について意見を有する者などで構成される「運営推進会議」を開催することが義務付けとなります。【参考:東京都福祉保健局 指定通所介護

通所介護で求められていること

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

デイサービスの現在の状況

デイサービスの中でも、小規模は爆発的に増えたということもあり、結果的に財政を圧迫させる事態から介護報酬の引き下げ、経営難・悪質な経営をする事業所の増加から監視を強化ということから地域密着型となった背景があります。

それとは別に、これからの高齢者対策として介護事業者や家族だけでなく「地域」を組み込むことで新たなサポートシステムを構築しようとしています。

その地域を組み込んだサポートシステムの中心となっていく介護サービスが、これからのデイサービスなのです。

デイサービスの事業所の数

平成13年度末と比べ、介護報酬請求事業所数は約4倍に増加したとされており、なかでも小規模型事業所は平成18年から急激な増加がみられています。

  • 小規模型事業所:7,075事業所 → 21,218事業所(+約200%)
  • 通所介護全体:19,341事業所 → 39,196事業所(+約103%)
デイサービスの利用者の数

平成25年度末現在、通所介護の利用者は約173万人で、介護サービス利用者全体の概ね3人に1人が利用しているとされています。

また、デイサービスの事業所の規模別でみた利用者の割合では、約半数以上が通常規模のデイサービス、約3割弱が小規模のデイサービスに集中していることがわかっています。

他の事業所、専門機関、自治体、住民等との連携状況

利用者の生活を支えるため、地域の町内会、自治会、商店街、ボランティア団体等と連携している事業所は22.9%であり、いまのところはまだ低い傾向にあるようです。

重度要介護者や認知症高齢者の受入体制を整えるため、医療機関や認知症専門医と連携をとっている事業所は1割にも満たないとされています。

その他の事業所

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

各事業所の取り組み

では、実際の運営は何をどうしていけばよいのかということになりますが、そこは前回の記事でもお伝えした重度高齢者と認証高齢者の受け入れを強化していくことが最も適切なのではないでしょうか?

ここからは他の事業所がどんなことを取り組んでいるのかをまとめさせていただきます。

通所介護で取り組んでいる内容

通所介護事業所で取り組んでいる内容は、「健康状態の把握」が86.5%で最も割合いが高く、次いで「入浴・清拭 の実施」、「社会とのつながりの意欲を高める・閉じこもりがちにならない」となっていますが、「身体機能への働きかけ」が今後は伸びていくと予想されています。

通所介護で取り組んでいる内容

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

通所介護で取り組んでいる内容(事業所規模別)

規模別に取り組んでいる内容をみると、全体的に「身体機能への働きかけ」、「自宅での実際の生活行為力の向上」の割合が高いことがわかります。

小規模は「宿泊サービスの実施」「緊急利用への柔軟な対応」「祝祭日利用や利用時間延長への対応」とレスパイト性が強くなっており、通常規模は「認知機能への働きかけ」「利用者の状態に合った食事提供」「祝祭日利用や利用時間延長への対応」の割合が高く、大規模は「ターミナル期の人の受け入れ」「利用者の状態に合った食事提供」「緊急利用への柔軟な対応」「祝祭日利用や利用時間延長への対応」の割合が高いことがわかりました。

取り組んで2

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

利用者の利用の目的について

次に見ていきたいのが、利用者が何を求めてデイサービスに来るのかというところです。

利用者の利用目的

平成25年6~11月で増えている利用者の利用目的は、「社会とのつながりの意欲を高める・閉じこもりがちにならない」が 71.7%と最も割合が高く、次いで「入浴、清拭の実施」が65.3%、「家族の都合」が52.7%となっていました。

利用者の利用目的

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

最も増えている利用者の利用目的

また、最も増えている利用目的は、「社会とのつながりの意欲を高める・とじこもりがちにならない」が15.6%と割合が最 も高く、次いで、「身体機能への働きかけ」が11.1%、「入浴、清拭の実施」が9.9%となっていました。

最も増えている利用者の目的

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

通所介護を運営する上でのポイントと課題

どこの施設もあの手この手で利用者の獲得に必死になっています。
利用者が何を見てどこを選ぶのかは、見た目やレクリエーションの種類、ケアマネの評価などそれこそ様々ですが、やはり大切なのはお金をかけることよりも受け入れる体制づくりではないでしょうか?

利用者が気軽に相談しやすくなるような工夫

利用者が気軽に相談しやすくなるような工夫をみると、「利用時間中にお声かけしたり、ご様子を伺う中で、相談しやすいよう にしている」が95.5%と割合が高くなっている。

相談しやすくなるような工夫

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

運営者の立場からみた事業所が直面している課題

通所介護は、利用者数が安定しないため、売上の不安はいつまでも拭えないというのが現実ですが、安定しないのは利用者だけではなく、そこにはいくつもの課題が存在しています。

運営者の立場からみた事業所が直面している課題では、「利用者のケアプランや通所介護計画、利用者の特性を十分理解して、個々のケアの工夫や誘導、配慮に活かすということが十分できていない」が30.6%で最も割合が高く、次いで「看護資格を持つ人が確保できない」が25.7%、「採用した職員を育成する余裕がなく育たない」が22.6%となっていました。

運営者の立場から見た課題

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

まとめ

実際に現場で働いていると「これ以上は無理」と思うことも度々あるかもしれませんが、今後、認知症の方と重度の方は介護サービスの利用はどんどんと増えていきます。

現場の考えや思いは、利用者、その家族には全く関係のないのことです。

ですが、事業所運営側がその中間に立って上手くフォローしていかなければ、家族からの苦情が後を絶たないといった事態につながりかねませんし、介護職員のストレスが溜まってしまえば、注意不足から事故や感染症といったことにもつながりかねません。

そして、事業所として最も避けたいのが介護職員の退職と虐待の問題であり、これは事業所が現場を理解することが前提になってきます。

売上が一番かもしれませんが、現場の介護士が一番の資本です。

安定した質のケアを提供出来ているのであれば、現場を信じ、時には利用を断ることも必要なのではないでしょうか?
今後は地域との連携が大きなポイントとなってくると予想されていますので、悪事千里を走るではないですが、地域とのコミニュケーションの重要性を図るためにも職員のストレスバランスを考えることが大切なこととなってきます。

また、認知症の方と重度の方のバランスを考えることも、利用者全体の個々の生活を考えると大切なことなのではないでしょうか?

運営側にとっては、経営だけではなく、職員・家族・利用者と今後も大変な状況が続きますが、ぜひ諦めずにできるところまでやっていただきたいと思います。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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