デイサービスを運営するなら知っておきたい「今後の動向とポイント」前編

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現場で働く介護士のなかには、「そんなに重度の利用者ばかり入れられたら、業務がまわらなくなってしまう」なんてことを言う方もいるのではないでしょうか?
それに対して、運営側が「そんなことを言ってたら人が来なくなってしまうし、売上が安定しなくなる」と言おうものなら、現場と運営側に大きな溝が生まれてしまいます。

ですが、すでにそういった状況になってしまっているといった事業所も珍しくはないと思われます。

今回の記事では、厚生労働省の2つの資料をもとに今求められているデイサービスの在り方についてをまとめさせていただきます。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて
【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

今後のデイサービスに求められていること

今後のデイサービスに求められていることは、はっきりとしています。
その大きなところは以下の2つです。

  • 認知症高齢者への対応
  • 重度高齢者への対応

通所介護で求められていること

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

平成28年以降のデイサービスについて
通所介護、通称 デイサービスは平成28年4月から大きく変わっていきます。 それは、利用...

デイサービスの現在の状況

国がなぜそれを求めているのかというのは、現在のデイサービスの状況を知ることで理解することができます。

ここでは話が長くなってしまいますので、要点のみを説明させていただきます。

デイサービスの事業所の数

平成13年度末と比べ、介護報酬請求事業所数は約4倍に増加したとされており、なかでも小規模型事業所は平成18年から急激な増加がみられています。

  • 小規模型事業所:7,075事業所 → 21,218事業所(+約200%)
  • 通所介護全体:19,341事業所 → 39,196事業所(+約103%)

デイサービスの利用者の数

平成25年度末現在、通所介護の利用者は約173万人で、介護サービス利用者全体の概ね3人に1人が利用しているとされています。

また、デイサービスの事業所の規模別でみた利用者の割合では、約半数以上が通常規模のデイサービス、約3割弱が小規模のデイサービスに集中していることがわかっています。

平均要介護度の推移

平均介護度の推移をみても、今現在は落ち着いている状態であり、「すぐにでも」といった状況ではありませんが、団塊の世代と呼ばれる方々が65才以上となった今、大切になるのは「これからに備えた体制作り」なのです。

平均介護度の推移

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

認知症・重度高齢者の受け入れについて

認知症高齢者について

「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上の高齢者は今後増加していくとされています。

認知症高齢者の日常生活自立度 II

日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる。【参考:厚生労働省

「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上の高齢者数の推計
(括弧内は65歳以上人口対比) 認知症の方の数

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

日常生活自立度III以上の受入割合別の事業所数

利用登録者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度III以上を20%以上受け入れている事業所は、21.5%であり、日常生活 自立度III以上の認知症高齢者を受け入れていない事業所と比較すると、常勤換算方法で介護職員を多く配置していることがわかっています。

認知症高齢者の日常生活自立度 III

日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。【参考:厚生労働省

日常生活自立度3以上1

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

重度高齢者について

重度高齢者の中には認知症の方もいますが、医療ニーズが高い方も多く存在しています。

要介護3以上の高齢者の受入割合別の事業所数

利用登録者のうち、要介護3以上の高齢者を30%以上受け入れている事業所は、33.7%であり、要介護3以上の高齢者を 受け入れていない事業所と比較すると、常勤換算方法で介護職員を多く配置していることがわかっています。

要介護3以上1

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

医学的管理が必要な利用登録者がいる事業所数比率

事業所のうち、医療ケアがある利用登録者がいる事業所数の割合をみると、「褥瘡の処置」が29.8%と最も割合が高く、次いで「酸素療法」が25.1%となっていました。

医学的管理が必要な

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

利用登録者のうち医学的管理が必要な人の状況

利用登録者のうち医療ケアがある人の医療ケア別の比率について、医療ケアがある人数を総数としてみた割合は、「褥瘡の処置」が21.5%と最も高く、次いで「カテーテル」が14.5%となっていました。

医学的な管理が必要な人の状況

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

利用の拒否について

現場の介護士の中には、「大変な利用者ばかり入れてたら、業務が上手くまわらなくなってしまう」と嘆く方もいるのではないでしょうか?
ですが、運営している管理者などは「全てを断っていたら売上が安定しなくなる」というのが実際のところで、それを機に運営側と現場側に溝が生まれてしまうなんてことも珍しいことではありません。

定員以外の理由で利用を断ったことの有無

認知症の人の利用申込に対して、定員以外の理由で「受け入れができない」と断ったことが有るとした事業所は、通所介護で は6.5%となっていました。

定員以外の理由で

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

認知症の人に対する利用拒否の理由

通所介護において、断った主な理由については、「認知症の症状のある人の受け入れ体制確保の困難」が46.2%となっていました。

認知症の方に対する

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

ケアマネからの利用申込に対して利用定員以外の理由で断った経験の有無

ケアマネジャー(介護支援専門員)からの利用申込に対して、利用定員以外の理由で断った経験の有無をみると、8.4%の事業所では「経験がある」とされています。

ケアマネ拒否

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

ケアマネからの利用申込に対して、利用定員以外の理由で断った理由

ケアマネジャー(介護支援専門員)からの利用申込に対して、利用定員以外の理由で断った理由をみると「医療依存の高い方の受け入れ体制の確保が困難」が88.5%と最も高く、「重度の要介護度の方の受入体制の確保が困難」も32.2%となっていました。

利用店員以外ケアマネ

【参考:厚生労働省 通所介護の報酬・基準について(案)

まとめ

小規模と大規模は違いますが、規模が同じであれば、どこのデイサービスもだいたい同じような状況だと思われます。

厚生労働省の資料を見ていくと、今後のデイサービスに求められていることは「介護度の高い方」「認知症状の重い方」、そして「医療ニーズ」への対応力であるとされています。
そして、その対応力こそが今後も激化すると思われるデイサービスの競争で生き残っていく術でもあります。
ですが、それはあくまで国の希望であり、現実的なことを考えると、やはり職員不足へと繋がり、経営維持力の低下にもつながってしまいます。
国がどこまでフォローしてくれるかが、今後は大きな鍵になると思われますが、経営者や管理者や運営に携わるのであれば、今後の高齢者の重度化は理解しておくべきなのではないでしょうか?
また、職員に対しても今後の高齢者の重度化を説明しておくことが準備として大切なことだと思われます。
どんな高齢者でも受け入れてくれるデイサービスがあれば、ケアマネにとっても家族にとってもありがたいことであり、運営としてみてもポジティブなことですが、職員のストレスバランスを考えて引き受けることが本当の責任なのだと思います。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。