データから考える介護職の効率的な転職

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効率的な道のり

転職とは、現在の職業もしくは所属する会社から、別の職業もしくは別の会社へと変わる、移ることをいいます。(コトバンク

65歳以上の方がどんどんと増えていけば、それに伴い介護が必要な方の数も増えます。

ですが、介護業界ではどこも人出不足というのが現状です。

ですので、今現在介護の仕事をされている方であれば、「どこも引く手数多」「あと20年は仕事が尽きない」ということは周知の事実であり、多くの介護士はタイミングがあれば新しい職場に移りたいと常日頃考えているのではないでしょうか?

ですが、入社してみないと実際のところというのはなかなかわからないものです。

  • 新しい職場への不安
  • 慣れるまでの精神的な負担
  • 今の職場を辞めることのリスク
  • 環境を変える労力

「新しい職場に移りたいけれど、なかなか行動に移せない」そう考えている介護士の多くは以上のようなことを気にかけているのではないでしょうか?

そこで今回は、厚生労働省から発表されているデータなどを用いて、後悔や失敗に備えた「転職のススメ」を説明していきたいと思います。

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離職率からの考察

まず見ていきたいのが、「介護職員の退職と人材確保について」でも説明した「離職率階級別にみた事業所規模別の状況」です。

事業所規模別離職率・法人格別の離職率

基本的には事業所規模別で見ると、事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向にあり、法人格別の離職率を見ると違いがみられる。

離職率が低い法人 Best 5

 介護職員(施設等)訪問介護員
1協同組合 11.0%
社会福祉協議会 9.1%
2地方自治体 11.3%社団・財団法人 9.6%
3社会福祉協議会 11.4%協同組合 9.7%
4社団・財団法人 11.5%NPO 9.8%
5NPO 15.0%地方自治体 10.1%

平均勤続年数

また、「介護職の給与と改善加算に関しての厚生省の調査結果」の平均勤続年数で見ても、地方公共団体は平均勤続年数10.0年と、社会福祉協議会の10.9年に次いで高く、営利法人が平均勤続年数5.1年と最も低いことがわかります。

平均勤続年数 Best 5

  1. 社会福祉協議会 10.9年
  2. 地方公共団体  10.0年
  3. 社会福祉法人  7.3年
  4. その他     7.3年
  5. 医療法人    7.1年

給与からの考察

次に見ていきたいのは、介護職の給料を上げ、退職者を減らすための処遇改善加算についてです。(介護職の給与と改善加算に関しての厚生省の調査結果

ここからわかることは、介護職の給料を中心とした処遇に対しての事業所の姿勢ではないでしょうか?

届出

処遇改善 届け出率 Best 5

 施設・事業所数届出をしている
介護老人福祉施設6,05695.9%
認知症対応型共同生活介護9,33194.2%
介護老人保健施設3,50091.4%
通所介護23,71886.0%
訪問介護20,18183.9%

給与等の状況

平成25年4月1日から9月30日の間の給与等の状況をみると、90,667の施設・事業所において「給与等を引き上げた」が61.8%と高くなっていました。

給与等を引き上げた BEST 3

  1. 介護老人福祉施設   84.6%
  2. 介護老人保健施設   82.3%
  3. 介護療養型医療施設  73.0%

法人種別にみた介護職員の平均給与額の状況

以下が平成25年に介護職員処遇改善加算の届出をした事業所における介護職員の平均給与額のベスト5です。

平均給与額 Best 5

  1. 地方公共団体  314,980円 (前年度より +5,750円)
  2. 社会福祉法人  286,690円 (前年度より +7,700円)
  3. 社会福祉協議会 275,430円 (前年度より +3,810円)
  4. 医療法人    268,090円 (前年度より +7,690円)
  5. その他     260,380円 (前年度より +4,560円)

と、法人種別に かかわらず前年度よりも給与は増していること、給与は地方公共団体が頭一つ分近く高いことがわかります。

虐待からの考察

そして、虐待という視点でも考えていく必要があると思います。

虐待の事実が認められた施設・事業所の種別

高齢者への虐待 厚生省の調査結果」の虐待の発生要因からもわかるように、介護疲れとストレスが25.5%を占めています。

その介護疲れとストレスの理由も、やはり施設・法人の現場への理解度が関係しているのではないでしょうか?

虐待の事実が認められた施設・事業所の種別 BEST 4

  1. 「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が 69 件(31.2%)
  2. 「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」34 件(15.4%)
  3. 「介護老人保健 施設」26 件(11.8%)
  4. 「有料老人ホーム」26 件(11.8%)

離職率・給与・虐待の3つの視点のまとめ

法人 Best 3

離職率が低い法人

  1. 協同組合
  2. 地方自治体
  3. 社会福祉協議会

平均勤続年数が長い法人

  1. 社会福祉協議会 10.9年
  2. 地方公共団体  10.0年
  3. 社会福祉法人  7.3年

平均給与額が高い法人

  1. 地方公共団体  314,980円
  2. 社会福祉法人  286,690円
  3. 社会福祉協議会 275,430円

事業所 Best 3

事業所の数

事業所の数というのも職場選びでは大切なポイントになりえます。

例えば、事業所の数が多ければ競争がより激化してくると言えますが、一方で事業所の数が多いというのは一般への認知度の高さととも言い換えられます。

平成25年10月1日現在で活動中の 施設・事業所数

  1. 通所介護 38127ヶ所
  2. 訪問介護 32761ヶ所
  3. 認知症対応型共同生活介護 12048ヶ所

事業所の増加率

そしてもう一つ大切になるのが事業所の増加率です。

事業所の増加率からわかるのは、国のトレンドに合わせた法人の動きであり、国の推奨する介護サービスはいずれ一般のニーズとなることを見越したものであると言えます。

平成24年から25年までの事業所数の増加率

  1. 複合型サービス 393.3%
  2. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 269.7%
  3. 通所介護 11.8%

加算率の高い事業所

加算率の高い事業所とは事業所の増加率と密接な関係があります。

加算率の高い事業所というのを簡単に説明すると、提供する介護サービスの利用者が多ければ多いほど加算が支給されるということで、国から「頑張ってくれたら、その分は払うよ」と後押しされている介護サービスと言えます。

処遇改善加算の加算率の高い事業所

  1. 訪問介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護    8.6%
  2. 認知症対応型共同生活介護  8.3%
  3. 小規模多機能型居宅介護 ・複合型サービス   7.6%

処遇改善の届出率

これが表しているのは、給料を中心とした職員の処遇への事業所側の姿勢だと思います。

なぜなら、届け出さえすれば介護職員の給料が上がるわけですから。

処遇改善の届出率

  1. 介護老人福祉施設 95.9%
  2. 認知症対応型共同生活介護 94.2%
  3. 介護老人保健施設 91.4%

まとめ

離職率と法人の間には、「どれだけ現場を理解しているのか」という現場への理解度が大きく関係していると強く思います。

これは、同記事の「過去働いていた職場を辞めた理由」の退職理由の25%が「法人、事業所の理念や運営のあり方に不満があった」という結果からも明らかなことです。

離職率の低さ、平均勤続年数の高さ、平均給与額をもとに法人別で見ると、

  • 協同組合(農協・生協)
  • 地方自治体
  • 社会福祉協議会
  • 社団・財団法人

の4つは他の法人と比べ明らかに良い意味での差がある気がします。

そして、もう一つ重要なのが事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向があるということです。

ですので、以上のことをもとにこれから仕事を探してみるのが失敗しない転職のコツだと思います。

離職率でも給与でも全く良くないので、間違えても民間法人の小規模事業所を選んではダメですよ。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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