小規模多機能型居宅介護の内容とポイント 後編(長短所とポイント)

シェアする

小規模多機能型居宅介護2

小規模多機能型居宅介護の内容とポイントの前編では、定義と内容と利用料についての説明をさせていただきました。

ここからは、小規模多機能型居宅介護の内容とポイントの後編として、かなり正直な意見でメリット・デメリット、そして大切なポイントを説明させていただきます。

メリットとデメリット

メリット

小規模多機能型居宅介護の最も大きなメリットが、介護度が中重度になっても住み慣れた自宅での生活を可能にするという方針にあります。

それは、早朝から深夜までの利用も可能な24時間365日の営業、そして冠婚葬祭などにも対応した急な泊まりを受け入れる体制に大きく現れています。

ここからはさらに細分化したメリットを説明していきます。

連絡に関して

本来、様々なサービスを利用することにあると、各事業所ごとに契約が必要となり、各事業所、担当ケアマネージャーから変更や利用者に何かがあるごとに家族へ連絡が入ります。

小規模多機能型居宅介護は、全てが一元化されておりますので、契約も一度きりですし、担当のケアマネージャーは小規模多機能型居宅介護に属している方ですので、重複した連絡も少なくなります。

これが家族側からすると、地味ですがすごく楽なポイントです。

利用者に関して

通いの利用者は概ね15名以下となっていますが、実際には10名から13名ほどです。

つまり、特養などの施設などに比べて利用者の人数も少なく、その分利用者の自由度が高いということが言えます。

利用者目線だと、職員との距離が近いため、会話がしやすい、要望が届きやすいということがあげられ、職員目線だと、利用定員が少ないため、利用者のちょっとした変化にも気が付きやすいということがあげられます。

また、かまって欲しいといった方や集団生活が苦手な方には向いているとも思われます。

認知症に関して

自宅をベースとしつつ、宿泊もしていくというのは、認知症の方が施設に移行する上で大きなポイントとなります。

家とはまたちがう環境へ少しづつ慣れていくということは、本人目線でも家族目線でも私には良いことに思えます。

また、小規模多機能型居宅介護では、認知症実践者研修の受講を修了した職員が配置されているので、家族も少しは安心できるのではないでしょうか?

利用料に関して

小規模多機能型居宅介護の利用料は月額定額制です。

ですので、介護保険利用限度額からはみ出す心配がないだけでなく、サービスの利用の仕方にも自由度の高いものになっています。

サービス内容に関して

小規模多機能型居宅介護の最も大きなメリットであり、特徴とも言えるのが「通い」「宿泊」「訪問」の3つを希望に応じて利用出来る点です。

他の介護サービスであれば、通いを増やすたびにケアプランを変更し家族の了解を得なければなりませんが、小規模多機能型居宅介護であれば、その時の利用者の様子で手間なく変更することができれば、好きな時に好きなように組み合わせて利用することもできます。

デメリット

3つのなかだけの自由

通い」「宿泊」「訪問」の3つを希望に応じて利用出来る点が大きなメリットですが、それ以外の選択肢はないというのが小規模多機能型居宅介護のちょっとしたデメリットです。

具体的には、「通い」であれば、単独型のデイサービスの方がやはりレクリエーションなどに富んでおり、楽しみは見つけやすいと思います。

また、職員、他の利用者の中で嫌い・苦手な人がいるのであれば、別の事業所のサービスに乗り換えれば無駄なストレスはたまらなくて済みます。

ですが、在宅生活トータルパックとも言える小規模多機能型居宅介護と契約し登録をしてしまったのであれば、他の事業所が行うサービスは利用することはできません。

逆に利用できるのが、福祉用具貸与訪問看護です。

ケアマネージャーに関しては、小規模多機能型居宅介護に属したケアマネージャーが担当となりますので、それ以前に他の事業所を利用していたのだとすると、担当していたケアマネージャーは小規模多機能型居宅に属するケアマネージャーへ移行ということになります。

嫌になってしまった

小規模多機能型居宅介護のサービスや対応、利用者の面々など、利用者本人が嫌になってしまうケースもあれば、家族が嫌になってしまうケースもある少なくはありません。

ですが、そうなった場合でも、他の事業所のサービスを部分的に利用することはできないのです。

使えない時がある

これは職員目線にもなりますが、「通い」を利用している10名から13名の利用者の対応、そして「訪問」への対応、その二つを一つの事業所で基準人員数を守りながら遂行するというのは現実的に考えて職員はアップアップなのではないでしょうか?

登録人数29名で、「宿泊」の利用定員が概ね9名以下であれば、長く宿泊する方が増えてくると宿泊できない日も当然出てきます。

ポイント

小規模多機能型居宅介護は、中重度となっても在宅での生活が維持できることを目標とした在宅生活を支える切り札として平成 18 年4月の介護保険制度改正で創設されました。

小規模多機能型居宅介護は「通い」「宿泊」「訪問」の三つを一つにした画期的で柔軟な介護サービスである一方、既存の介護保険のサービスとは異質なところもあります。

異質なところ

小規模多機能型居宅介護の「訪問」は訪問介護のようなと説明しましたが、なぜようななのでしょうか?

小規模多機能型居宅介護は、新しい試みの介護サービスですが、実験的な面もあり、その柔軟さ故に細かなところまではっきりと決められていないのです。

訪問介護であれば、その利用者の生活する場所以外のための家事日常生活の援助に該当しないもの日常的に行われる家事の範囲を超える行為というのはできないと決められています。

例えば、その利用者以外の部屋の掃除や来客への対応、自家用車の洗車、庭の雑草むしり、飼っているペットの世話、大掃除などの普段以上の手間をかけてするものなどが、それに当たります。

ですが、小規模多機能型居宅介護はそういった規則もなければ内容もはっきりとは決められておらず、時間の制限もないため、直接的な介護以外の生活援助が多々出てきてしまいます。

これがどういったことにつながってくるのかというと、やはり職員にとってはストレスにしかならないのが正直なところです。

実際、その利用者が好きで要望があるのであれば応えたいと思う職員も少なくはありませんが、職員一人一人が業務を現実的に考え遂行しなければ、業務全体の歯車が狂うだけではなく、結局のところ、しわ寄せが職員はもちろんのこと、利用者へも来てしまうのです。

看護師

厚生労働省の小規模多機能型居宅介護の人員基準に「介護従業者のうち1以上の者は、看護職員(看護師、准看護師)でなければならない」というのがあります。

ここまでであれば、小規模多機能型居宅介護の施設には看護師がいるように思えるかもしれませんが、看護職員の業務に支障がないと認められる範囲内であれば、

  • 認知症対応型共同生活介護事業所
  • 地域密着型特定施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設
  • 介護療養型医療施設

以上にあげた4つのどれかの施設との兼務でも構わないとあります。

つまり、小規模多機能型居宅介護は看護職員は常勤を要件としておらず、毎日配置していなければいけないということではないのです。

建物の構造

小規模多機能型居宅介護を考えている方にとって、最も大きなポイントは建物の構造にあります。

小規模多機能型居宅介護は大きく分けて施設型と民家型があります。

民家型であれば、普通の一戸建ての家を改修した構造であり、二階を宿泊スペースとして活用しているところも少なくはありません。

施設としての機能

施設型と民家型の違いの一つに施設としての機能が挙げられます。

これは民家型はもともと一戸建ての自宅であったので当然のことなのですが、お風呂もトイレも一般家庭のものを改修したものになるのです。

つまり、手すりなどの安全面に乏しい作りなのです。

プライバシー

施設型と民家型の違いのもう一つにはプライバシーに対しての考えがあります。

厚生労働省の小規模多機能型居宅介護の設備基準には、利用者一人あたりの宿泊スペースとして1人当たり 7.43 m²程度の広さと、プライバシーを確保することが定められています。

宿泊が個室であれば、良いものになるかとは思いますが、設備基準には「宿泊専用の個室がない場合であっても、宿泊室についてプライバシーが確保されたしつらえになっていれば差し支えない」とあります。

これがどういうことかというと、個室でなかったとしてもパーティションや家具などにより利用者同士の視線の遮断が確保されるようなものであれば良いということなのです。

施設型であれば、それぞれに個室を用意しているところもありますが、民家型では全員分の個室がないところがほとんどです。

緊急時の対応

24時間365日に対応しているというのが小規模多機能型居宅介護の売りでもありますが、緊急時に利用できない小規模多機能型居宅介護も実際はあるのではないでしょうか?

そこは大切なところですので、契約の前には必ず聞いておくことをお勧めします。

宿泊ができない時の理由

先ほど、「登録人数29名で、「宿泊」の利用定員が概ね9名以下であれば、長く宿泊する方が増えてくると宿泊できない日も当然出てきます」と説明しましたが、実際のところ、こういったケースは多々存在していています。

では、長く宿泊する方というのはどういった方なのでしょうか?

  • 特養などへの入所を希望している待機中の方
  • 家での生活が困難な状態にあり、一時的にも帰宅できない方
  • 病院を退院しそのまま小規模多機能型居宅介護で宿泊される方

以上にあげたような方が小規模多機能型居宅介護の最長宿泊3ヶ月を利用したりしているのが現状です。

まとめ

はっきりと書かせていただきますと、小規模多機能型居宅介護は業務の幅が広すぎている気がします。

介護報酬を上げ、人員基準を増やしていかなければ、介護業界の中でもダントツの離職率にもなりかねないと思います。

「通い」と「訪問」を柔軟に両立させることは利用者にとっては良いように思えるかもしれませんが、現実的には登録人数が少なく融通が効きやすい状態でなければ、その良さは半減してしまうだけでなく、介護業務の資質にも影響が出てしまいやすくなります。

それは、小規模多機能居宅介護では、想定以上に宿泊を希望される方が多く、毎日泊まる方となると介護度によって売り上げにはかなりの違いが出てるだけではなく、運営そのものも脅かしかねません。

また、訪問介護のようにルールというものが存在していない時点で、結果は目に見えているように思えます。

ただ、小規模多機能型居宅介護が先進的であることも確かです。

ですが、職員の負担も考えるとういうのもこれから先の介護には必要なことなのではないでしょうか?

The following two tabs change content below.

kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
スポンサーリンク

シェアする

フォローする