介護職員処遇改善加算についての簡単な説明

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処遇改善

今回の記事では、介護職員の処遇改善加算について説明していきます。

ご存知の方も多いかと思いますが、介護職員処遇改善加算についての説明はちょっとややこしいので、できるだけ簡単に説明していきます。

平成27年度 介護職員処遇改善加算の裏側
皆さんは、「介護従事者処遇状況等調査」というものをご存知ですか? 介護士であれば、給料が高い事業所で働きた...

介護職員処遇改善交付金

もともとは平成 21 年度に他の業種との賃金格差を縮め、介護における雇用を安定させるという目的で都道府県に交付されたのが介護職員処遇改善加算の前身とも言える「介護職員処遇改善交付金」でした。

処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して介護職員(常勤換算)1人当たり月 1万 5千円に相当する額を交付するといったものでした。

 Point !

処遇改善交付金は、国等の基金である公金で 100%賄われるものでしたので、利用者負担はありませんでした。

その介護職員処遇改善交付金は平成 23年まで実施されました。

なぜたったの 2年ほどで終わってしまったのでしょうか?

それは処遇改善交付金のちょっとした疑心暗鬼な制度、届出の煩雑さというのもありましたが、なにより 100%が公金というのがもっとも大きな問題だったのです。

疑心暗鬼な制度

その当時に介護の仕事に就かれていた常勤の方ならピンとくるかもしれませんが、毎月支払われる処遇改善交付金には、毎月ちゃんとその交付金が支払われているかを確認するための職員の「確認印」を捺印する制度があったのです。

捺印はちゃんとしてあるが、本当に職員に支払われているのか?

ちなみに私は捺印を押した覚えは全くありません。

届出の煩雑さ

交付金の支給要件を満たし、介護職員処遇改善計画書を作成し、申請を行うことによって事業所に支払われる交付金ですが、全国平均でみるとその申請率は 80%(平成 21年 12月末時点)と、申請をしないという事業所も多くありました。(ちなみに東京都は 74%)

その理由として、交付対象が介護に携わっている職員と限定されており、直接的ではない栄養士や事務職員らは対象外であったこと、事務作業の煩雑さが指摘されていました。

100% 公金

長妻厚生労働大臣は、「交付金は当初の予定通り実施し、平成 24年度以降も、介護職員の処遇改善に取り組んでいく」旨の方針を示しているところであり、引き続き政府として介護職員の処遇改善に関する取り組みを進めていくところです。

これは、厚生労働省 – 介護職員処遇改善交付金についてからの引用になりますが、平成 21年までは、平成 24年度以降も引き続き行っていく方針でした。

ですが、介護職員処遇改善交付金は、平成 21年 10月から平成 23年度末までの間、計約3,975億円(全国平均で介護職員(常勤換算)1人当たり月 1.5万円に相当する額)を交付するものといったものです。

財政難が毎日のように伝えられる日本のどこに今後も年間約 2000億円を支払う力があるのでしょうか?

当然の結果、平成 22年末に厚生労働省は、その後の対応について「国の財政が厳しい」などの理由で介護職員処遇改善交付金廃止の方向を社会保障審議会の介護保険部会に提示しました。

そして、厚生労働省は平成 23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金を廃止します。

介護職員処遇改善加算

厚生労働省は平成 23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金を廃止し、代わりに事業所に支払われる介護報酬を2%強アップする案を示しました。

そして平成 24年 3月、介護職員処遇改善交付金が廃止され、平成24年4月、介護報酬に加算として組み込まれる「介護職員処遇改善加算」が新設されました。

つまり、介護職員 1人当たり月 1.5万円に相当する額を交付する介護職員処遇改善交付金を廃止するかわりに「事業所の介護報酬をアップし、新たな加算制度を設けます」ということです。

介護職員処遇改善加算、簡単に説明すると?

では、介護職員処遇改善加算とはいったいどういったものなのでしょうか?

(ここからは、介護職員処遇改善交付金を改善交付金、介護職員処遇改善加算を改善加算という言葉で説明させていただきます。)

介護職員処遇改善加算とは?

  • 離職率の高い介護職を定着させるために設けられた加算制度です。
  • 改善交付金の対象であった介護事業所で働いている介護職員の賃金改善に充てることを目的にしています。

特徴

  • 改善加算は、公金90%+利用者負担10%で賄われる。
  • 改善加算を受けるにはは、交付金を受けていた頃の賃金を下回らない給与を職員に支給することが条件
  • 改善加算の一定割合以上を職員の本給で支給する必要がある。

つまり

これから改善交付金が受けれなくなってしまう事業所は、職員の賃金を減らすか、改善加算を受けるしかなくなってしまったのです。

介護では厚生労働省により定められた人員基準がありますので、人員基準を満たすことはもとより、満たせないのに人員を削るといったことはあってはなりません。

平成 27年度の介護報酬の改定において

ここからは平成 27年度の介護報酬改定における介護処遇改善加算について説明させていただきます。

変更点とイメージ

今までの加算は 3区分でしたが、平成 27年の 4月 1日から全 4区分になりました。

以下が加算のイメージです。【参考:厚生労働省

処遇改善

この新設された加算 Ⅰ の取得で介護職員 1人あたり月額で 27000円相当の加算が受けられることになります。

新設の加算

新設された加算 Ⅰ の取得には

  • キャリアパス要件 I もしくは キャリアパス要件 II
  • 定量的要件(職場環境等要件)

の二つを満たしている必要があります。

  • キャリアパス要件 I:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系な整備すること。
  • キャリアパス要件 II:資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること。
  • 定量的要件(職場環境等要件):平成 27年 4月以降、賃金改善以外の処遇改善への取組を新たに実施すること。

詳しくは厚生労働省-介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示についてをご覧ください。

介護職員改善加算の計算方法

改善加算=1ヶ月当たりの総単位数×サービス別加算率

1ヶ月当たりの総単位数=サービス別の基本サービス費+各種加算減算

 Point !

当該加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外される

サービス別 加算率

サービス区分加算 (I)加算 (II)加算 (III)加算 (IV)
訪問介護8.6%4.8%加算 (II)により
算出した単位
(一単位未満の
端数四捨五入)
×0.9
加算 (II)により
算出した単位
(一単位未満の
端数四捨五 入)
×0.8
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
訪問入浴介護3.4%1.9%
通所リハビリテーション
通所介護4.0%2.2%
特定施設入居者生活介護6.1%3.4%
地域密着型特定施設入居者生活介護
認知症対応型通所介護6.8%3.8%
小規模多機能型居宅介護7.6%4.2%
複合型サービス
認知症対応型共同生活介護8.3%4.6%
介護福祉施設サービス5.9%3.3%
地域密着型介護老人福祉施設
短期入所生活介護
介護保健施設サービス2.7%1.5%
短期入所療養介護
介護療養施設サービス2.0%1.1%
短期入所療養介護

この表では、介護予防について書いておりませんが介護予防であったとしても加算率は変わりません。

詳しくは厚生労働省-加算算定対象サービス-表1をご覧ください。

加算を受けられない介護サービス

  • (介護予防)訪問看護
  • (介護予防)訪問リハビリテーション
  • (介護予防)福祉用具貸与
  • (介護予防)居宅療養管理指導
  • 特定(介護予防)福祉用具販売
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

まとめ

介護についての基準や要件などは何度読んでも「なんでこんな言い回しをするのか」と思ってしまいますが、なんとなくでも理解してくると結構面白く読めたりします。

今回の記事で注目すべきポイントは、やはりサービス別の加算率表ではないでしょうか?

もっとも高い加算率 8.6%

  • 訪問看護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護

もっとも低い加算率 2.0%

  • 短期入所療養介護
  • 介護療養型医療施設

もっとも高い加算率の 3つは、在宅でも心配なく暮らせますよというメッセージであり、事業所にとっては下がる介護報酬に対しての蜘蛛の糸のように思えます。

逆にもっとも低い加算率の 2つは、病院に集まってしまう高齢者をどうやって在宅に移すべきなのか、といった国の超高齢社会対策がなんとなく見えてくる気がします。

今回は処遇改善加算の概要について説明させていただきましたが、内容についてのもっと詳しい説明についてはこちら ↓ をごらんください。

介護職員処遇改善加算のもっと詳しい説明
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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コメント

    • kumo より:

      遅くなってすいません。ワードプレスのコメントの中に返信というボタンが有ることに今気が付きました。
      サイトを拝見させていただきましたが、とても共感できますし、親近感も湧いてきました。
      何かあればいつでも力にならせてくださいね。
      よろしくお願いいたします。