介護職員処遇改善加算のもっと詳しい説明

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介護職員処遇改善

介護報酬が下がるなか、介護事業所を運営していくうえで 支出を抑える ということはとても大切なことになります。
そして、もう一つ大切なことは 収入を増やす ということです。
つまり、上限が定められている介護で収入を増やす方法は加算をどれだけとれるかということになります。

加算のうちの一つに介護職員処遇改善加算があります。
これについては以前の記事「介護職員処遇改善加算についての簡単な説明」で概要をお伝えしました。

今回の記事では「介護職員処遇改善加算についての簡単な説明」よりももっと詳しい、介護職員処遇改善加算の申請についてを説明していきます。

平成27年度 介護職員処遇改善加算の裏側
皆さんは、「介護従事者処遇状況等調査」というものをご存知ですか? 介護士であれば、給料が高い事業所で働きた...

新設された加算 (Ⅰ)

今後も増大する介護ニーズへの対応や質の高い介護サービスを確保する観点から、介護職員の安定的な確保を図るとともに、更なる資質向上への取組を推進する目的で平成27年4月より  加算 (Ⅰ) が新設されました。

介護職員処遇改善加算は、現行の仕組みは維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改 善、労働環境の改善の取組を進める事業所を対象とし、更なる上乗せ評価を実施。

【参考:厚生労働省 介護人材確保対策の推進

これを簡単に説明すると、

  • 資質向上の取組
  • 雇用管理の改善
  • 労働環境の改善の取組

こういったことを頑張っている事業所を対象に、今以上の上乗せの評価していこうというのが新たに設けられた 加算 (Ⅰ)ということです。

加算のイメージ

加算のイメージ

加算のイメージとしては、

  1. 今までの加算 (Ⅰ) が 平成27年4月より加算 (Ⅱ) となった
  2. 新たな定量的要件が設けられた

そして、新たな加算 (Ⅰ) は、

キャリアパス要件1 + キャリアパス要件2 + 新たな定量的要件

ということが算定要件として定められました。

キャリアパス

キャリアパスは、career(経歴) path(通り道)という意味です。

もともとは離職率の高い介護業界の安定化を図るために作られたのが介護職員処遇改善加算であり、キャリアパスは介護士が向上心を持って介護の仕事を続けていくのであれば、それを適切に評価するというシステムのことです。

キャリアパス

【参考:厚生労働省 キャリアパスガイドライン

でも、ここで一体どうやってその介護士を評価していくのかって思いませんか?
そこで必要になるのが、キャリアパスの仕組みと体系です。

キャリアパスの仕組み

キャリアパスの仕組み

【参考: 厚生労働省 介護職員のキャリアパスについて

キャリアパスの体系

ただ長いこと働いていれば良いのかといえば、全くそういうわけではありません。
大切なのは、介護職員としての基本指針があってこその経験年数スキル、情意です。

介護職員としてのあるべき基本指針

  1. 介護職員として自覚と責任ある行動ができる。
  2. 基本的人権を擁護し、自己決定を最大限尊重し、自立に向けた支援ができる。
  3. 利用者の理解と利用者・家族との良好な人間関係の確立ができる。
  4. 組織における役割・心構えの理解と適切な行動ができる。
  5. 生涯にわたる主体的な自己学習の継続ができる。

スキル

スキルに関する目標・評価の構成要素は「社会力」と「介護力」に分けられています。

社会力

法人内における役割・心構えなど社会人・組織人として必要な力をいいます。
ステップは三段階になっています。

  1. 良好な人間関係を築く基礎力を養う。
  2. 利用者・職員に対して、良好な人間関係を保てる。
  3. 組織人として自覚を持ち、初任者等の模範となる行動ができる。
介護力

介護技術や福祉・介護の知識や利用者への支援に対する理解をしたうえで入所者の人権を尊重したアプローチができる力をいいます。
ステップは三段階になっています。

  1. 指導を受けながら日常的な業務ができる。
  2. 自立して日常業務ができる。
  3. 一般的介護知識・技術と職業倫理をもって、チームケアが形成できる。

情意

日常の職務行動を規律性、協調性、積極性、責任性の4つの観点で評価します。
ステップは三段階になっています。

  1. 積極性をもった行動ができる。
  2. 規律性、協調性をもって業務を遂行できる。
  3. 自らの役割、責任を遂行でき、チームメンバーの意欲を引き出すことができる。

研修

そして、経験年数、スキル、情意を積み重ねていくうえで大切なのが研修になります。
ステップは三段階になっています。

  1. 介護力や社会力を養う基礎的な研修
  2. 介護力や社会力を養う発展的な研修
  3. 介護力や社会力に関する専門的な研修

【参考:厚生労働省 キャリアパスガイドライン

定量的要件

職場環境等要件とも呼ばれるのが定量的要件です。

平成 27 年4月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善の内容及び要した費用を全ての介護職員に周知していること。

これを簡単に説明すると、

賃金改善以外の処遇改善の内容を全ての介護職員に周知させれば定量的要件を満たしたということになります。

ここで大切になるのが、賃金改善以外ということなのですが、賃金改善以外の改善にはどういったものがあるのでしょうか?

ここでは幾つかの例を挙げさせていただきます。

処遇全般

  • 賃金体系等の人事制度の整備
  • 非正規職員から正規職員への転換
  • 短時間正規職員制度の導入
  • 昇給又は昇格等の要件の明確化
  • 休暇制度・ 労働時間等の改善
  • 職員の増員による業務負担の軽減
  • その他

教育・研修

  • 人材育成環境の整備
  • 資格取得・能力向上のための措置
  • 能力向上が認められた職員への処遇・配置の反映
  • その他

職場環境

  • 出産・子育て支援の強化
  • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化
  • 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成
  • 介護補助器具等の購入・整備等
  • 健康診断・腰痛対策・こころの健康等の健康管理面の強化
  • 職員休憩室・分煙スペース等の整備
  • 労働安全衛生対策の充実
  • 業務省力化対策
  • その他

【参考:介護人材の処遇改善の充実に向けて

算定要件の簡単な説明

介護職員処遇改善加算 (I) の算定要件

介護職員処遇改善加算 (I) は以下の全てに適合しているということになります。

改善計画

次の1~4のいずれにも適合すること

  1. 介護職員の賃金改善に要する費用の見込額が介護職員処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、当該計画に 基づき適切な措置を講じていること。
  2. 指定事業所において、1の賃金改善に関する計画、当該計画に係る実施期間及び実施方法その他の介護職員の処遇改善の計画等を記載した介護職員処遇改善計画書を作成し、全ての介護職員に周知し、都道府県知事に届け出ていること。
  3. 介護職員処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。
  4. 当該指定事業所において、事業年度ごとに介護職員の処遇改善に関する実績を都道府県知事に報告すること。

これを簡単に説明すると、

賃金改善計画を作成 → 全職員に周知 → 都道府県知事に届け出 → 計画通りに賃金改善を実施 → その実績を事業年度ごとに都道府県知事に届け出、ということになります。

注意事項

次の1~2のいずれにも適合すること

  1. 算定日が属する月の前12月間において、労働基準法、労働者災害補償保険法、 労働安全衛生法、雇用保険法その他の労働に関する法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと。
  2. 当該指定事業所において、労働保険料の納付が適正に行 われていること。

これを簡単に説明すると、

労働基準違反で罰金か、労働保険料の未納がああれば介護職員処遇改善加算は受けれません、ということになります。

キャリアパス要件

次の1~2のいずれにも適合すること

キャリアパス要件 1

職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること

次に掲げる要件の全てに適合すること。

  1. 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(賃金に関するものを含む)を定めていること。
  2. 1 に掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
  3. 1 及び 2 の内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
キャリアパス要件 2

資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること

介護職員の資質向上のための計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保するとともに、全ての介護職員に周知していること。

定量的要件

平成27年4月から賃金改善計画書の届出日の属する月の前月までに実施した介護職員の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く。)及び当該介護職員の処遇改善に要した費用などの全てを全職員に周知していること。

【参考:平成27年度介護職員処遇改善加算について

まとめ

なかなか難しそうに思える介護職員処遇改善加算ですが、加算がとれるかとれないかが、今までもこれからも大きな差になってくるのは間違いないことです。

ここからは介護職員処遇改善加算にまつわるちょっとした参考を幾つか説明させていただきます。

東京都の案内

東京都であれば、わからないことがあり次第電話で聞くことが最も早い方法ですが、提出期限が近ずくとやはり電話もつながり辛くなってくるものです。

提出期限

「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」

  • 居宅サービスは 4月15日 まで
  • 施設サービスは 4月  1日 まで

「介護職員処遇改善計画書」及び「必要な添付書類」

  • 4月30日まで

【参考:東京都福祉保健局 介護職員処遇改善加算について

介護職員処遇改善加算に関するお問い合わせ

【処遇改善加算お問い合わせ専用電話】

専用電話:03-5320-4343(直通)

<受付時間>月曜日から金曜日まで(祝日を除く)

  • 午前9時00分から12時00分まで
  • 午後1時00分から5時30分まで

キャリアパス導入促進事業

これは東京都が行っている、キャリアパスの導入に取り組む介護事業者に対し、キャリアパスの導入に要する経費の一部を補助することにより、介護職員の育成・定着を図るというもの、その上限額は200万円です。

【参考:東京都 介護職員キャリアパス導入促進事業

まとめのまとめ

マニアックだし、難しそうで長い文章ということもあり、読んでくれている方は少ないとは思いますが、自分が申請の手伝いをした時には調べるような情報も少なくかなり大変なものでした。

ですので、これがどこかの誰かのお役に立っていれば本望です。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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