退職を考える上で知っておきたい社会保障

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より安全に前回の記事「家族介護をする上で知っておきたい社会保障」では、家族介護に関係する 4つの社会保障 について説明させていただきました。

今回の記事では、離職率の高い介護職の離職に関係する 4つの社会保障 を簡単に説明させていただきます。

例えば、デイサービスなどの場合、事業所の業務が法令に違反しているなんてことも少なくはないと思います。

法令に違反していなくても、人員削減のために退職を望ませるように仕向ける事業所もあるのではないでしょうか?

泣き寝入りしては事業者の思うつぼです。

特定理由離職者の範囲に含まれると思われますので、まずは調べてみてはどうでしょうか?

失業給付

失業給付とは?

労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。

【参考:厚生労働省 雇用保険制度

対象となるのは?

以下の全てを満たしている方が対象です。

  1. 会社を退職し雇用保険の加入者でなくなった方
  2. 現在、求職活動中で今後も働く意志のある方
  3. 退職した日以前の1年間で雇用保険加入期間が6カ月以上ある方

3.に関しての補足ですが、1カ月あたり14日以上働いた月の通算が6カ月以上あれば雇用保険加入期間が6カ月以上となります。

また、転職した場合でも、それぞれの会社で雇用保険に加入していた期間を、合計することができます。

雇用保険に関して

そもそも雇用保険とは会社員が加入する保険のひとつ。正社員だけでなく、派遣社員でもアルバイトでも、労働時間などの条件を満たすと原則的に加入できます。

ポイント

大きなポイントとなるのが、会社都合での失業か、自己都合での失業か、というところです。

  • 会社都合での失業:7日間の失業待機期間後に給付開始
  • 自己都合での失業:3ヶ月間の給付制限期間後に給付開始

このように自己都合での失業の場合、給付制限として3ヶ月間も要することになります。

また、給付される額、給付される日数は、雇用保険加入期間と年齢によって定められているのですが、そこでも会社都合での失業のほうが圧倒的にお得です。

会社都合での失業を 特定受給資格者 と呼びます。

特定受給資格者

特定受給資格者の範囲を簡単に説明すると以下のようになります。

  • 「倒産」等により離職した者
  • 「解雇」等により離職した者

【参考:厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

特定理由離職者

自己都合の失業でも会社都合の失業と同じ給付日数を得ることができる方法があります。

それが 特定理由離職者 という、正当な理由のある自己都合の失業です。

特定理由離職者の範囲を簡単に説明すると以下のようになります。

  • 労働契約の期間が満了したが、更新されなかった者

それか、以下の正当な理由のある自己都合により離職した者

  • 身体的な機能の減退等により離職した者
  • 妊娠、出産などにより離職した受給期間延長措置を受けた者
  • 両親の死亡や疾病などで扶養するために離職を余儀なくされたなど家庭の事情が急変したことにより離職した者
  • 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となり離職した者
  • 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
  1. 結婚に伴う住所の変更
  2. 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
  3. 事業所の通勤困難な地への移転
  4. 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
  5. 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
  6. 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
  7. 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

【参考:厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

そもそも雇用保険は加入していますか?

私が働いていたデイサービスでは会社都合の退職であったにもかかわらず、雇用保険さえ入っていませんでした。

適用要件

次に該当する労働者の方は、事業所規模に関わりなく、 原則として、全て雇用保険の被保険者となります

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること

ですが、現在雇用保険未加入であっても遡って加入できる場合がありますので、そこまで心配しなくても大丈夫です。

また、現在雇用保険に加入しているかというのも、最寄のハローワークより確認ができます。

【参考:厚生労働省 雇用保険に加入していますか

また、雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能ですので申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方はこちらをご覧ください。

厚生労働省 申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ

支給金額

ここでは、シツホという失業給付を計算してくれる、とても便利なサイトをご紹介します。

シツホ 直近6カ月間の給与総額で金額が決まる

申請の手順

申請の手順に関してはこちらをご覧ください。

ハローワーク 雇用保険手続きのご案内

再就職手当

これは簡単に言ってしまうと、失業者を早く就職させたい考えている国からの早く仕事についたことへのご褒美的な制度です。

再就職手当とは?

再就職手当とは、雇用保険受給資格者のみなさまが基本手当の受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就き、又は事業を開始した場合に支給することにより、より早期の再就職を促進するための制度です。

【参考:厚生労働省 再就職手当のご案内

その条件とは?

これを簡単に説明すると失業給付の申請をした方、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある方に対して支払われる制度です。

再就職手当の支給を受けるには下記のすべての要件を満たす必要があります。

  1. 受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと。
  2. 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
  3. 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
  4. 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
  5. 1年を超えて勤務することが確実であること。(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
  6. 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
  7. 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたこ
    とがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます。)
  8. 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたもので
    ないこと。
  9. 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと。

【参考:厚生労働省 再就職手当のご案内

その金額は?

就職等をする前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数により給付率が異なります。

支給日数を所定給付日数の再就職手当の額は次のとおりです。

  • 3分の2以上残して早期に再就職した場合:基本手当の支給残日数の60%の額
  • 3分の1以上残して早期に再就職した場合:基本手当の支給残日数の50%の額

よって、早く再就職すると、より給付率が高くなります。

なかなか次の就労先が決まらなかった私でさえ、30万円近く支給されたので、これは絶対にもらうべきです。

手続きに関してはとても簡単で、指定の用紙に事業主のサインをもらう程度です。

ただ、長く働くと見込まれているということが条件です。

就業促進定着手当

これを簡単に説明すると、以前に働いていたところよりも現在働いているところの給料が安いようであれば、その差額の半年分を支給しますという制度です。

就業促進定着手当とは?

「就業促進定着手当」とは、再就職手当の支給を受けた方で、再就職先に6か月以上雇用さ
れ、再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日
数の40%を上限として、低下した賃金の6か月分を支給するものです。

【参考:厚生労働省 就業促進定着手当

その対象となるのは?

平成26年4月1日以降の再就職で、次の要件をすべて満たしている方

  1. 再就職手当の支給を受けていること
  2. 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること(起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません)
  3. 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること

【参考:厚生労働省 就業促進定着手当

計算式

離職前の賃金日額-再就職後6か月間の賃金の1日分の額×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数

申請手続き

「就業促進定着手当」の支給申請書を再就職からおおむね5か月後にハローワークから郵送しますので、期限までに必要書類を添えて申請手続を行ってください。

申請期間

再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間

申請先

再就職手当の支給申請を行ったハローワーク(郵送での申請も可)

申請書類

  1. 就業促進定着手当支給申請書
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. 就職日から6か月間の出勤簿の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
  4. 就職日から6か月間の給与明細又は賃金台帳の写し(事業主から原本証明を受けたもの)

【参考:厚生労働省 就業促進定着手当

未払い賃金立替払い

これを簡単に説明すると、倒産などにより給料が支払われなかった場合に、その未払いの賃金を立て替えてくれるという制度です。

未払い賃金立替払いとは?

企業倒産により賃金未払のまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度で独立行政法人労働者健康福祉機構が支払等の業務を実施します。

事業主に係る要件

  1. 労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施
  2. 倒産したこと

2.に関しては、事実上の倒産(中小企業事業主のみ)か以下の4つに該当する場合になります。

  • 法律上の倒産 破産手続開始の決定(破産法)
  • 特別清算手続開始の命令(会社法)
  • 再生手続開始の決定(民事再生法)
  • 更生手続開始の決定(会社更生法)

立替払いの額

未払賃金総額の8割

【参考:労働者健康福祉機構 未払い賃金の立替払い制度

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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