療養通所介護の内容とポイント

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療養通所

介護サービスの種類」という記事では介護サービスの種類を説明させていただきました。

それでは、それぞれの介護サービスの内容とポイントをご説明していきます。

それぞれの介護サービスの内容とポイント、第8回目は「療養通所介護」です。

療養通所介護は、私が以前に働いていた施設に併設されていたので少しだけ身近な感じがします。

今回の記事を書くにあたり、その療養通所介護のスタッフに協力していただきました。

療養通所介護、簡単に説明すると?

それではまた例によって、厚生労働省の介護保険の解説 -サービス編 –より定義から見ていきたいと思います。

常時看護師による観察が必要な難病等の重度要介護者またはがん末期患者を対象とし、療養通所介護計画にもとづき、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を行います。

これを簡単に説明すると、 医療的なケアに重点を置いたデイサービス です。

 
療養通所介護
分類居宅サービス
監督・指導都道府県
対象要介護1以上
利用する場所通所介護の施設
別名医療デイ

その対象と利用するためには?

医療的なケアに重点を置いたデイサービスということで、たくさんのニーズがあるように思われるかもしれませんが、療養通所介護の対象者はとても限られています。

療養通所介護は、常に看護師による観察を必要とする 難病、認知症、脳血管疾患後遺症の重度の要介護者、それと、がん末期患者を対象にしたサービスです。

その定義では難病、認知症、脳血管疾患後遺症とありますが、「」とあるように、その3つに限定されているわけではなく、常に看護師による観察が必要な医療ニーズの高い要介護者が対象となっています。

ですので、65歳以上でなくても介護保険が適用される条件を満たし、なおかつ医療ニーズが高いようであれば40~64歳の方でも利用することができます。

常に看護師による観察? 医療ニーズ?

前述の通り、療養通所介護は「医療的なケアに重点を置いたデイサービス」ですので、医療ニーズはもちろんのこと、通所介護としての介護ニーズも併せ持っています。

つまり、医療ニーズだけではなく、介護ニーズも併せ持つ要介護者が対象となるのです。

では、常に看護師の観察が必要な医療ニーズ、介護ニーズも併せ持つ要介護者はどういった方なのでしょうか?

Point !

常に看護師の観察が必要な医療ニーズ、介護ニーズも併せ持つ要介護者とは、

  • 気管切開をしている方
  • 常に膀胱内の尿を外に導き出せるようにした留置カテーテルをしている方
  • 脊髄損傷により首から下が麻痺の方
  • アルツハイマー病で全身に拘縮が見られる方
など、呼吸、食事、排泄、身体の清潔などを自分ですることができず、いくつもの援助が必要なため常に看護師による観察を要す方など。

上記はあくまで例であり、他にもがん末期患者などを対象にしています。

療養通所介護サービスの目的

では、こういった病院でもデイサービスでもない療養通所介護サービスの目的とは何かというのを次に見ていきます。

療養通所介護サービスは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう心身機能の維持回復だけでなく、利用者の社会的孤立感の解消、そして家族の介護の負担軽減などを目的として実施しています。

以上が厚生労働省のどんなサービスがあるの? – 療養通所介護の定義になりますが、療養通所介護サービスの目的として本当に大切なのは利用者本人と家族の思いです。

本来、常に看護師による観察が必要なのであれば、施設に入所するというのが一般的ですが、「それでも家にいたい」「それでも家にいてほしい」といった利用者と家族の思いをつなげたのが療養通所介護なのです。

利用者が自宅での生活を続ける上で家族の介護はやはり避けては通れないものです。

そして、介護ニーズ、医療ニーズが高くなればなるほど利用者だけでなく家族も引きこもりになりがちになってしまいます。

そういった社会的孤立の対策として、自宅での生活を続けながらも毎日少しでも外に出るというデイサービスが挙げられますが、デイサービスでは医療処置を要する利用者を断っているところが多いのが現状です。

そういった面も広くカバーしたのが療養通所介護サービスなのです。

具体的な内容は?

具体的な内容としては食事・入浴・健康チェックがすべての方に共通して行われ、利用者によっては機能回復訓練も行われます。

また、療養通所介護は通所ですので、利用者宅への迎え と 利用者宅への送り があります。

では、ここから社保審-介護給付費分科会の資料3と私の経験をもとにさらに詳しく見ていきます。

食事について

食事は経口摂取であれば職員による介助、経管栄養であれば看護師によって行われます。

中重度の方が対象ということもあり、私の経験では食事の介助を要する方と経管栄養の方がほとんどでした。

入浴について

利用者本人・家族が療養通所介護の利用開始を決めた理由の80%以上が「家族の介護負担軽減やレスパイト」となっており、次いで「入浴希望」が63.6%を占めているほど療養通所介護の入浴にはニーズがあります。

というのも、利用される方は常に看護師の観察と医療的ケアが必要な方のため、家族一人ではお風呂に入れてあげられないという現実があります。

療養通所介護の入浴介助状況

  • 療養通所介護サービスにおいて、入浴している利用者は88.9%を占める
  • 入浴にかかる時間は30~45分未満が70.9%と最多で、60分以上の利用者も3.9%
  • 「看護師+介護職員」の組み合わせで手厚く入浴介助している

上記のデータからもわかるように、医療的ケアが必要ということで一般的な施設の入浴介助よりも療養通所介護は手厚く長い時間をかけているところが多いため、家族からのニーズもあります。

健康管理について

健康管理については、血圧、体温、酸素量といったいわゆる一般的な健康チェックから、利用者の体調、病状、心身の状態の把握、服薬の管理までと幅広く、状況によっては吸入や吸引、摘便や浣腸、褥瘡の処置なども看護師によって行われます。

療養通所介護の緊急時対応体制

医療的なケアが必要という中重度の方が対象の療養通所介護では、サービスの提供中に利用者の容態に急変が生じた場合は速やかに主治医へ連絡し必要な措置を講じることになっています。

「サービスの提供中に利用者の容態に急変が生じた場合は速やかに主治医へ連絡し」

ここまでは療養通所介護でなくても介護施設であれば当然のことですが、療養通所介護では緊急時の対応として 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 より以下のことが定められているのが大きな違いです。

・指定療養通所介護事業所は、利用者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、緊急時対応医療機関を定めておかなければならない。

・緊急時対応医療機関は、指定療養通所介護事業所と同一の敷地内に存し又は隣接し若しくは近接していなければならない。

・指定療養通所介護事業所は、緊急時において円滑な協力を得るため、当該緊急時対応医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておかなければならない。

つまり、療養通所介護は医師や訪問看護ステーションと連携したサービスが提供されているということです。

私が以前に働いていた施設に併設されていた療養通所介護の隣には訪問看護ステーション、そこから少し歩いたところには緊急時対応医療機関がありました。

機能回復訓練について

利用者個々の課題に合わせ、リハビリテーション実施計画書を作成し、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを個別リハビリテーションとして提供します。

送迎について

療養通所介護はあくまで日帰りが特徴の通所介護(デイサービス)なので、利用者の自宅から施設までの送迎を行います。

療養通所介護の利用者別の送迎状況

  • 療養通所介護の利用者について、個別送迎を実施している割合は68.6%である。
  • 個別送迎に係る人員配置では2名体制が67%と最多で、複数名体制は74.9%を占める。
  • 個別送迎に係る複数名体制の職種では、ほぼ全ての利用者に看護職員が同伴している。

また、送迎に看護職員が同伴する理由として

  • 状態が不安定なため、見守りが必要
  • 急変の可能性がある
  • バイタルサイン測定し、利用不可決定をするため
  • BIPAP(人工呼吸器)使用あり、緊急時対応が必要なため

このデータからもわかる通り、送迎時の困難点・工夫点をふまえ送迎でも万が一に備えての手厚いものとなっています。

メリットとデメリット

メリット

1.  利用定員の数

平成26年の社保審-介護給付費分科会の資料3にもあるように、療養通所介護の利用定員は9名以下となっています。小規模型のデイサービスでも利用定員10名なので、それよりもさらに少ない人数が利用定員となっています。

私が働いていた施設に併設されていた療養通所介護では利用定員が5名でしたが、他の施設では感じたことがないほど本当にのんびりとしていました。

また、利用者1人につき6.4平方メートル以上であって、明確に区分され他の部屋等から完全に遮断されていること ともあるように、とにかくゆっくりしているというのが私の療養通所介護の第一印象でした。

2.  利用者の数が 1.5 に対し、介護・看護職員 1 以上

利用者の数が 1.5 に対し、介護・看護職員 1 以上、うち1人以上は常勤の看護師であって、専ら指定療養通所介護の職務に従事する者を配置すると定められているため、少人数ならではのきめ細かく手厚いサービスが受けられます。

療養通所介護がのんびりとしている理由の一つです。

3.  通所であることと送迎

自宅での介護をする上で介護者の介護負担というのは避けられません。
さらに中重度ともなればなおさらです。

「それでも家にいたい」「それでも家にいてほしい」その思いを支援するのが通いをメインとした療養通所介護(デイサービス)です。

送迎による外出は景色を見たり、季節を感じたりもできますが、外に出るということは何よりも大切な社会との交流なのだと思います。

4. 小規模型通所介護と比べると

療養通所介護の利用料は要介護度に関係なく、利用時間で計算します。

3~6 時間の利用で 1 回 1007単位
6~8 時間の利用で 1 回 1511単位

となっているのですが、小規模型通所介護で要介護 5 の方が 8 時間利用すると 1 回 1405単位なので、「少人数」「看護師配置」「主治医と訪問看護ステーションとの連携」の療養通所介護はとてもお得に思えます。

5.  主治医と訪問看護ステーションとの連携

療養通所介護の「主治医と訪問看護ステーションとの連携」は、とても大きなものです。

療養通所介護を週 2 回利用し、訪問看護を週 2 回しているのであれば、連携によってその利用者の状態の把握もスムーズになります。

また、看護師は療養通所介護と訪問看護を兼務することもできるため、利用者のご自宅に伺うこともあれば、療養通所介護の送迎としてお伺いすることもあります。

これは家族の安心にもつながりますが、利用者本人の健康を細かく管理する上でとても大切なことでもあります。

デメリット

1.  介護報酬に左右される

これは家族には直接関係のないことですが、療養通所介護はいわゆるコストパフォーマンスが低い介護事業なうえに、少人数制ということから稼働率に大きく左右されるため、平成 26 年 11 月の時点で事業所数が 81 箇所しかありません。

コストパフォーマンスの低さ
  • 入浴や送迎、処置料の加算がない
  • 人件費が高い
  • 介護度が関係しない

療養通所介護事業所の法人種別では、営利法人が最多の40%となっているので、介護報酬が大幅に見直されたりでもしない限り、経営的にも困難な療養通所介護が現在の横ばい状態から増えていくことは考えられません。

療養通所介護の利用料の目安

療養通所介護のサービス費用は、サービスを提供していた時間で設定されているので、要介護度は関係ありません。

利用者が支払う一割の金額はこちらになります。

療養通所介護の金額

療養通所介護
3時間以上6時間未満の場合1,007円(1回につき)
6時間以上8時間未満の場合1,511円(1回につき)

こちらは厚生労働省のどんなサービスがあるの? – 療養通所介護を参考にさせていただきました。

※上記の表はあくまで目安ですので、詳しくは市町村・東京都では23区の特別区の窓口までお問い合わせ下さい。

まとめ

私は月に数回、併設されている療養通所介護にヘルプに行っていたが、いつも思っていたのはその介護度の高さでした。

厚生労働省の平成 26 年のデータでも 療養通所介護の利用者は、要介護5で70%を超える とあるようにほとんどの方が重度の方です。

結局はデイサービスなので、当日中に自宅に帰るのですが、自宅に帰った後も家族が介護をしていると思うと、複雑な気持ちになります。

利用者本人・家族が療養通所介護の利用開始を決めた理由の 8 割以上がレスパイト(在宅介護をしている家族を癒やすため、一時的にケアを代替する家族支援サービス)である療養通所介護ですが、今後も在宅介護を推進していくのであれば、より一層のサポートが必要になってくるのではないでしょうか?

職員三人で一人の利用者の送迎をすることもあれば、入浴をすることも、排泄交換をすることもあります。

利用されるほとんどの方が重度だとしても、職員の介助量によってはやはり加算を設けていくべきに思えます。

全国の療養通所介護で働く方の思いとしては、

  • 入浴、送迎、処置などの加算がないので経営的に厳しい
  • 経営が厳しければ、スタッフ数も増やせず、利用者の数を増やせない
  • 重度の方を対象としているため、容態の変化で急に休みになることも多く、人数が変動しやすい
  • 介護士+看護師の休みも含めた人員配置は、人件費が通常のデイサービスよりもかかるが、それに見合った介護報酬でない

など様々なことが考えられます。

全国の療養通所介護の 85% が赤字経営と言われています。

介護そのものはとても理想的なだけに、国に柔軟な対応をしてほしいものです。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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