介護士の退職の理由

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腰痛

介護士の退職理由の中で多いのはやはり、「給料の低さ」「人間関係」「腰痛」「介護疲れ」だと思う。

先にお伝えしておきたいのが、これはあくまで私が働いてきた特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ショートステイ、デイサービスなどで共通していること。

私は今までで以上の4カ所の介護施設で働いてきたのだが、特養、有料、ショート、デイ、すべての施設でその施設特有の退職理由がある。

ここからはその4カ所(特養、有料、ショート、デイ)について説明していきたい。

4カ所(特養、有料、ショート、デイ)特有の退職理由

特別養護老人ホーム

特養では3つの介護の大きな仕事と言える「食事介助」「入浴介助」そして「排泄介助」が全体の業務の8割以上を占めている。

そして各フロアーの利用者(高齢者)の人数が多く、その介護度も高いというのが大きな特徴だろう。

食事介助でいえば、1人の職員に対して4人から5人の利用者の食事の介助をし、
入浴介助でいえば、1日に20人近くの利用者の入浴の介助、
排泄介助でいえば、1回にそのフロアーにいる利用者ほぼ全員の排泄介助をしなければならない。

つまり、特別養護老人ホームがその4か所のなかでも一番肉体的疲労を伴うだろう。

有料

有料老人ホームは特別養護老人ホームとは全くと言っていいほど違う。(私が働いていたのは有料老人ホームの自立のフロアーだったということを先にお伝えしておきたい)

何が違うのかを一言で表すと、やはり「中身の伴った尊厳」だろう。

特別養護老人ホームなどでは施設のスローガンに「自尊心の尊重」を意味する言葉が掲げられているのだが、結局のところはそんなものは形だけでしかない。

だが、「有料」と付くだけあって有料老人ホームでは「利用者」を「お客様」、「〜〜さん」を「〜〜様」と呼ぶ言葉使いにも表れているように利用者と職員の関係が明らかに他と異なっている。

それは入居金何千万円、月の支払いが何十万円ということを考えれば当然で、「高齢者施設」というよりも「ホテル」に近いものがある。

今でもどこかにはあるのかもしれないが、片膝でそのお客様と話さなければならない有料老人ホームがあると聞いたことがある。

仕事の内容も、介護業務というよりかは「介護もできる便利なコンシェルジュ」といった方が合っている。

「プリンターを買ったんだけども接続の仕方がわからないから来てくれ」や「証券会社の人間が来るから私の部屋まで通してくれ」など、注文、要望、苦情まで他の施設では考えられないほど様々なことを言われる。

特別養護老人ホームなどでは、一人の利用者が「外にコーラが買いに行きたい」と言ったとしても普通に考えて無理でしかないのだが、有料老人ホームでは「電気屋にちょっと行きたい」「スーパーに連れてってくれ」などの要望があれば、施設の車で送迎までしてくれる。

入浴の介助も「私は一人で大浴場に入りたい」などの要望があれば応え、時間になると夜遅くとも個浴に一人で入られる方もいる。(当然、時間はさだまっており職員が定期的に声をかけにいく)

特別養護老人ホームによっては、各フロアーごとに違った色の介護服を利用者に着させているところもあるが、有料老人ホームでは個々の着たい服や家族の選んだ服を着ていただくため、「介助がしにくい」「場合によって時間が大幅にかかる」「汚したら大変」「なくしたら大変」などの問題も多く存在する。

そして何よりもお金持ちに囲まれていると自分が惨めに感じたりもする。

さらには有料老人ホームはいわゆる介護施設ではないため、介護経験のない施設長なども多く、介護士や看護師などの現場サイドと施設経営者サイドに大きな溝があるのも有料老人ホームならではだろう。

ショートステイ

ショートは有料老人ホームほどではないが介護施設としてはちょっと変わっている。

それは「短期入所生活介護施設」という正式な名称からも読み取れるように、ある定めた期間内のみ入所する施設ということで、「家族の都合で3泊4日だけ施設に入所」など30日以下であれば好きな期間を決め宿泊できる。

特徴としては、入所しているすべての利用者が30日以内の短期での宿泊ということ。

仕事の内容としては、食事介助、入浴介助、排泄介助といった通常の介護業務はもちろんなのだが、それに加えて毎日何件もの入所と退所があるため、荷物チェックだけでもとてつもない量になる。

これはどこのショートステイも同じなのかはわからないのだが、私が働いていたところでは家族の方にあらかじめ持ってくる荷物を専用のシートに記入していただき、利用者が施設に到着した時にそのシートで実際の荷物を再度確認し、退所時にまたそのシートで確認をしていた。

こう説明をするとなんでもないようなことに思えるもしれないが、何かがなくなったとなればトラブルにもなるため、一つ一つの色や形などの特徴と数を記入すると一人につき1時間ほどかかってしまう。

その日の入所が7件ともなれば担当の職員はほぼ半日かかったりもするが、やはりそれでも何かを忘れたりなどのちょっとしたトラブルはしばし起きてしまう。

介護士として大変なのは、毎日のように利用者が入れ替わるため、その名前を覚えるのだけでなく特徴を覚えるだけでも一苦労ということ。

そして、日々利用者がさだまっていないので職員1人の仕事量もまちまちとなり、それが偏った仕事量の怠慢な状態へと繋がりやすくなってしまう。

私が見た介護施設の中でもっとも事故が多く、職員同士の不仲が見られたのがショートステイだった。

デイサービス(小規模デイサービス)

デイサービスの主な特徴は「職員による施設までの送迎」と「日帰り」ということだろう。

そして4箇所の介護施設のなかでもっとも利用者が少ないというのも忘れてはいけない。(小規模デイサービスの場合は利用定員数10人)

ここまでであればさほど大変そうに思えないだろうが、私がいたデイサービスでは介護はもちろんのこと、送迎から調理、そして事務まで少ない職員でやらなければならなかったため、慣れるまでは毎日が大変だったのを覚えている。

確かに介護業務以外の仕事は不慣れで大変だったが、「直接的な介護も環境が整ってこそ」ということを覚えたり、「小さな施設でしかできない介護」というものを前面にだし、晴れれば毎日のように利用者を連れては近くからちょっと離れた場所まで散歩をしたり、時には利用者を連れてスーパーや100円ショップなどにも出かけたりと、一つのデイサービスを少ない職員で成長させていくということで職員同士の仲はとても良かった。

ただ、デイサービス自体、施設として大きくはないため、利用者が一人いなくなるだけでも大きなダメージで、経営者側の煽りが介護士一人一人に直接的に届くというのが問題だった。

次第に経営者側も介護士側も「介護をするための施設」というよりか「介護でお金を稼ぐための施設」という意識で運営をしなければならず、私がいた施設は一年もしないうちに別の会社に売り飛ばされてしまった。

私のなかで、デイサービスは4箇所のなかでももっとも責任が重い。

例えば、送迎では一人で利用者宅へ迎えに行くのだが、乗り込む際や乗車中などに急変したらそれこそパニックになってしまう。

常に職員一人一人が「売り上げを伸ばせなければデイサービスとして続けていけない」という経営責任も感じていなければならない。

そして、毎送迎時に介護士が直接家族に会うというのも何かと責任を感じる。

まとめ

その施設それぞれで「介護」というものは大きく違う。

そしてこればっかりは働いてみないとやはりわからない。

一度、特別養護老人ホームなどで働いていたとしても有料老人ホームにいけば、「今までの私の介護」というものを考えさせられたりもするだろう。

私が思うのはやはり「職員を大切にする介護施設がこれから増えていってほしい」ということ。

これから先の介護を考えると人材不足はどうやっても避けられず、人材の確保が上手な施設が本当に信頼出来る施設ということになると思う。

そのためにも高齢者に介護士を理解して欲しく、そして介護保険も介護士を少しだけでも考慮したものになってほしい。

みんなが笑顔でいる一番の方法はお互いに気を使いあうことだと思うし、それが思いやりだと思う。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。