小規模多機能型居宅介護の課題と現状

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訪問サービス・通いサービス・お泊りサービスが一つになっている、最もマルチな介護サービスである小規模多機能型居宅介護ですが、実際のところ、働いている職員からすると、そのマルチさが大きな負担となっているのではないでしょうか?
また、新しい介護サービスということもあり、はっきりとしていない面も多く、そういったことも働く職員を苦しませているのが実際のところです。

今回の記事では、「小規模多機能型居宅介護の現状」を厚生労働省の資料をもとに説明させていただきます。

小規模多機能型居宅介護とは?

まず、その小規模多機能型居宅介護というものから説明させていただきたいのですが、介護サービスの説明はしっかりと説明すると、かなり長いものになってしまいますので、今回の記事では、その定義と以前に特集した記事を載せさせていただきます。

指定小規模多機能型居宅介護は、通いを中心として、利用者の様態や希望に応じて、随時訪問や宿泊を組み合わせてサービスを提供することにより、利用者の居宅における生活の継続を支援するものである。

【参考:指定地域密着型サービス 基本方針

これを簡単に説明すると、

小規模多機能型居宅介護はデイサービスのような「通い」、ショートステイのような「泊まり」、そして訪問介護のような「訪問」の3つを自由に選んで利用出来る多機能な介護サービスです。

詳しくはこちらを ↓

小規模多機能型居宅介護の内容とポイント 前編(定義と内容と利用料)
「介護サービスの種類」という記事では介護サービスの種類を説明させていただきました。 それでは、それぞれの介...
小規模多機能型居宅介護の内容とポイント 後編(長短所とポイント)
小規模多機能型居宅介護の内容とポイントの前編では、定義と内容と利用料についての説明をさせていただきました。 ...

第111回 介護給付費分科会より

小規模多機能型居宅介護の問題点

平成26年10月に行われた社保審-介護給付費分科会における小規模多機能型居宅介護の主な意見についてを簡単にまとめさせていただきます。

  1. 現状は訪問が足りていないが、今の人員配置では困難であり、訪問機能を強化するために人員を増やし、これを介護報酬で評価することが必要ではないか。
  2. 現行の登録定員の上限では、小規模すぎて不採算であり、登録定員を増やすとともに、施設等との連携を強化すべきではないか。
  3. 小規模多機能型居宅介護における看護職員の業務内容を踏まえた上で、看護職員の人員配置を見直すべきではないか。
  4. ケアマネジメントは、利用するサービスに関わらず、一貫して行われるべきものであり、小規模多機能型居宅介護のケアプランを居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成することを認めるべきではないか。
  5. 小規模多機能型居宅介護事業所と集合住宅が併設するかによりサービスの提供状況に差があるのであれば、それはコストに差があるためであり、介護報酬において差を設けるべきではないか。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

1. 訪問サービスの機能強化について

今後、小規模多機能型居宅介護の利用者の在宅生活を継続する観点から、訪問サービスの重要性が高まることが想定されることから、訪問サービスを強化した類型を創設してはどうか?

1事業所あたり

青:通い 赤:訪問 緑:泊まり

  • 当該事業所の延べ訪問回数に関わらず、「通い」「泊まり」の利用状況は概ね同程度である。

利用タイプ別

  • 利用タイプ別にみると、「通い+訪問」は増加傾向にあり、一方で「通い+泊まり」は減少傾向にある。

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  • 訪問回数の多い事業所では、主治医との連携や地域との交流の取組割合が高い。

例

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

2. 登録定員の見直し

現行の登録定員(25人以下)を引き上げてはどうか。

定員の状況

登録定員

  • 「登録定員」「通い定員」は、基準で定める上限数に設定している事業所が約8割を占める。
  • 「登録者数/定員」(=充足率)は、80%以上の事業所が46.5%であり、平均は75.5%である。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

3. 看取りの実施に対する評価について

在宅中重度者への対応の更なる強化を図るため、看取りの実施に対する評価を導入してはどうか。

小規模多機能型居宅介護における看取りの状況

見取りの状況

  • 安定期から死亡まで通じて事業所が関わったケースは約3割であり、安定期から一定の時期(終末期、臨死 期の前)まで事業所が関わったケースを含めると約75%である。
  • 全て又はほとんどの職員に看取りの知識があるとする事業所は、約4割である。
  • 看取りに着目した報酬上の特別の評価はない。

看護職員配置加算について

看護職員

  • 看護職員配置加算の算定状況は、(I)は26.2%、(II)は22.4%(平成26年5月審査分)であり、合計で48.6% の事業所で算定されており、平成21年の加算創設以降、取得率は着実に増加している。
  • 看護職員配置加算を創設した平成21年には、看護職員を常勤化する動きがみられるが、平成21年以降の雇 用形態は概ね横ばいであり、常勤兼務や非常勤の看護職員が多数を占める。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

4. 小規模多機能型居宅介護における地域との連携に係る取組の推進

地域包括ケアシステムを推進する観点から、小規模多機能型居宅介護の地域との連 携を更に推進していくため、必要な見直しを行ってはどうか。

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住居の形態別

  • 1週間におけるサービスの提供時間は、戸建ての利用者で2,921分、サ高住等で1,534分だった。
  • 利用者1人あたり、平均的なサービス提供回数は、1カ月(平成25年11月)で、通いは平均は17.0回、訪問は10.5回、宿泊は7.3回だった。
  • 住居が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅では、「訪問」の提供回数が多く、「宿泊」の提供回数は少なく、戸建とは異なる傾向がみられた。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

5. 事業開始時支援加算について

今年度末までの経過措置であることから、現に定めるとおり、廃止してはどうか。

事業開始時支援加算について

1事業所あたり-2

  • 事業開始時支援加算の算定状況は、加算対象事業所の半数程度で概ね推移。
  • 事業開始時支援加算は、平成27年3月31日までの経過措置とされている。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

6. 中山間地域等における小規模多機能型居宅介護の推進について

中山間地域等に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えてサービス提供を行った場合を評価してはどうか。

通常の事業

  • 通常の事業の実施地域における事業所から最も遠い利用者宅までの状況は、時間数及び距離のいずれも、小規模多機能型居宅介護と他の居宅サービスにおいて大きな差は無い。

【参考:厚生労働省 小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について

まとめ

まだまだ幾つもの問題が山積みの小規模多機能型居宅介護ですが、少しづつは改善されているようです。
ただ、小規模多機能型居宅介護の離職率は、その改善のスピードに追いつけていないのが現状です。

まず、小規模多機能型居宅介護は業務の幅が広く、その範囲がイマイチはっきりとしていません。

また、「通い」と「訪問」を柔軟に両立させることは利用者にとっては良いように思えるかもしれませんが、現実的には登録人数が少なく融通が効きやすい状態でなければ、その良さは半減してしまうだけでなく、介護業務の資質にも影響が出てしまいやすくなります。
それは、小規模多機能居宅介護では、想定以上に宿泊を希望される方が多く、毎日泊まる方となると介護度によって売り上げにはかなりの違いが出てるだけではなく、運営そのものも脅かしかねません。

ただ、小規模多機能型居宅介護が先進的であることも確かです。
高齢者にとって良いものを考えるということも大切なことですが、職員の負担も考えるとう視点がなければ結局はアンバランスなものとなり、その歪は介護従事者に来てしまいます。
両者のバランスを考えてこそ「先進的」といえるのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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