厚生労働省のデータで見る「お泊りデイの実態」

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前回の記事「通所介護(デイサービス)のグレーゾーン」では、小規模デイサービスのグレーな部分である「お泊りサービス」についての説明をさせていただきました。

「お泊りデイ」をひとつのアピールポイントとして推しているような小規模デイサービスの職員であれば、他の「お泊りデイ」で事故があったという噂を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

  • 何を目的としたサービスなのか?
  • 夜間は誰が見守るのか?
  • 夜間は何人まで泊まれるのか?
  • 最長でいつまで泊まれるのか?
  • 何かがあった場合はどうするのか?
  • 宿泊の費用はいくらなのか?

「お泊りデイ」は、はっきりとしないサービスでありましたが、特養の入所待ちの方や緊急で使いたいといった家族のニーズもあり、「お泊りサービス」を提供する小規模デイサービスは瞬く間に広まっていきました。

今回の記事では、そんな「お泊りサービス」を提供するデイサービスの実態についてを厚生労働省の資料をもとに説明させていただきます。

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

お泊りサービスの現状

通所介護、いわゆるデイサービスでは、「お泊りサービス」を提供する事業所が一時、爆発的に増えたことがありました。
そして、その多くは営利法人が運営主体となっており、小規模のデイサービスがほとんどでした。

今現在では、介護保険法の改正により、「お泊りサービス」に対して「届け出をしなければ基準違反となる」と規制が厳しくなったこと、小規模デイサービスに対しての介護報酬が下げられたことなどから、介護事業から撤退をするといった法人も多く、東京都だけでも平成28年4月廃止が11件も確認されています。

今回の資料は、平成26年8月27日に公表されたもので、すでに「お泊りサービス」の届け出を出しているところが調査対象となっておりますが、実際のところは「まだ届け出をだしていない」といったこっそりと「お泊りサービス」を提供しているところも多く存在しているのはないでしょうか?

通所介護(デイサービス)のグレーゾーン
通所介護、いわゆるデイサービスは、「利用者がデイサービス事業所に行き、そこで介護サービスを受け、夕方過ぎに自宅に...

お泊りサービスの実施状況

宿泊サービスの実施状況

  • 宿泊サービスの実施状況をみると、実施している事業所は9.7%と1割程度であった。

宿泊サービスの実施状況

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

  • 事業実施形態別に、宿泊サービスの実施状況をみると64.4%(114事業所)が小規模事業所で実施しており、小規模で7時間以上9時間未満、小規模で全てのサービス提供時間に対応している事業所での実施率が高く、それぞれ22.3%、24.3%実施している。

宿泊状況2

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

連続宿泊似数の上限の設定状況

  • 宿泊サービスを実施している事業所について、連続宿泊日数の上限設定を「設定している」事業所は32.2%、「設定していな い」事業所は53.7%となっている。

連続宿泊日数の上限

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

連続宿泊日数の上限

  • 連続宿泊日数の上限設定をしている事業所の宿泊日数の上限設定の平均値は11.4泊であった。

連続宿泊日数の上限2

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊サービスの利用定員

  • 宿泊サービスの利用定員の平均値は4.4人であった。

宿泊サービスの利用定員

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

夜間の職員体制

  • 宿泊サービスの職員体制は、「夜勤体制」が53.7%、「宿直」が31.1%となっている。

夜間の職員体制

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

夜間の職員数

  • 夜間配置の職員数は、平均で2.98人となっている。

夜間の職員数

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊サービスの実施場所の日中の用途

  • 宿泊サービスの実施場所の日中の用途をみると、「静養室」として使用している割合が60.5%と高く、「食堂・機能訓練指導 室」としても29.9%が使用している。

日中の用途

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊サービスの実施場所

  • 宿泊サービスの実施場所は、「個室を分割」して使用している割合が46.3%となっている。

実施場所

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

個室を分割している場合のプライバシーの確保方法

  • 個室を分割して使用している事業所のプライバシーの確保方法は、「カーテン」が61%、「パーテーション」が45.1%、「家具の配置」が18.3%、「特に何もしていない」が7.3%となっている。

プライバシーの確保

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊の際の男女の配慮

  • 宿泊の際の男女の配慮として、「男女の部屋を分ける」が42.9%、「パーテーション等で区切り、できるだけ距離を離す」が19.2%、「男女一緒の日に受け入れない」が9.6%となっている。

男女の配慮

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

夜間の事故発生や状態急変時に備えた対応体制の状況

  • 夜間の事故発生や状態急変時に備えた対応の状況をみると、「事故発生や状態急変時の連絡先や連絡方法を決めている」 が74.6%と最も高くなっている。

やkなんの緊急時に備えた

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

自身や火災等に備えた対応の状況

  • 地震や火災等に備えた対応の状況をみると、「災害時の対応マニュアルの作成」が76.8%、「避難訓練の実施」が71.2%と なっている。

自身や火災等

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊サービスの利用経緯

  • 宿泊サービスの利用経緯をみると、「家族からの要望」が64.4%で最も高く、次いで「ケアマネジャーによる提案」が36.7%と なっている。

宿泊サービスの利用経緯

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

宿泊サービスの利用理由

  • 宿泊サービスの利用理由をみると、「家族の休息のため」が51.4%で最も高く、次いで「家族の病気、冠婚葬祭など緊急時の 対応のため」が37.9%、「家族の出張・残業など、仕事に関する緊急時の対応のため」が35%となっている。

宿泊サービスの利用理由

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

まとめ

「お泊りデイ」に少しでも関わったことのある方であれば、「〇〇デイサービスでは、夜間に利用者が亡くなったらしい」といった噂を一度は耳にしたことがあると思います。
また、そういった噂が役所やケアマネなど届いており、直接関係はないのに肩身の狭い思いをしたこともあるのではないでしょうか?

実際のところは、特養の入所待ちといった方の家族の大きな支えとなっていることも事実です。

厚生労働省より公表されている「平成23年度 デイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査事業(モデル事業)の結果について」において、

宿泊サービスを利用されている方

  • 18%は独居、17%は高齢者のみの世帯
  • 「誰かが注意していれば自立できる」という認知症自立度II以上が92%

宿泊サービスの申し込み

  • 当日申し込みが4.5%、前日3.5%
  • 宿泊サービス1回当たりの宿泊費用は平均1500円

利用者家族の介護負担

  • 非常に介護負担の軽減になり在宅生活継続の助けになる:63.2%
  • やや介護負担の軽減になり在宅生活継続の助けになる:23.0%

宿泊サービスについての今後の意向

  • 今後、利用したいと考えている:62.4%

と、ニーズに十分に応えるだけの圧倒的な支持を得ており、ショートステイの利用よりも、できるだけデイサービスでの宿泊を利用したいと考えている利用者も多くいるということがわかっています。

ですが、その反面、事業所としては「勤務ローテーションについての課題」や「コストパフォーマンスの悪さ」といったところは払拭できていないのもまた事実であり、なかなか難しい問題を多く抱えているのがこの「お泊りサービス」なのではないでしょうか?

もっと詳しいデイサービスの実情
以前の記事、デイサービスの実情では、以前に私が働いていたデイサービスを例に、デイサービスの実際の状況についてお伝...
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。