認知症高齢者への施策 新オレンジプラン

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日没

前回の記事「認知症の症状と原因」では、認知症そのものについてを詳しく説明し、「認知症の治療法と予防法」では今現在の認知症への対策を説明させていただきました。

今回の記事では、現在の認知症高齢者の状況と国の取り組みについてを、またできるだけ簡単に説明をさせていただきます。

これは以前の記事「高齢者に関しての興味深い話 第1章」で詳しくお伝えしたことですが、内閣府の平成27年版の高齢社会白書(概要版)によると、総人口に占める65歳以上の割合はおよそ4人に1人とされています。

それは同時に高齢者 1 人に対して現役世代(15~64歳)2.4 人で支えることを意味しています。

その2.4人が介護に携わる方であれば何の問題もない話ですが、経済は介護で成り立っているわけではないので、そうはいかないのが現実です。

そして、およそ4人に1人の65歳以上の方の中には当然、認知症の方も多くいます。

認知症高齢者の状況

認知症の方の数

平成26年の11月に発表された厚生労働省 認知症施策の現状についてによると、65歳以上の高齢社のうちの8~10%程度が認知症高齢者とされています。

認知症の患者数

【参考:厚生省 認知症施策の現状について

わが国の認知症の原因疾患は、1980年代まで脳血管性が最多とされました。

認知症高齢者の割合

年齢を重ねるほど認知症になりやすくなります。

65歳~70歳未満の有病率は2.9%、85歳~90歳未満では41.4%に達します。

今後、認知症に対してはさらに重要性が増すことが考えられます。

認知症の割合

【参考:認知症スタジアム

これからの認知症施策の基本的な考え方

認知症の人の不適切な「ケアの流れ」の結果として、認知症のために精神病床に入院している患者数は、5.2万人(平成 20 年患者調査)に増加し、長い期間入院し続けるという事態を招いている。

【参考:厚生労働省 今後の認知症施策の方向性について

厚生労働省では、「ケアの流れを変える」ということを今後目指すべき基本目標としています。

これは、これまでの「自宅→グループホーム→施設あるいは一般病院・ 精神科病院」というような不適切な流れを逆の流れにしていくというものです。

つまり、「認知症の人は、精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という考え方を改め「認知症になってもできる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すということです。

ここで大切なのが、本人の意思を尊重するということです。

新オレンジプラン

団塊の世代が75歳以上となる平成37年の認知症高齢者の数はおよそ700万人、65 歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症高齢者になることが見込まれています。

新オレンジプランは、平成29年度末から平成37年までを対象とした増加する認知症高齢者に対し、厚生労働省が関係府省庁と共同して策定したもので、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すとして2015年1月に正式発表されました。

では、ここからは要点を押さえできるだけ簡単に説明させていただきます。

関係府省庁

内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、 法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土 交通省

オレンジプラン1

認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

【基本的な考え方】

認知症は皆にとって身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて改めて社会全体として確認していきます。

  • 広告等を通じ認知症への社会の理解を深めるために全国的なキャンペーン展開
  • 認知症サポーターの量的・質的な養成を進め、様々な場面で活躍できるような取組を推進
  • 小・中学校においては認知症高齢者への理解を深めるような教育、大学においてはボランティア活動などの促進
認知症サポーターとは?

認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者です。
詳しくは、お住まいの市区町村へお問い合わせ下さい。

認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供

【基本的な考え方】

早期診断・早期対応を軸に、「本人主体」を基本とした医療・介護等の有機的連携により、認知症の容態の変化に応じて、適時・適切に切れ目なく、その時の容態にもっともふさわしい場所で医療・介護等が提供される循環型の仕組みを実現します。
認知症の容態 医療との関係 認知症 関係医療機関

【参考:新オレンジプラン

若年性認知症施策の強化

【基本的な考え方】

全国で 4 万人近くいると言われている若年性認知症の方は、就労や生活費等の経済的問題が大きいこと等から、居場所づくり等の様々な分野にわたる支援を総合的に講じていきます。

厚生労働省 これからの若年性認知症施策の概要
厚生労働省 若年性認知症に関する相談窓口:0800-100-2717(無料)

認知症の方の介護者への支援

【基本的な考え方】

認知症の人の介護者への支援を行うことは、認知症の人の生活の質 の改善にも繋がるため、家族など介護者の精神的身体的な負担の軽減や、生活と介護の両立を支援する取組を推進します。

認知症の方を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

【基本的な考え方】

生活の支援(ソフト面)、生活しやすい環境(ハード面)の整備、就労・社会参加支援及び安全確保を行い、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりを推進します。

  • 買い物、掃除などの家事を援助する高齢者の生活支援
  • 多様な高齢者向け住まいの確保などの支援
  • 就労、地域活動やボランティア 活動等の社会参加の促進
  • 地域での見守り体制を整備を強化する安全確保 など

優しい地域

【参考:新オレンジプラン

認知症サポーターキャラバン

厚生労働省では、「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」の一環として、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者である「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりに取り組んでいます。

認知症サポーター養成講座は、地域住民、金融機関やスーパーマーケットの従業員、小・中・高等学校の生徒など様々な方に受講いただいており、全国に約634万人のサポーターが誕生しています。(平成27年6月末現在)

認知症サポーターキャラバンの実施状況
全国キャラバン・メイト連絡協議会HP

研究開発

【基本的な考え方】

認知症の原因となる疾患それぞれの病態解明や行動・心理症状(BPSD)等を起こすメカニズムの解明を通じて、認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発を推進します。
優しい地域2

優しい地域3

【参考:新オレンジプラン

認知症の人やその家族の視点の重視

【基本的な考え方】

これまでの認知症施策は、ともすれば認知症の人を支える側の視点に偏りがちであったという観点から、認知症の人やその家族の視点の重視をプランの柱の一つとして掲げまし た。

これは他の6つの柱のすべてに共通する、プラン全体の理念でもあります。

まとめ

これからの高齢者問題で最も問題なのはやはり財政難ですが、最も大変なのは、正直、認知症患者の増加だと思います。

今現在でも手に負えなくなっている施設は山ほどあるのではないでしょうか?

利用者全員が落ち着いた方でじっと座っていてくれるような方ならば、どんどん受け入れることは可能です。

ですが、全員が同時にでもフラフラヨタヨタと動き出したら全ての方の安全を確保するのは現実的に無理になります。

また、常に安全を確保するために職員全員でスタンバイしているのだけが介護の仕事ではありせん。

ですが、「なぜ職員がいるのにもかかわらず転倒してのか?」という家族からの質問はどこの施設でも1回は受けたことがあると思います。

「利用者の尊厳を守るのであれば転倒リスクが必然的に生まれる」ということは、すべての家族に理解してほしいことですが、契約の段階までに伝えなければ、伝えることはもうできないのが私たち介護に携わる者の正直なところです。

もし家族が「施設に入ったとしても転倒だけはして欲しくない」と強く願うのであれば、拘束をしない限り絶対は保証できないのも現実です。

もうそろそろ家族と利用者にも一定のボーダーを作らなければ、これから先もどんどんと介護士が辞めていくのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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