人員不足で悩むなら理解したい「介護とメンタルヘルス」

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現場に出ない施設側の方であれば、「なぜ介護士はすぐに退職をしてしまうのだろうか?」と考えたことがあるかとは思います。
一方で、現場で働く介護士の方であれば、「なぜ施設側・管理者は現場を全く理解しようとしないのか?」と考えたことがあるのではないでしょうか?

運営を軌道に乗せていくうえで大切なことは、人件費で無駄を作らないことです。
つまり、たくさんの派遣労働者を雇い応急処置的なことをするよりかは、常勤やパートなどの安定的な雇用の促進に力を注ぐべきなのです。
そして、安定的な雇用のために、施設側は現場を理解し、溝を作らないということが大切なことなのです。

今回の記事では、以前の記事「介護職員の退職と人材確保について」と厚生労働省の資料を参もとに介護士のストレスを理解するということを説明させていただきます。

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人材確保に向けた課題と取組

ここからは、以前の記事「介護職員の退職と人材確保について」より、介護士の離職人材不足に関する4つのポイントを説明していきます。

1. 介護に対するイメージ

介護職については肯定的なイメージもある一方で、「夜勤などがあり、きつい仕事」、「給与水準が低い仕事」、「将来に不安がある仕事」など、一面的な見方が流布され、マイナスイメージが生じており、人材の参入の阻害要因となっているとの指摘がある。【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

介護に対するイメージ

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

介護をしている自分からすると、正直、介護は体力的にもきつく、将来的な不安はいつまでも拭えないような仕事であり、人に勧められるような仕事ではないと思っています。
そして、私は「介護」という言葉が苦手で、「今は何の仕事しているの?」と聞かれるのが正直苦痛にも思えます。
それは心のどこかで「介護は情けない仕事」と思っているからだと思います。

胸を張って「介護士しているよ」と言えるような人って意外と少ないのではないでしょうか?

2. 現在の職場を選択した理由

入職時には、介護という仕事への思いに比べると、法人・事業所の理念・方針や職場の状況、子育てなどの面への関心は相対的に低い。【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

現在の職場を選択した理由

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

私が最初に気にするのは通勤に関してで、次に給料面です。
福利厚生に関しては、ある程度は充実していなければ、その時点で対象外となります。

3. 過去働いていた職場を辞めた理由

離職時には、結婚・子育てや、職場の方針や人間関係などの雇用管理のあり方がきっかけとなっている。【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

過去働いていた職場を辞めた理由

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

この「法人、事業所の理念や運営のあり方に不満があった」という意見が、これから先の介護業界で大きなテーマとなってくるところではないでしょうか?
特に有料老人ホームなどでは、介護経験が全くないような方が運営に携わっているといったケースは本当に多いのが現状です。

介護事業の運営のこれからは、経営を専門とした人間に任せるといった案もたまに見かけますが、それが浸透したら今以上に現場との溝が広がっていくのではないでしょうか?

4. 離職率階級別にみた事業所規模別の状況

基本的には事業所規模別で見ると、事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向にあり、法人格別の離職率を見ると違いがみられる。【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

事業所規模別離職率・法人格別の離職率

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

先ほどの介護事業の運営に関しての結果がこれに大きく現れていると思います。
やはり民間企業などの営利目的が強ければ強いほど離職率が高いということです。

民間企業も責任を持って介護事業に参入するのであれば、経営も大事なことだとは思いますが、それよりもまずは介護の本質を学ぶべきではないのでしょうか?

メンタルヘルスについて

上記で説明をした、過去に働いていた職場を辞めた理由の「法人、事業所の理念や運営のあり方に不満があった」という意見を更に紐解いていくことが職員の退職を防ぐ上での大きなカギとなります。

ここからは、厚生労働省の「社会福祉・介護事業における労働災害」を参考に説明をさせていただきます。

介護と精神障害

事故だけが労働災害ではありません。
精神障害も事故と同様に労働災害であり、事故とともに年々増加している傾向にあります。

介護現場における精神障害の労災請求件数は増加しており、業種別にみても多い。 メンタルヘルス対策に取り組むことは労災予防のみならず、人材確保のためにも重要。【参考:社会福祉・介護事業における労働災害

労災請求

【参考:社会福祉・介護事業における労働災害

精神障害の労災請求件数の多い業種 ベスト3

  1. 社会保険・社会福祉・介護事業:140件
  2. 医療業 :95件
  3. 道路貨物運送業 :84件

また、平成26年度の精神障害の労災請求件数の多い職種としても、 介護サービス職業従事者は62件と全体でも6位に位置しています。

職場でのメンタルヘルス対策の推進

厚生労働省では、労働者の心の健康づくりを推進するため、労働安全衛生法第69条に規定する健康の保持増進として事業場が取り組むべき事項を指針として示すとともに、事業場の取り組みを支援するための事業を実施しています。

事業場の取組を支援する施策

  1. 都道府県労働局・労働基準監督署による事業場に対する指導等の実施
  2. 全国の「産業保健活動総合支援事 業」による事業場の取組支援
  3. その他メンタルヘルス対策の実施

ストレスチェック制度の創設

平成27年12月1日より、ストレスチェックの実施等が事業者の義務となっていることはご存じですか?

義務

【参考:社会福祉・介護事業における労働災害

ストレスチェックと面接指導の実施に係る流れ

介護だけでなく、どの企業にも今求められていることが、人材の確保であり、そのためには職員と職場を理解することが重要になってきます。
ここでは、例として厚生労働省のフローチャートを参考にさせていただきます。

ストレスチェック

【参考:社会福祉・介護事業における労働災害

まとめ

働けばいつもイライラとしている職員というのは、どこの施設にも一人は確実にいます。
そういったネガティブを振りまく職員というは、基本的に周りが見えなくなっているのが実際のところです。

本人のそのイライラの矛先はだいたい利用者か他の職員となりますが、利用者であれば虐待問題になる恐れがあり、職員であればイジメなどに繋がる恐れがあります。

また、仕事の意識が薄れるという点では、イジメる側もイジメられる側も事故につながりやすくなるというだけでなく、結果的に退職にもつながりやすいことが考えられるため、管理者だけでなく他の職員が早く気がつき、早急に対処することが大切です。

現在では、介護疲れからうつ病などに繋がるといったケースも増えており、精神障害として労災請求するといったことも珍しくはありません。

精神障害の労災となれば、事業所側は保険料が上がるだけでなく、さらなる人手不足に悩まされ、人手不足は職員の一人あたりの仕事量を増やすことに繋がり、事故といった結果に結びつくことも多いのではないでしょうか?

人材確保のために雇用斡旋会社に支払うお金も馬鹿になりませんし、介護事業ではそういった変動費用を抑えることが運営のポイントになります。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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