高齢者向けビジネスを考えるなら知っておきたい「高齢者の困りごと」前編

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前回の記事「高齢者向けビジネスを考えるなら知っておきたい「高齢者の不安」」では、高齢者の不安についてを具体的に説明させていただきました。

今回の記事も、前回の記事に引き続き「高齢者ビジネスを考えるなら知っておきたいこと」についてを説明させていただきます。

私はこういった考えは好きではありませんが、やはり「困っているところにニーズはある」と考えるのがビジネスの基本であり、高齢者を対象としたビジネスを考えているのなら、高齢者の「困りごと」を具体的に知ることが効果・効率で優先的なことだと言えるでしょう。

高齢者のニーズを正しく知らないが故に、高齢者特有の「堅実さ」をうまくクリアすることができず、思っていたよりもうまくいかないといった状況になる前に、高齢者ビジネスを考える上で知っておきたい高齢者の「困りごと」を内閣府より公表された3つのデータををもとに説明させていただきます。

【参考:平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果
【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果
【参考:平成27年版高齢社会白書

高齢者にとって何が困るのか?

具体的に、高齢者にとって何が困るということなのでしょうか?
まずは、高齢者の意識から見ていきます。

高齢者の意識

高齢者を知るには、高齢者の意識を知ることが大切になります。

自分が高齢者だと感じるか

自分が高齢者だと感じるか聞いたところ、「はい」43.4%、「いいえ」51.3%となっていました。自分が高齢者だと感じるか

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

高齢者だと感じるとき

以下が、「自分が高齢者だと感じる人に、どのようなときにそう感じるか?」聞いた結果になります。

  1. 体力が変化したと感じた時:58.0%
  2. 記憶力が変化したと感じた時:18.6%
  3. 外見が変化したと感じた時:6.5%
  4. 周囲の人から高齢者として扱われた時:5.8%
  5. 思考能力が変化したと感じた時:3.3%
  6. 社会とのつながりや役割が変化したと感じた時:2.4%

高齢者だと感じる時

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

体力の変化を感じる時

以下が、上記のの質問「高齢者だと感じるとき」で、「体力が変化したと感じた時」を選んだ方に対し「体力の変化はどのようなときに感じるか」聞いた結果になります。

  1. 疲れやすくなったと感じた時:39.4%
  2. 力が弱く なったと感じた時:24.1%
  3. 歩く速さが遅くなったと感じた時:21.3%
  4. 動くのが面倒であると感じた時:11.7%

体力の変化を感じる時

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

日々の暮らしに関し社会として重点を置くべきもの

  1. 老後を安心して生活できるような収入の保障:72.3%
  2. 介護サー ビスが必要な時に利用できる体制の整備:61.2%
  3. 高齢者の各種相談について身近に対応してくれる相談体制の整備:25.7%
  4. 高齢者の外出・利用に配慮した移動手段・公共交通の整備を含む高齢者に配慮したまちづくりの推進:23.2%
  5. 高齢者の体が不自由になっても生活できる住宅の整備:22.5%

以上が、「本格的な高齢社会の到来に備え、日々の暮らしに関し、社会としてどのような点に重点をおくべきか?」という質問の結果なのですが、注目したいのが、前回調査との比較で、「老後を安心して生活できるような収入の保障」は17.0ポイント、「介護サー ビスが必要な時に利用できる体制の整備」は18.0ポイント、「高齢者の各種相談について身近に対応してくれる相談体制の整備」は5.5ポイント上昇しているということです。

老後を安心して生活できるような収入の確保

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

高齢者の日常生活における6つの困難

どんな方でも、年を重ねるにつれ体力の衰えなどを感じることだとは思いますが、高齢者にとっての「困難」は、主に6つが挙げられます。
以下に掲載する今回の調査結果も参考になりますが、注目したいのは前回の調査との比較で、前回調査から現在までを知ることで、高齢者のここ最近の動向・傾向が少し伺えます。

掃除や散歩など適度な活動の困難程度

前回調査との比較からわかることは、「すこし難しいと感じる」が6.0ポイント上昇している一方で、「難しいと感じない」は 17.5 ポイント低下しているということです。

掃除や散歩など適度な活動

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

数百メートルくらい歩くことの困難程度

前回調査との比較からわかることは、「難しいと感じない」が15.3ポイント低下しているということです。数百メートル歩くことへの困難程度

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

少し重い物を持ち上げる、運ぶことの困難程度

前回調査との比較からわかることは、「すこし難しいと感じる」は7.9ポイント上昇している一方で、「難しいと感じない」は17.5ポイント低下しているということです。

少し重たいものを持ち上げる

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

階段を1階上までのぼることの困難程度

前回調査との比較からわかることは、「すこし難しいと感じる」は5.1ポイント上昇している一方で、「難しいと感 じない」は 16.4 ポイント低下しているということです。

階段を1回植まで登る

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

体を前に曲げる、ひざまずくことの困難程度

前回調査との比較からわかることは、「すこし難しいと感じる」は8.0ポイント上昇している一方で、「難しいと感じない」は 20.6 ポイント低下しているということです。

体を前に曲げる

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

自分でお風呂に入る、着替えることの困難程度

前回調査との比較からわかることは、「難しいと感じない」は 13.0 ポイント低下しているということです。自分からお風呂に入る着替えることに対しての困難程度

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

日常生活の行動・意識

上記の「高齢者の日常生活における6つの困難」からもわかるように、老衰により以前のような生活はできなくなってきたことが高齢者の困難における大きなポイントですが、それらは全て「今後を考えると」といったところにつながっています。

つまり、日常生活に困難を感じる方にとって「家から出れなくなるなるのではないか」という不安がその背景にあるのです。

外出の希望

日常的に外出したいと思うか聞いたところ、「外出したい」が61.3%、「あまり外出したいとは思わない」が28.3%、「外出したいとは思わない」が4.0%となっていました。

外出の希望

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

外出の頻度

出かけることが、週に何日くらいあるか聞いたところ、「ほとんど毎日」が 40.0%と最も高く、次いで、「週に2~3日」24.3%、「週に4~5日」19.4%などの順となっていました。

そして、興味深いのは、前回調査との比較で、「ほとんど毎日」が12.0ポイント低下しているということです。外出の頻度

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

主な外出手段

自分一人で利用できる外出手段を聞いたところ、

  1. 自動車、バイク、スクーター:57.4%
  2. バス・電車:53.7%
  3. 自転車:37.4%
  4. タクシーの利用:31.6%
  5. 家の近くの歩行:26.7%
  6. おおよそ15分以上の歩行:25.9%

となっており、前回調査と比較すると、「バス・電車」は10.4 ポイント、「タクシーの利用」は6.3ポイント上昇している一方で、「家の近くの歩行」は15.2 ポイント、「おおよそ15分以上の歩行」は11.6ポイント低下しているということがわかっています。

主な外出の手段

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

外出時の障害

外出するにあたって何か障害と感じるものがあるか聞いた結果が以下になりますが、

  1. 道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い:15.2%
  2. ベンチや椅子等休める場所が少ない:13.7%
  3. バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい:13.4%
  4. 街路灯が少ない、照明が暗い、トイレが少ない、使いにくい:11.3%
  5. 道路に違法駐車、放置自転車、荷物の放置などがある:8.0%
  6. 特にない:44.5%

前回調査と比較すると、「道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い」は 6.8 ポイント、「ベンチや椅子等休める場所が少ない」は9.9ポイント、「バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい」は5.7 ポイント、「街路灯が少ない、照明が暗い」は6.5 ポイント、「トイレが少ない、使いにくい」は7.7 ポイン上昇していることがわかっています。

外出時の障害

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

まとめ

やはり、多くの高齢者が外出することを望んでいるようですが、同時に「高齢者向けの環境整備」も望んでいることがわかります。

私達にとってはなんともないような道も高齢者にとっては疲れを伴う道のりであり、そして障害でもあります。
「健康でいたいから動きたいけれど、いろいろと考えると思うようにいかない」というのが、一般的な高齢者の気持ちなのではないでしょうか?

外を見ることは季節を感じることであり、同時に変化への対応でもあります。
そして、何よりも日々の刺激でもあるのです。

日本経済の活性化は、高齢者の不安を取り除くこと、そして高齢者の困りごとをフォローすることが重要であり、それが購買意欲へとつながっていくのだと私はおもいます。

そのために大切なのが、中間に入る「相談役」であり、「頼れる存在」です。

生産人口の多くは、あらゆる情報に囲まれ、必要なときに必要な情報が得られます。
ですが、高齢者の多くは、テレビやラジオ、新聞といった昔ながらのメディアでしか情報を得ることができません。

外に出たいという意欲につなげるためにも、高齢者が必要な情報を届けるといったビジネスや、「相談役」となるビジネス、いくつものことを代行してくれるような中間的ビジネスが今後出てくることを私は期待しています。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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