訪問看護ステーションの経営実態 対策編

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以前の記事、「訪問看護ステーションの経営実態 データ編」では、厚生労働省より公表されてる資料より、訪問看護ステーションの経営に関わるデータをまとめさせていただきました。

今回の記事では、「成果を出している他の訪問看護ステーションでは、どんな手段を講じているのか?」というところに焦点を当て、厚生労働省より公表されている資料をもとに経営改善に関わる項目をまとめさせていただきます。

【参考:厚生労働省 訪問看護ステーション経営概況緊急調査
【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

訪問看護ステーションの経営実態 データ編
他の訪看のことってやはり気になりませんか? 「他の訪看ではどれだけの売り上げがあるのだろうか?」 ...

アフターサービス推進室活動報告書

まず、最初に見ていきたいのが、アフターサービス推進室活動報告書です。

アフターサービス推進室活動報告書とは、訪問看護ステーションが「日常的な在宅医療ケア」を安定的かつ持続的 に提供し得るため、訪問看護ステーションにおける現状を事業運営という観点からヒアリングを通じて調査し、今後の施策に資することをその目的としているものです。

アフターサービス推進室活動報告書では、経営の安定化において

  • 安定的な事業規模の確保
  • 看護人材の確保
  • 利用者の確保
  • 経営対策

が重要であると説明しています。

安定的な事業規模の確保

開設後、各訪問看護ステーションがたどる業容の推移は、主に4つのパターンに分けられる。

  1. 数年以内に休止・廃止となるパターン
  2. 訪問看護ス テーションの規模が、開設時から殆ど変らないまま推移するパターン
  3. 地域における貢献を重視し、安定的な事業規模を確保するパターン
  4. 全国展開を図るパターン

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

看護人材の確保

我が国の看護職員(看護師・准看護師・保健師・助産師)数は 153.7 万人で内訳は、以下のようになっている。

  • 病院・診療所:126.5 万人(82.3%)
  • 介護施設等:15.1 万人(9.8%)
  • 訪問看護ステーション:3.3 万人(2.2%)

実際、人材紹介事業会社によると、ナースセンターや ハローワークを利用する看護職員は、病院やクリニック勤務を希望することが多いという。

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

看護士が訪問看護を志望しない理由

病棟での看護とは全く異なる訪問看護のサービス特性

  • 病棟のようなチーム看護体制や設備・機材が無いため、「オンコール(携帯電話当番)」や緊急時対応における緊迫感など、精神的・ 身体的な負担が重くなる。
  • 利用者の人格や家族関係等の生活全般に関わることから、利用者・家族を支える全体的なマネジメントやコミュニケーション力を要求される。
  • そして、医師、ケアマネジャー、ヘルパーなど多くの関係者と密接に連携する必要がある。

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

看護職員の定着率向上のための3つの取り組み

ここでは、人材確保に成功しているステーションの「看護職員の定着率向上のための取り組み」を3つをあげています。

1. 新規採用看護職員への同行研修

たとえベテランであろうと「1~2 か月 間」、あるいは「不安感が無くなるまで」同行研修を徹底して行い、「病棟での看護と 訪問看護は、別モノであること」を体験してもらうことが大切とのことだった。

このように新人に対する同行訪問(研修)を徹底して行うことが、早期の離職を防止し、 最終的な人材確保につながるとの声が多く聴かれた。

2. 休暇をはじめとする労働条件整備の問題

人材の確保・定着率の向上には、「家庭や育児と両立できるよう配慮」「熱心な看護職員ほど燃え尽きやすいので、 休暇の取得を配慮」「夜間に緊急対応した翌日は、必ず、半日休暇を取得するルール」 といったような心配りが重要であると感じられた。

3. 地域との交流

「駅伝へのチーム参加」「職員コーラスバンドの演奏会開催」「年に1回、家族との交流会を開催」「地元看護学生の実習受け入れ」「ホームページにブログを開設」等

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

管理者の確保・定着化

管理者の確保・定着化も課題の訪問看護を安定させる上での大きな問題となっている。

一般的に訪問看護ステーシ ョンの管理者は、プレイングマネジャーとして業務に取り組んでおり、規模が大きくなるにともない管理業務の負担が増える。
規模の大きな訪問看護ステーションでは、 看護職員の利用者担当スケジュール作成やシフト調整等の管理業務について、特に多 数の入退職者が発生した場合、大きな負担となる。

日々の管理業務についても、看護職員が利用者宅訪問のため外出するので、管理者がコミュニケーションの取れる時間は、早朝・昼時・夕刻の短時間に限られる。
しかも、ほぼ全員が一斉に参集し、外出してしまうため、管理業務の繁閑の波が大きくなり、管理・指導する時間を十分に確保できないなどの難しさがある。

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

利用者の確保について

訪問看護の場合、潜在利用者は病院・診療所あるいは自宅におり、自ら訪問看護ステーションに問い合わせをして来ることは少ない。
従って、管理者は橋渡しをしてくれる関係者(医師、地域包括ケアセンター担当者、ケアマネジャー、家族など)を探し出し、 常にコンタクトを取っておく必要がある。

また、周辺の訪問看護ステーションとは、利用者確保で競合すると同時に連携もする。

新規利用者が必要とする看護内容やその時期・期間と、事業所のマンパワーを調整しなければならない。
なかでも「24 時間対応体制」は、利用者が訪問看護に求めるニーズの上位にあるが、現状では、対応体制の確立された訪問看護ステーションは 以下のグラフのとおり、全体の 76%にとどまっている。

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しかしながら、今回の調査で、「24 時間体制」未対応ステーションが、24 時間 365 日訪問看護を必要とする利用者に対して、近隣の対応可能なステーションと協働し、 サービス提供を行っている事例がいくつか確認された。

このような平日と休日・夜間 の訪問を分担するなど、複数の訪問看護ステーションによる連携は、利用者ニーズに 応えるとともに、「24 時間体制」未対応の小規模ステーションの利用者確保にもつながっている。

今後とも、利用者ニーズに応え、利用者を確保するために複数の訪問看 護ステーションの連携が一段と強化、継続されることが望ましい。

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

経営対策

規模の拡大にともない、ITシステム(モバイル端 末等)を活用

訪問先での記録入力や管理者の即時閲覧等を可能にし、利用者管理や看護職員のスケジュール管理等の業務の効率化を図ることが、管理者の確保・定着化対策として考えられる。

経営コンサルタント、税理士等、専門のアドバイザーを活用

管理者には、中立的な立場から看護業務と管理業務の適正なバランスを指導できるアドバイザーが必要である。

小規模の訪問看護ステー ションが単独でアドバイザーを雇うのは難しいため、訪問看護ステーション連絡協議会等で良い人材を選定のうえ登録し、情報共有すると良いのではないか。

【参考:厚生労働省 アフターサービス推進室活動報告書

訪問看護ステーション経営概況緊急調査

厚生労働省より公表されている「訪問看護ステーション経営概況緊急調査」は、平成20年の資料ですが、なぜか未だに多くの資料でモデルとして使われています。

ここでも経営に関しての様々なデータが載せられていますが、「訪問看護ステーションの経営実態 データ編」にてデータに関してはまとめていますので、結論と改善についてをまとめさせていただきます。

訪問看護ステーションの経営 結論のまとめ

訪問看護ステーションの収益および費用の構造について

  • 収益は、医療保険が3割、介護保険が7割程度を占める。
  • 費用は、給与費が80.6%、経費が12.1%と、給与費が8割を占め、費用のほとんどが人件費の業態である。
  • 事業損益(2007年3月分)が赤字のステーションが全体の31.6%である。

【参考:厚生労働省 訪問看護ステーション経営概況緊急調査

黒字/赤字ステーション別の経営状況について

  • 小規模なステーション(職員数が少ない、利用者数が少ない、延訪問回数が少ない)ほど、赤字の割合が高くなっている。
  • 黒字の事業所は、非常勤職員を多く雇用し、職員1人あたり給与費を下げ、職員1人あ たり訪問回数を多くして、収支を黒字にしている状況がみられる。

【参考:厚生労働省 訪問看護ステーション経営概況緊急調査

経営改善の方向性について

職員数や利用者数、延訪問回数などの事業規模が小さい事業所ほど赤字の傾向にあり、安定的な事業運営のためには事業規模を大きくする必要性があるといる。

また、事業規模が小さい事業所ではマンパワー不足で新規利用者の受け入れが困難になる問題も発生しやすい。

そのため、事業所の経営および利用者への安定的なサービス提供の両面で事業規模の拡大が重要である。

しかし、事業規模が大きい事業所は、黒字の傾向にあるものの、非常勤職員の割合が高く、 職員1人あたり給与費が低い傾向にあり、サービスの質の確保および人材定着のためには、常勤職員率を上げ、適正な給与を支払うことが重要である。

そのため、事業規模を拡大し、さらに常勤職員を雇用して十分な給与を支払える経営が必要であり、各事業所の更なる経営努力が必要である。しかし、各事業所の経営努力には限界があり、現在の訪問看護において報酬上評価されていない内容が多いことを踏まえると、適切な報酬設定が必要であるだろう。

【参考:厚生労働省 訪問看護ステーション経営概況緊急調査

まとめ

今回は2つの資料の経営に関することをまとめさせていただきました。

自分の言葉ではない記事となってしまいましたが、これが少しでもどなたかのお役に立てば幸いです。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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