訪問看護の現状

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訪問看護ステーションで働く方でも、全国規模でみた訪問看護についてはご存じないのではないでしょうか?
以前の記事「訪問看護ステーションの経営実態」では、厚生労働省より公表されているデータを用い、経営を中心に訪問看護の実態を説明させていただきました。

今回は、厚生労働省より公表されている「訪問看護について」の調査結果より、「訪問看護の現状」をまとめさせていただきます。

訪問看護:訪問看護とは、居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。【参考:厚生労働省 訪問看護について

データで見る「訪問看護のここ数年の動向と流れ」今どきの訪問看護 編
実際に現場に出ている看護師さんなら、一度は「こういうところには加算をつけて欲しい」「これじゃ割に合わない」なんて...

訪問看護と介護

「訪問看護はどういった方が利用するのか?」というところから見ていきます。

訪問看護の利用者

以前の記事「訪問看護の内容とポイント」を参考に見てみます。

 介護保険を利用医療保険を利用
65歳以上要支援1以上、または要介護1以上の方医師が訪問看護の必要性を認めた方で介護保険の要支援・要介護に該当しない方
65未満〜45歳以上
16特定疾患(主に加齢が原因の病気)の対象者で、要支援・要介護と認定された方医師が訪問看護の必要性を認めた方で
1. 16特定疾患の対象ではない方
2. 16特定疾患の対象ではあっても、介護保険の要支援・要介護に該当しない方
40歳未満利用できません40歳未満でも医師が訪問看護の必要性を認めた方

簡単に言ってしまうと、訪問看護の利用者とは「医師が訪問看護の必要性を認めた方」ということです。(訪問看護は、医師の指示又は指示書に従って行われます。)

訪問看護とは?

【参考:厚生労働省 訪問看護について

ここでのポイントは、

  • 医療保険・介護保険は同時に使えない
  • 医療保険よりも介護保険が優先

ということです。
例外として、「要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により訪問看護が行われる」とされています。

保険別の訪問看護ステーションの利用者

  • 医療保険の訪問看護の利用者の割合は2割程度である。
  • 医療保険の訪問看護では、神経系の疾患、統合失調症、悪性新生物の割合で約60%で、介護保険利用者とはその疾病が異なる。

保険別の訪問看護ステーションの利用者
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【参考:厚生労働省 訪問看護について

訪問看護の利用者の変化

  • 訪問看護の利用者は、医療依存度の高い重度・最重度の割合が増加しており、緊急時の対応など24 時間対応体制が必要な利用者が増加している。
  • 重度:病状がやや不安定な状態であり、定期的にバイタルサインチェックが必要となる者。
  • 医療保険からの訪問看護を受ける小児(0~9歳)の利用者は増加傾向にある。

訪問看護の利用者の変化 05

【参考:厚生労働省 訪問看護について

訪問看護ステーションの規模別状況

事業所の大きさは経営だけではなく、色々なところに影響してくるということがわかります。

訪問看護ステーションの規模でみた利用者受入状況

  • 事業所の規模が大きいほど訪問看護の「依頼数が多く業務過剰傾向」が多いが、規模が小さいほど「依頼数が少ない」が多い傾向がある。

訪問看護ステーションの規模別利用者受入状況4

【参考:厚生労働省 訪問看護について

職員数規模でみた24時間対応体制と訪問看護件数

  • 5人未満の小規模なステーションが約60%を占めている。
  • 看護職員5人未満の訪問看護ステーションは全体の約60%(参考)1事業所当たり看護職員数:約4.3人
  • 小規模なステーションであるほど職員一人当たりの訪問件数(医療保険と介護保険の合計数)が 少ない。

職員数規模でみた24時間対応体制と訪問看護件数
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【参考:厚生労働省 訪問看護について

職員数規模でみた収支と事業所数

  • 看護職員5人未満の訪問看護ステーションは全体の約60% (参考)1事業所当たり看護職員数:約4.3人
  • 事業所の規模が小さいほど収支の状況が悪い。

職員数規模でみた収支と事業所数
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【参考:厚生労働省 訪問看護について

職員数規模でみた24時間対応体制

  • 小規模なステーションのほうが、24時間対応体制の届出有りの割合が低く、同様に算定者の割合も小さい。
  • 小規模なステーションは、医療保険による訪問看護実施率が低い(=重度患者をあまり看ていない)

職員数規模でみた24時間対応体制
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【参考:厚生労働省 訪問看護について

効率的な訪問看護

以前の記事「訪問看護ステーションの経営実態」を見ていただければわかると思いますが、訪問看護を経営する上で「業務の効率化」が大切になってきます。
その具体例として、厚生労働省では「同行訪問」をあげています。

補助者との同行訪問

入院中の患者に対する訪問看護事業所の関わり(健康保険)

  • 新規利用者のうち、「医療機関や老人保健施設から退院・退所した人」の月平均数を事業所の規模別にみたところ、大規模な事業所ほど新規利用者が多い傾向がみられた。
  • 入院・入所中に療養上必要な指導を行った人の有無についても、大規模な事業所ほど多い傾向がみられた。

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【参考:厚生労働省 訪問看護について

複数名による訪問

  • 複数名の職員(保健師、助産師、看護師、PT、OT、ST、准看護師)が同時に訪問を行った利用者が いたと回答したのは、25%であった。
  • また、看護職員が医療職以外の職種(看護補助者など)と同時に訪問する利用者がいたと回答したのは、17%であった。

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【参考:厚生労働省 訪問看護について

複数名の職員が同時に訪問を行った利用者の有無

  • 末期がんや神経難病、および重症者管理加算の対象となる利用者のうち約3割、暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損などが認められる利用者のうち約9割は、医療者同士の訪問でなくとも問題ないという回答であった。

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【参考:厚生労働省 訪問看護について

訪問看護ステーションからの複数名での訪問看護

  • 訪問看護師が単独で訪問するよりも、看護補助者と同行したほうが、訪問時間が短縮した。
  • 訪問看護師が看護補助者と同行した際には、家族によるケアの実施率が低下した。 →訪問看護師と看護補助者の同行訪問により、訪問看護師が行う療養上の世話の一部を看護補助者と分担することで、訪問時間の短縮・効率化、家族の負担軽減が可能である。

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【参考:厚生労働省 訪問看護について

ケア内容別 看護職員が実施する必要性

  • 利用者(612人)のうち身の周りの世話に関連する行動、コミュニケーション、本人以外の働きかけを実施した利用者について、看護職以外でもよいという割合が高かった行為もあるが、看護職の判断が加われば、他職種でも良いとする行為も一定程度ある。

4-2

【参考:厚生労働省 訪問看護について

まとめ

私の中で、「訪問看護は、理想と現実が大きく離れ、理想が現実的」というイメージです。
厚生労働省からは、さらに訪問看護の

  • 課題
  • 背景

について言及しています。

訪問看護ステーションの課題

課題 . 1 小規模な事業所が多く、非効率さやスタッフの負担が課題となっている。

  • 事業所の規模が小さいほど収支の状況が悪い。
  • 小規模なステーションのほうが、24時間対応体制の届出有りの割合が低く、同様に算定者の割合も小さい。
  • 訪問看護指示書を受けている医療機関数は平均26.8件、居宅サービス計画書を受け取っている居宅介護支援事業所は平均17.3件と複数の医療機関や事業所と連携している。

課題 . 2 訪問看護を必要とする者は増加しており、そのニーズは多様化している。

  • 医療依存度の高い患者が増加している。
  • 難病、がん、小児の利用者が増加し、利用者のニーズは多様化している。
  • 訪問看護利用者数が多い都道府県では、在宅で死亡する者の割合が高い傾向があり、訪問看護の担う役割は大きい。

訪問看護ステーションの背景

  • 訪問看護ステーションは小規模事業所が多い。
  • 大規模ほど、24時間対応の負担が少なく、新規利用者を多く受け入れているなど、メリットが明らかになっている。
  • 訪問看護ステーションが、医療依存度の高い患者への対応や多様なニーズに対応するためには、効率化を図っていく必要がある。

【参考:厚生労働省 訪問看護について

訪問看護は、収入における給与費の割合も高く、現状を維持することも難しいというのが実際のところではないでしょうか?
介護とは、ニーズの種類も質も異なっており、実質的なリスクという点でも看護ならではの問題を抱えていることだと思います。
また小規模であれば、効率が売上を大きく左右してしまうこともあり、なかなか対策という対策が立てられない状況なのではないでしょうか?

訪問看護ステーションの経営実態 対策編
以前の記事、「訪問看護ステーションの経営実態 データ編」では、厚生労働省より公表されてる資料より、訪問看護ステー...
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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