デイサービスの実情

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私が以前働いていたデイサービスの職員Tさんから先日、久しぶりに電話がありました。

その内容は驚くべきもので、現在のデイサービスを閉鎖するとのことでした。

順を追って説明すると、

  1. 2年半前、都内某所でデイサービスのオープンスタッフの募集があり
  2. 私とTさんを含めたスタッフで新規の立ち上げスタッフになる。
  3. 順調に進んでいたがオープンから1年もしないうちに別の会社に売却
  4. 買い取った会社も1年ちょっとでそのデイサービスを閉鎖 ←今ここ

なぜこういった経緯になったのかは詳しくは説明できませんが、都内のデイサービスで、似たようなケースって結構あるのではないでしょうか?

特にこういったことは1日の利用定員が10人以下の小規模デイサービスによくあることだと思います。

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なぜデイサービスの経営はむずかしいのか?

小規模デイサービスならではの問題があるからだと私は思います。

考えられる理由として

  • 利用者の急な体調の変化でデイサービスの利用が見送られた。
  • 利用者の体調が悪化し、入院することになった。
  • 利用者がなくなってしまった。
  • 特養待ちでデイサービスを利用していたが、特養に空きが出たので引っ越すことになった。

定員が10名以下のデイサービスで利用者が一人減ってしまうだけでも、その日の売り上げが10%も減ってしまうわけですから大打撃を食らいます。

それ以外にもデイサービスといっても、毎日利用する利用者は少ないのが実際のところです。

そして、どんなことがあっても利用者の定員が定められているため、上限が定められているというのも大きな要因です。

そして、都内の中心であれば「激戦区」であるということも忘れてはいけないところでしょう。

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計算すると

小規模デイサービスでは1日に必要な人員というのが定められています。

  1. 管理者 1名(常勤)
  2. 生活相談員 1名以上
  3. 看護職員、又は、介護職員 1名以上
  4. 機能訓練指導員 1名以上

例えばですが、管理者に月25万円、生活相談員に月20万円、介護職員に月15万円、機能訓練指導員に月20万円を支払うとすると80万円が必要となります。(これではどの職員も一ヶ月間休み無しとなってしまうので、実際には他にも介護士が必要になります)
そしてそれに家賃が月に15万円(私が働いていたデイサービスでは月20万)、ガソリン代が月に3万円、光熱費が月に7万円などがかかります。

すると、ざっと見積もっただけでも月に100万円近くがかかります。

もし、その人員基準を違反した場合には?

指定の取り消し事由に該当してしまいます。

ですが、実際のところ、最も費用のかかる人件費を削減するため人員基準の違反をしているところも少なくはないと思います。
現に私のいたデイサービスでは届け出上は人員配置の基準を満たしていることになっていましたが、実際には職員が1日2人も少ない状態で運営していました。

当然、毎日がてんやわんやですし、職員はもちろんのこと、利用者からその家族にまで不平不満が溢れるほど出てきていました。

なぜ、こんなにもデイサービスは経営不振なのか?

株式会社 帝国データバンクの2014年の調査では、2013年の老人福祉事業者の倒産は2000年以降で過去最多で、特にデイサービスの倒産が多いとあります。

その背景に今よりもさらに増えていく超高齢化社会と小規模デイサービスであれば初期費用が低く抑えられるなどの理由から民間の参入が増え、競争が激化していることが考えられます。
(現在はコンビニの数ほどデイサービスがあると言われています。)

そして大切なのが2015年1月に発表された介護報酬の引き下げです。

けあZineを参考に簡単に説明すると、

  • 小規模デイサービスの介護報酬は8〜10%減。
  • 小規模事業所は通常規模の事業所より経営効率が悪いと言われていたが実際の管理的軽費を考慮すると、高く設定されていた介護報酬の差額は減らされる。(中には10%以上の減と予測される方もいる)

つまり、毎月介護職員1名分以上(20〜30万円近く)の収入減となるようです。

他にも理由はいくつもありますが、これからは必要なデイサービスは淘汰されていくと言われています。

結局

経営不振や介護報酬の改定など色々とあるのかもしれないが、振り回されるのはそこを利用している利用者と職員ではないのだろうか?

経営や売り上げを考えるのは大切なことかもしれないが、利用者と職員があってこそというのは常に考えていてほしいものですよね。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。