介護職員の退職と人材確保について

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発想の転換

前に働かれていた施設・事業所を辞めた理由って何ですか?

介護施設・事業所経営を左右する大きなポイントの一つに、介護職員の安定的な確保というのが挙げられます。
そして、介護職員の確保は運営基準を満たすという点でも大切なポイントです。

介護職員がなぜ辞めていくのか、そして何を求めて次を探すのかということを把握することは、施設の職場環境を向上させるだけでなく、新しい職員を呼び込むということにもつながってきます。
介護士それぞれで退職の理由は様々だと思いますが、大きな括りとしては共通するところもあるのではないでしょうか?

そこで、今回の記事では平成27年2月に発表された厚生労働省-介護人材の確保についてを見ていきたいと思います。

介護職員の現状

就業形態

介護職員の就業形態は、非正規職員に大きく依存している。

就業携帯

施設の介護職員においては5割弱、訪問介護員においては8割強と、介護職員の就業形態は、非正規職員に大きく依存しています。

Point !

非正規職員とは、正規職員以外の労働者で契約職員や嘱託職員、パートタイム労働者等を指します。

年齢構成

年齢構成

施設の介護職員においては30~49歳が全体の5割弱を占め、訪問介護員においては60歳以上が約3割を占めています。
また、男女別に見ると施設の介護職員、訪問介護員のいずれも女性の比率が圧倒的に高いこともわかります。

構造と採用・離職率

訪問介護員は、非常勤職員主体で常勤職員の離職率が高くなっている。

施設の介護職員は、常勤職員主体で非常勤職員の離職率が高くなっている。

介護職員の構造

賃金

介護職員の採用、離職には、賃金も大きく関係しています。

介護職員の賃金については介護職の給与と改善加算に関しての厚生省の調査結果に詳しく書いておりますので、そちらをご覧になってください。

過不足の状況

人手不足感については、種別としては訪問介護の不足感が強い。段階としては採用段階での不足感が強い。

従業員の過不足の状況

私が今働いている施設でも常に正規職員・パート職員の募集はしていますが、応募はほとんどありません。
どこの施設でも同じかはわかりませんが、応募があったところで結構な年齢な方など、期待ができる職員がほとんど見つからないというのが実際のところです。
ですので、どこの施設でも一定の資質を保つことが難しいというのが正直なところではないでしょうか?

人材確保に向けた課題と取組

介護に対するイメージ

介護職については肯定的なイメージもある一方で、「夜勤などがあり、きつい仕事」、「給与水準が低い仕事」、「将来に不安がある仕事」など、一面的な見方が流布され、マイナスイメージが生じており、人材の参入の阻害要因となっているとの指摘がある。

介護に対するイメージ

介護をしている自分からすると、正直、介護は体力的にもきつく、将来的な不安はいつまでも拭えないような仕事であり、人に勧められるような仕事ではないと思っています。
そして、私は「介護」という言葉が苦手で、「今は何の仕事しているの?」と聞かれるのが正直苦痛にも思えます。
それは心のどこかで「介護は情けない仕事」と思っているからだと思います。

胸を張って「介護士しているよ」と言えるような人って意外と少ないのではないでしょうか?

現在の職場を選択した理由

入職時には、介護という仕事への思いに比べると、法人・事業所の理念・方針や職場の状況、子育てなどの面への関心は相対的に低い。

現在の職場を選択した理由

私が最初に気にするのは通勤に関してで、次に給料面です。

福利厚生に関しては、ある程度は充実していなければ、その時点で対象外となります。

過去働いていた職場を辞めた理由

離職時には、結婚・子育てや、職場の方針や人間関係などの雇用管理のあり方がきっかけとなっている。

過去働いていた職場を辞めた理由

この「法人、事業所の理念や運営のあり方に不満があった」というが、これから先の介護業界で大きなテーマとなってくるところではないでしょうか?
特に有料老人ホームなどでは、介護経験が全くないような方が運営に携わっているといったケースは本当に多いのが現状です。

介護事業の運営のこれからは、経営を専門とした人間に任せるといった案もたまに見かけますが、それが浸透したら今以上に現場との溝が広がっていくのではないでしょうか?

離職率階級別にみた事業所規模別の状況

基本的には事業所規模別で見ると、事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向にあり、法人格別の離職率を見ると違いがみられる。

事業所規模別離職率・法人格別の離職率

先ほどの介護事業の運営に関しての結果がこれに大きく現れていると思います。
やはり民間企業などの営利目的が強ければ強いほど離職率が高いということです。

民間企業も責任を持って介護事業に参入するのであれば、経営も大事なことだとは思いますが、それよりもまずは介護の本質を学ぶべきではないのでしょうか?

人材の「量」と「質」の循環

介護人材確保の持続可能性を確保する観点から、量的確保のみならず、質的確保及びこれらの好循環を生み出すための環境整備の三位一体の取組を進めていくことが重要。

人材の「量」と「質」の循環

まとめ

平成27年度予算(案)

公費(国:60億円 都道府県:30億円)90億円を使い、地域の実情に応じた介護従事者の確保対策を支援するため、都道府県計画を踏まえて実施される「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」に資する事業を支援していくとされています。

  • 参入促進・・・・・・・・介護を多くの方に理解してもらい呼び込む取組
  • 資質の向上・・・・・・・介護士としての質を向上させる研修制度などの取組
  • 労働環境・処遇の改善・・管理者等に対する雇用改善方策の普及などの取組

今後は、都道府県における介護人材の確保・定着に向けた取組が今以上に勧められます。

現場の考え

  1. 結婚、出産・育児                31.7%
  2. 法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった 25.0%
  3. 職場の人間関係に問題があった          24.7%
  4. 収入が少なかった                23.5%
  5. 心身の不調(腰痛を除く)            22.0%

実際の退職理由であるベスト5に対して、公費90億円の取組は本当に効果があるのでしょうか?

運営と人間関係

  • 「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」
  • 「職場の人間関係に問題があった」

以上2つに関しては多くの場合、副主任以上の役職の方が現場をより理解することで改善されると思っています。

具体的な方法としては、副主任以上の役職の方が少なくとも3ヶ月以上現場でローテーション勤務をすることです。

仕事量とその対価

  • 「収入が少なかった」
  • 「心身の不調(腰痛を除く)」

これに関して言えば、業務の効率化で大きく改善されると思っています。

仕事量に対しての給料に不満を持っているので、その仕事量を減らすことを優先的に考えるというのが良いのではないでしょうか?

具体的には介護の機械化を率先して取り入れていくことです。
介護ロボットもそうですが、情報の共有システムを新しくするだけでも仕事量が大幅に削減できます。
また、理想を少し現実的にし、利用者本人、その家族に理解を求めることも同様に仕事量が大幅に削減できるのではないでしょうか?

まとめのまとめ

私個人としては、全てが現場主体ということを理解する上でもやはり運営に携わる側の研修制度などを設けることも必要だと思っています。

運営に携わる側が、

  • 定期的に現場を手伝うということを義務づける
  • 現場で介護士として何年か経験をするというのが最低の条件にする

これだけでもチームとしての足並みが揃ってくるのではないでしょうか?

やはり大切なのはチームとしての意識です。
よく「上に立つ人間は嫌われた者勝ち」という意見も耳にしますが、私としてはやはり足並みを合わせてチームが一丸となるためにも信頼関係は必須だと思います。

今回の記事で参考にした厚生労働省の「都道府県における介護人材確保・定着に向けた取組」は、どこかピントがズレているような気がしてなりません。
虐待に関してもそうですが「現場=忙しい」というのを崩していかなければ、結局は中身の伴わない取組になってしまうのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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