高齢者向けビジネスを考えるなら知っておきたい「高齢者の不安」

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最近では、高齢者がコンビニエンスストアに出入するといったことも珍しいことではなくなってきました。
そして、コンビニエンスストアもまた、高齢者が受け入れやすいかたちへと柔軟に対応をしていっています。

ですが、高齢者向けビジネスの中心となっている介護保険サービスは、現在のところとても厳しい状況にあります。
また、高齢者向けビジネスを始めたはいいけれど、高齢者特有の「堅実さ」を知り、思っていたよりもうまくいっていないといった状況の方も少なくはないと思われます。

高齢者向けビジネスを現在進行している方も、これから始めようと思っている方も、高齢者を対象としたビジネスをしていくうえで、「高齢者の目線で考える=健常な若者の考えではない」ということをより具体的に考えること高齢者のニーズを正しく知るということが、次のステップに行く上で重要なことなのではないでしょうか?

今回の記事では、高齢者ビジネスを考える上で知っておきたい高齢者の「不安」を内閣府より公表された2つのデータををもとに説明させていただきます。

【参考:平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果
【参考:平成27年版 高齢社会白書

高齢者の不安とは?

高齢者の不安は、健康と生活が主なところです。
ここで、「お金は?」と思う方も少なくはないと思われますが、以前の記事「高齢者ってどうもお金持ちが多いような気がしませんか?」でもお伝えしたように、一般的な高齢者は、お金よりも「健康と生活」のほうが不安なのです。

ここでは、「健康」「日常生活」「トラブル」と大きく3つにわけ、高齢者の不安に関することを説明させていただきます。

高齢者と健康

まず、高齢者の健康に関してですが、高齢者の健康を脅かしている病とは一体何なのでしょうか?
これは高齢者だけでなく、年を重ねるにつれ、だんだんと意識してくるものです。

65歳以上の高齢者の主な死因別死亡率の推移

高齢者の死因となった疾病をみると、死亡率 (高齢者人口 10 万人当たりの死亡数)は、平成
25年において、 以下の順になっていることがわかっています。

  1. 悪性新生物(がん):947.0
  2. 心疾患:561.0
  3. 肺炎:375.0

死因別死亡率

【参考:平成27年版高齢社会白書

健康や病気に対する不安の具体的な内容

「自分や配偶者の健康や病気のこと」について不安を感じる方に、どのようなことに不安を感じているか聞いたところ、以下のような順となりました。
認知症ががんや高血圧よりも心配されているという事実は、少し意外にも思えましたが、これも今の時代をよく表していいるのかもしれません。

  1. 体力の衰え:62.2
  2. 認知症:55.0%
  3. がん:45.5%
  4. 高血圧:43.7%
  5. 糖尿病:28.5%
  6. 目や耳の病気:28.4%
  7. 脳卒中:28.2%
  8. 心臓病:24.5%

健康や病気に対する具体的な理由

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

高齢者と日常生活

次に見ていきたいのが、高齢者の日常生活に関してです。
高齢の方と同居をしている方にとっては、そのライフスタイルはご存知かとは思いますが、一言に高齢者といっても人それぞれであり、独居・高齢者世帯というのも多く存在しています。

日ごろ特に心がけていること

日頃暮らしていく中で、どのような点や活動を特に心がけているか聞いたところ、

  1. 健康管理:55.6%
  2. 食事(食べ物、回数、時間など):49.1%
  3. 家事(掃除、洗濯など家の中、家の まわりの仕事):29.2%
  4. 衣服(時候、場所、目的にあった服、おしゃれなど):25.5%
  5. 住まい(清 掃、補修、庭や外周の管理、温度調節など):21.2%
  6. 近隣、友人、仲間とのつきあい:20.6%

といった順になっており、平成21年の調査と比べると、食事への意識は減少傾向、家事・衣服・住まいへの意識は増加傾向にあるということがわかります。

日頃から心がけていること

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

65歳以上の高齢者の日常生活に影響のある者率 (人口1,000 人当たり)

この日常生活への影響を内容別にみると、やはり日常生活動作に影響があるという方が最も多い結果となりました。
また、この「日常生生活動作」は、起床・衣服着脱・食事・入浴といったことが主となっており、この「日常生生活動作」は介護と密接な関係にあります。

  1. 日常生活動作:119.3
  2. 外出:118.4
  3. 仕事・家事・学業:94.4
  4. 運動:83.3

日常生活に影響のあるもの率

【参考:平成27年版高齢社会白書

将来の日常生活への不安

将来の自分の日常生活全般について、どのようなことに不安を感じるか聞いたところ、

  1. 自分や配偶者の健康や病気のこと:67.6%
  2. 自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること:59.9%
  3. 生活のための収入のこと:33.7%
  4. 子どもや孫などの将来:28.5%
  5. 頼れる人がいなくなり一人きりの暮らしになること:23.1%
  6. 社会の仕組み(法律、社会保障・金融 制度)が大きく変わってしまうこと:21.6%
  7. 家業、家屋、土地・田畑や先祖のお墓の管理や相続のこと:16.9%

といった順になっており、平成21年度の調査と比べると、自分や配偶者の健康や病気を不安視する答えは減少傾向にあることがわかります。

将来の日常生活の不安

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

不自由を感じるのはどんなときか

日常生活を営む上でどのようなときに不自由を感じるか聞いたところ、

  1. 特に不自由は感じない:68.1%
  2. 外出するとき:13.0%
  3. 読んだり、聞いたり、人と会話をしたりするとき:9.2%
  4. 入浴をするとき:7.1%
  5. 家の中を移動するとき:5.9%
  6. 着替えや身だしなみを整えるとき:5.9%

といった順になりましたが、特筆すべきなのは「特に不自由は感じない:68.1%」という結果で、これは健康寿命が伸びていることを表しているのではないでしょうか?

不自由を感じるのはどんな時か

【参考:高齢者の日常生活に関する意識調査結果

地域における不便な点

60歳以上の人が地域で不便に思っていることをみてみると、

  1. 日常の買い物に不便:17.1%
  2. 医院や病院への通院に不便:12.5%
  3. 交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない:11.7%

といった順になりましたが、やはり多く方が「高齢者向けの環境整備」を求めていることがわかります。

地域における不便な点

【参考:平成27年版高齢社会白書

高齢者とトラブル

上の「地域における不便な点」で意外なほど多かったのは、事故への心配です。
高齢者の増加に伴い、高齢者の事故も増加傾向にありますが、高齢者を対象とした事件もまた多くの高齢者を悩ませています。

高齢者の家庭内事故

国民生活センターに医療機関ネットワーク事業の参画医療機関から提供された事故情報による と 、 65歳以上高齢者の方が20歳以上65歳未満の人より住宅内での事故発生の割合が高く、65歳以上高齢者の事故時の場所をみると、屋内での事故の場合、居室が45.0%、階段が18.7%、台所・食堂が17.0%ということがわかっています。

事故発生場所

【参考:平成27年版高齢社会白書

振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移 (平成19~26年)

振り込め詐欺の被害者の 8 割以上が 60 歳 以上

オレオレ詐欺や架空請求詐といった「欺振り込め詐欺」のうち、特に高齢者の被害が多いオレオレ詐欺の平成26年の認知件数は5,557件となっており、架空請求詐欺は3,180件と前年の 2.1倍に増加していることがわかっています。

また、振り込め詐欺の被害総額は約380億円です。

26年中の振り込め詐欺の被害者をみると、60歳以上が約8割、オレオレ詐欺の被害者に限ると 97.4%にもなることがわかっています。
特に70歳以上の女性が約6割を占めています。

振り込め詐欺

【参考:平成27年版高齢社会白書

契約当事者が70歳以上の消費相談件数

全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成17年度まで増加傾向にあり、その後減少したものの平成20年度に再度増加に転じて、25年度には約20万件にものぼったことがわかっています。

消費者相談件数

【参考:平成27年版高齢社会白書

住宅火災における死者数

65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数についてみると、平成25年は703人と、前年より増加し、全死者数に占める高齢者の割合は70.5%に上昇したことがわかっています。

住宅火災における死者数

【参考:平成27年版高齢社会白書

まとめ

高齢者の不安は、健康と生活が主なところと冒頭でもお伝えしましたが、高齢者が思っている以上に、高齢になるとその時代になかなかついていけなくなる傾向にあります。
それが高齢者のトラブルであり、事故・詐欺・火災の増加はその現れなのではないでしょうか?

以前の記事「内閣府のデータで見る「恐ろしいほどの人口減少化・過疎化にある日本」」でもお伝えしていますが、年々、若い方の年への流入が深刻化されています。

つまり、家族のニーズは「離れて暮らす親が事故や被害に合わないようにしたい」ということであり、高齢者本人のニーズは「日常生活を楽にしたい・楽になってほしい」というのが最も多い考えですが、簡単・便利な商品の開発だけでなく、そこに喜びや楽しみを見いだせるものであったり、注意を事前に促せるようなものが高齢者にとっても良いものであるということは間違いのないことです。

また、動かなくても相談ができるという立場の人間が今後増えていくことが双方にとって良い未来に繋がるのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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