どこよりも詳しい「訪問介護(職員)の現状」

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前回の記事「どこよりも詳しい「訪問介護事業所の現状」」では、厚生労働省より公表されている4つの資料をもとに訪問介護の事業所に関するデータをまとめさせていただきました。

訪問介護の事業所に関すること、職員に関すること、そのどちらにも言えるのが、「訪問介護に関する資料はとにかく少ない」ということです。

私のなかの訪問介護は、小規模事業所が多く、介護保険の移り変わりに伴う影響をまともに受けているといった印象で、経営もなかなか難しいのではないかと推測しています。

これは全ての介護事業所に言えることですが、売上が事業所の経営の大きな柱になっていることは間違いないですが、職員の確保は経営・運営をする上で大きなネックになっています。

今回の記事でも、厚生労働省より公表されている資料をもとに「訪問介護職員の現状」についてをまとめさせていただきます。

参考にさせて頂く「厚生労働省 介護人材の確保について」は平成27年2月23日の第4回社会保障審議会福祉部会で公表されたもので、多分、現時点で最も新しい資料だと思われます。

【参考:厚生労働省 平成27年介護人材の確保について
【参考:厚生労働省 平成26年介護人材の確保について
【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

どこよりも詳しい「訪問介護(事業所)の現状」
今回の記事では、訪問介護の現状についてを説明させていただきます。 訪問介護に関するデータは少なく、集めるのにちょっ...

介護職員の現状

訪問介護は、全介護サービスのなかでもかなり変わっている特徴がいくつか見られます。

就業形態

施設の介護職員においては5割弱、訪問介護員においては8割強と、訪問介護は非正規職員に大きく依存しています。

就業携帯

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

年齢構成

施設の介護職員においては30~49歳が全体の5割弱を占め、訪問介護員においては60歳以上が約3割を占めています。
また、男女別に見ると施設の介護職員、訪問介護員のいずれも女性の比率が圧倒的に高いこともわかります。

年齢構成

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

賃金と労働時間

介護職員(常勤)の賃金に関してですが、福祉施設介護員とホームヘルパーではそう差がないように思えますが、3つの大きな特徴があらわれています。

  1. 男性の勤続年数:福祉施設介護員ホームヘルパー
  2. 女性の給与額 :福祉施設介護員ホームヘルパー
  3. 合計の平均年齢:福祉施設介護員ホームヘルパー

平均賃金

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

賃金水準

賃金水準をみてみると、平均時間給としては介護職員より訪問介護員のほうが高いことがわかります。
ですが、約4割強の訪問介護員(非正社員)は年収103万円未満であることもわかっています。

賃金の支払形態

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

一週間の労働時間

訪問系の事業所は、施設系の事業所と比べ、1週間当たりの労働時間が比較的短く、非正社員の約半数は、1週当たりの労働時間が30時間未満であるようです。

一週間の労働時間

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

職員数と離職率

訪問介護員に関しての最も大きな特徴が常勤職員の数で、施設の常勤職員と比べると、その比率は大きな差があります。
また、訪問介護員の非常勤の離職率はトータルでも低い傾向も見られます。

介護職員の構造

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

離職率階級別にみた事業所規模別の状況

まず見ていきたいのが、以前の記事「介護職員の退職と人材確保について」でも説明した「離職率階級別にみた事業所規模別の状況」です。

  1. 事業所の規模が大きくなると離職率も低下する
  2. 民間企業が経営主体となっている事業所が最も離職率が高い

という2つは全ての介護事業所全体で共通していることです。

事業所規模別離職率・法人格別の離職率

【参考:厚生労働省 介護人材の確保について

経過年数別離職率 (正社員)

経過年数別の離職率をみると、やはり年数を経過するほど離職率は低下していく傾向にあります。
また、介護職員と比べると訪問介護員は離職率が低い傾向にあります。

経過年数別離職率

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

離職と心境

現在の心境と離職は大きく関係していると思われます。

前職を辞めた理由

訪問介護員、介護職員とも待遇への不満、職場の人間関係への不満、自分・家庭の事情が離職の大きな原因となっているようです。

辞めた理由

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

今の勤務先での継続の意思

「やめたい」と考えている職員は、訪問介護員で10~14%、介護職員で17~23%程度存在しており、「やめたい」と考えている職員の割合は、訪問介護員よりも介護職員の方が高いようです。

辞めたい?

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

働く上での悩み・不安・不満等

訪問系と施設系では、「働く上での悩み」に大きな違いがあるようですが、やはりそこにはケアの方法・ニーズ・現場環境が大きく関係しています。

  • 訪問系:定められたサービス行為以外の仕事を要求されることに不満がある。
  • 施設系:仕事内容の割に賃金が安いこと、夜間帯への不安、ケア方法の不安、暴力を受けた経験があることなどに悩み・不安・不満がある。

悩み

【参考:厚生労働省 介護労働の現状について

まとめ

私が今働いている施設でも常に正規職員・パート職員の募集はしていますが、応募はほとんどありません。
どこの施設でも同じかはわかりませんが、応募があったところで結構な年齢な方など、期待ができる職員がほとんど見つからないというのが実際のところです。
ですので、どこの施設でも一定の資質を保つことが難しいというのが正直なところではないでしょうか?

前回の記事「どこよりも詳しい訪問介護事業所の現状」でも説明させていただきましたが、訪問介護の事業所は小規模が多く、確保できる利用者次第で職員の過不足感に直結してしまいます。

「確保」といっても、施設に比べ一時的なものであるということも訪問介護の難しさであり、職員の過不足感だけに目がいってしまえば、それは運営としてリスクを負うことにもなりかねません。

広範囲にニーズのある訪問介護は、裏を返せば不確かな事業であり、時間的に都合の良いサービスだといえますが、利用者と一対一で向き合える介護サービスのひとつであり、これからの在宅推進を担う大きな介護サービスでもあります。

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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