過去の高齢者虐待のケースと行政処分について

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6月2日のヤフーニュースで「訪問介護で虐待 家族設置のカメラで判明 神戸」という記事ありました。

訪問介護の利用者への暴言や暴行の虐待行為があったとして、神戸市は2日、訪問介護事業所「にっこライフケア」(同市長田区)を介護保険法に基づき、15日から6カ月間、新規受け入れ停止と介護報酬2割減額の処分にすると発表した。【参考:Yahoo!ニュース

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どんなニュースだったの?

にっこライフケアの50代の女性介護職員2人が、70代の女性利用者を介助する際、

  • 「うっとうしい」「頭おかしい」などと怒鳴った
  • 放り投げるように床からベッドに移す
  • 素手で右脚を小突く

などの行為をしてしまったようですが、女性にけがはなかったようです。

なぜそれがわかったのか?

その70代の女性利用者は、昨年1月からにっこライフケアのサービスを受けていたのですが、同年6月ごろに「きつい言葉を受けた」などと訴えたため、家族がカメラを設置したことが今回の事件のきっかけとなりました。

にっこライフケアはどうなるの?

にっこライフケア側は、

  • 「不適切な言葉はあったが利用者に向けていない。」
  • 「ベッドに放り投げておらず、抱え上げただけ。」
  • 「心理的、身体的な虐待ではない」

と虐待を否認していますが、神戸市は、介護保険法に基づき15日から6カ月間、

  • 新規受け入れ停止
  • 介護報酬2割減額

の処分にすると発表しました。

虐待について考える

ここからは以前の記事「高齢者への虐待 厚生労働省の調査結果」を参考に簡単にまとめさせていただきます。

高齢者への虐待 虐待の種類と程度
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高齢者への虐待 厚生省の調査結果
前回の記事「高齢者への虐待 その壱」では、虐待の種類と程度の説明をさせていただきました。 今回の「その弐」...

養介護施設従事者等による高齢者虐待

養介護施設従事者等による高齢者虐待の
相談・通報件数と虐待判断件数の推移
平成20年21年22年23年24年25年
相談・通報件数451408506687736962
虐待判断件数707696151155221

表からもわかるとおり、養介護施設従事者等による高齢者虐待の 相談・通報件数と虐待判断件数は年々増加し、養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と 虐待判断件数もまた増加傾向にあります。

虐待の発生要因

  1. 「教育・知識・介護技術等に関する問題」が 128 件(66.3%)
  2. 「職員のストレスや感情コントロールの問題」51 件(26.4%)
  3. 「虐待を助長する組織 風土や職員間の関係性の悪さ」25 件(13.0%)

虐待の事実が認められた施設・事業所の種別

  1. 「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が 69 件(31.2%)
  2. 「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」34 件(15.4%)
  3. 「介護老人保健 施設」26 件(11.8%)
  4. 「有料老人ホーム」26 件(11.8%)

虐待と行政処分

以前、川崎で介護職員が高齢者を上層階から突き落とすといった虐待が大きな話題となりました。

その後に厚生労働省より公表された「介護保険施設等における高齢者虐待等に対する指導・監督の徹底と行政処分の厳格化について」では、改めて「虐待は重大な不正行為であり、決してあってはならないものである」と記載されるとともに、

  • 高齢者虐待防止等に重点を置いた機動的な指導監査の積極的な実施
  • 特に、通報、苦情等の内容が利用者の生命、身体に関わるものである場合は、事前に通告を行うことなく監査を実施する
  • 実地指導においても、高齢者虐待との関連が疑われる場合などを含め、当該事業所の日常におけるサービスの提供状況を確認する必要がある場合には、監査と同様、事前に通告を行うことなく実地指導を実施する

といったことも記載され、虐待に対してより一層の注意を各都道府県に促しています。

行政処分

過去にどんな虐待でどんな行政処分を受けたのかを簡単にまとめてみました。

神戸市の2つの事業所が絡んだケース

虐待の内容

当該居宅介護支援事業所の管理者兼ケアマネジャーが、利用者宅の玄関をひもで括り、出られないようにしていた。そのひもを本人が自力で切ったため、 8月21日からバイク用のチェーンで外側から施錠していた。

処分の内容

上記の2事業者について、指定の全部効力停止(6カ月間) ※指定の全部効力停止処分により、上記2事業者は、6カ月間、利用者に対して介護保険法に基づく介護サービスを提供すること及び介護報酬の請求ができなくなる。新しい利用者を受け入れることもできない。

【参考:神戸市 処分を行う事業所の概要

神戸市 別のケース

虐待の内容

女性介護職員4人が、認知症の症状のある女性入所者4人の髪の毛を引っ張るなどした。

処分の内容

6ヵ月間の新規受け入れ停止処分

【参考:ケアマネタイムス

高松市のケース

虐待の内容

女性職員が利用者の手をたたくなどの虐待を繰り返した上、 施設の経営者も市の聞き取りにうその説明をしていた。

処分の内容

施設に対して半年間、新規の受け入れ停止などの行政処分

【参考:NHK ニュース

仙台市のケース

虐待の内容

早朝、当該施設の職員が、入居者1名に対して身体的虐待を行った。
これとは別に当該職員以外の職員が、別の入居者1名に対して身体的虐待を行った。

処分の内容

6ヵ月間の新規受け入れ停止処分・介護報酬請求の上限額2割カット

【参考:仙台市 介護サービス事業所の処分について

まとめ

介護サービスに関わる方で、虐待を見たことがない方というのは、ほとんどいないに等しいと思われるのが実際の介護の現状です。

虐待に関しては、「高齢者への虐待 虐待の種類と程度」などを説明させていただきましたが、虐待は厳しく判断してしまえば、利用者の言ったことをスルーしただけでも「虐待」とされてしまいます。

現実的にところろ理想の間で働かなくてはならない介護の現場では、理解できないことも多いのが事実ですが、行政処分となってしまえば、閉鎖・廃止・休止も辞さない状況となってしまいます。

今までは、内部からの通告も虐待が発覚するケースとして多かったのですが、最近では簡単に録画できる時代ということもあり、家族がカメラを設置することもそう珍しいことではなくなりました。

今後は、カメラを設置している施設も出てくるかもしれません。
それが家族の視覚的な安心に繋がり、その視覚的な安心が売上に直結する時代になりつつあります。

現場は、今以上に「監視」されるようになる日もそう遠くはないのではないでしょうか?

ですが、高齢者とその家族を守るのだけが介護ではないことも世の中には理解してほしいことです。
現場の介護士の中には「そんなに心配なら自分で見ればいいのに」と思う方も少なくはなく、結果的にこれもまた離職率の向上へとつながってしまうのではないでしょうか?

だからといって、「行政処分を軽くしろ」と言っているのではありません。
ただ、介護職員にとって働きやすい現場になるように、世の中も協力する必要があるのではないでしょうか?

実際問題、経営が難しい介護業界では、処遇改善加算を受け取っていない職員も多くいると思われます。
介護現場に求めることは後を絶たない状況ですが、介護現場から求めることは聞いてはもらえないのでしょうか?
財政難のなか、現場の声をまともに聞くことはなかなか難しいことだとはおもいますが、いつまでもこのままなのでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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