高齢者への虐待に対しての私の正直な意見

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私の意見

一人の介護士として、いろいろと覚悟した上で正直に書かせていただきます。

平成25年の養介護施設従事者等による虐待判断件数は221件とありますが、「見る人によっては虐待と思えるような言動」や細かなことを含めれば221件どころではすまないと思います。

そこには「福祉」「介護」のイメージが大きくかかわっています。

私の正直な意見

「福祉」「介護」のイメージ

高齢者虐待防止法では、養介護施設従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者に対し、市町村への通報努力義務が規定されていますが、細かなことを虐待と判断し事細かに報告をしていたらその施設は続けてはいけません。

それは最悪、事業停廃止命令、認可取消、指定取消となってしまうからです。

そうでなかったとしても、自分がケアマネージャーであったら、虐待があったような施設に利用者を紹介したくはありません。

また、「福祉」「介護」の世界では、イメージが先行していますので「悪事千里を走る」といったケースもよくあります。

つまり、虐待判断件数の221件というのは、やむ終えず報告したケース、責任感が強く報告したケース、それか通報のどれかです。

3つのケースで考える

やむ終えず報告したケース、責任感が強く報告したケース、通報で考えられるケース

  • やむ終えず報告したケースで考えられるのは、余程の虐待であった、隠せないような状況になってしまったため。
  • 責任感が強く報告したケースで考えられるのは、今報告しなければ後々で大きな問題になるのではといった不安や、放っておいたら深刻化してしまうと判断したため。
  • 通報で考えられるのは、職員、家族、利用者本人、その他の見た聞いた人の判断によるもの。

通報

もし、職員による通報だとしたら、上司に言っても変わらなかったからという判断だと考えられますし、そうだとしたら施設全体でなんかしらの虐待が慢性的に起こっている可能性もあります。

また、家族からの通報のケースでは、家族が怪しんで利用者の部屋にカメラを仕掛けておいたということも介護業界で働く者であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

もちろん、養介護施設従事者等による虐待に関する通報等の内容は、

  • サービス内容に対する苦情
  • 虚偽
  • 過失による事故

といった可能性も考えられるので、高齢者虐待に該当するかどうか判断できる材料となるように情報を整理し、市町村等の高齢者虐待対応窓口でさらに判断する形となります。

私も今までに何度か主任などに報告をしたこともありますが、それが大事になったことはありませんし、それが報告につながったことはありませんでした。

理解してほしいのは、その背景

もちろん虐待を理解してほしいというわけではありませんが、その瞬間だけをピックアップするのは「非人道的だから興味をひく」といった興味本位か、「介護」を見た聞いただけで理解した気になっている現場をまったく知らない理想論としか思えません。

そういった方からしたら、介護士が利用者に暴言を吐いているのを見たら「はい、それ虐待」と判断するのかもしれませんが、やはりそこには背景が必ずあるものです。

一瞬の出来事

もし、その暴言を吐いた介護士が、毎日のようにその利用者から暴力を振るわれていても我慢を続け、常に丁寧な態度と笑顔をふるまっていたとしたら、その暴言を吐いた一瞬は私たち同じ介護士からしたら本当に一瞬です。

正直なところ、そういった一瞬を見てまず最初に私が思うのは、

  • あの人が暴言を吐くなんて何か家庭の事情などで大変なことがあったのだろうか?
  • 毎日のローテーション勤務で心底疲れているのだろうか?

といったことで、実際にそういったシチュエーションなのであれば、その利用者の心配などは二の次になっています。

ですが、その介護士が普段から悪態をついたり暴言を吐いたりしているのであれば、それは興味本位や理想論だけの方と同じで、「虐待」と判断します。

もともとは

どんな介護士も、みんなできることはしています。

どんな介護士も、介護を始めたばかりの頃は本当に優しい人たちだったはずです。

ですが、ボランティアとは違い、優しいだけではやっていけないのが介護という仕事の悪いところでもあり、良いところでもあります。

施設にいる高齢者の半数近くは、世間一般の方が思っているイメージと違います。

そして、「臭い」「汚い」「重労働」「忙しい」「安月給」で、介護士もまた世間一般の方が思っているイメージと違います。

介護を仕事としていく以上、介護士としていつまでも大切なのは、そのギャップを受け入れ、流されないようにしていくことです。

団塊の世代の介護

以前の記事「高齢者に関しての興味深い話 第1章」でもお伝えしましたが、

  • 平成26年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64 歳)2.4人
  • 平成72年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64 歳)1.3人

と、徐々に現役世代では支えきれなくなるほどの高齢社会が到来します。

実際、平成72年のことは先すぎて予想すらできませんが、少なくとも少しづつ今よりも介護が大変になっていくのは間違いないといえます。

その最初の大波が団塊の世代です。

そして、現場で中心となるのは、今の若い世代です。

これから先、団塊の世代の方々が今の若い世代の方々と「ともに歩んでいけるような介護」ができないのであれば、今以上に虐待は増えていくと思います。

まとめ

私個人の考えでは、一日の介護業務うちのほとんどが、見る人によっては虐待として捉えるのではないか、と思っています。

高齢者の権利を無視した行為

無視とは、存在価値を認めないこと。また、あるものをないがごとくみなすこと。

【参考:コトバンク

高齢者の権利を無視した行為を虐待と判断するのであれば、高齢者の権利を無視しなければ虐待とはならないということです。

ですが、全てのナースコールに同時に対応することはできますか?

同じことを何度も要求してくる利用者の要望の全てに対応することはできますか?

転倒リスクの高い方が立ち上がったのであれば、リスクを回避するための適切な行動が介護職員には求められますが、そういった状況でも他の全ての利用者要望に対応することはできますか?

こういったケースは他にも山ほどあります。

どんなケースだとしても、それが高齢者の権利であるのなら、あるものをないがごとくみなすことはしてはならないのです。

上手な声かけをしても施設にいる利用者の中には認知症の方も多くいます。

声をかけない方が良い時もあれば、声をかけてる場合ではない状況の時、嘘も方便となる時もあります。

高齢者の要望や行動を制限させる行為

介護その仕事をしている方であれば、頻尿の利用者に手を焼かされるというのはよくあることではないでしょうか?

「今行って戻って来たところですよ」「またですか?」「今は手が離せないから、もう少しだけ待っててください」

頻尿の利用者によっては15分に1回くらいのペースでトイレに行く方も少なくはないと思います。

頻尿の利用者が自立した方で、ご自身一人で安全にトイレに行けるのであれば、何の問題もありません。

ですが、トイレが頻回で、すぐにフラフラと歩き出してしまうような利用者が全体の5分の1人以上いるだけでも、介護士としては他の利用者への対応もまともにできないだけでなく、日々の業務すらすすめることもできないようなアップアップした状態になるはずです。

こういったケースは他にも山ほどあります。

介護士が暴れる利用者の排泄交換時に、一時的にでも手を抑えるといったことは、ない話ではないと思います。

すぐにパンツの中に手を入れてしまう認知症の方に対しては、気がついたら便だらけだったといった事態を避けるために、介護士がその利用者の胸から膝までをシーツなどでクルクルと巻くことも、ない話ではないと思います。

そういった利用者に対しての方法も各施設で様々にあると思いますが、介護士も身体拘束にならないような方法を望み、日々創意工夫していると思います。

まとめのまとめ

  • 高齢者の権利を無視した行為
  • 高齢者の要望や行動を制限させる行為

これを虐待とするのであれば、虐待と判断されることは一切行っていないと胸を張って主張できる介護施設はあるのでしょうか?

あるのであれば、その施設は黒字になっているのでしょうか?

ある程度の余裕がなければ、理想から次第に離れていきます。

倫理を持って人を相手にする以上、ある程度のルールが必要なのは当然のことですが、もし全てを鵜呑みにしてしまったら結果的にどこかにしわ寄せがいってしまうのは目に見えています。

3分に1回のペースで介護士を呼び出す利用者もいれば、常に目が離せない利用者もいます。

安全のための優先順位を考えて行動していく上で無理なこともたくさんあります。

私はそういったルールを作らないでほしいと言っているのではなく、高齢者と介護士がともに歩んでいける超高齢社会に見合った形にしてほしいのです。

それは、虐待の文言、捉え方を変えろといった根本的なものではなく、理想と現実に乖離のない介護ということで、そのためには介護の現状を多くの方に理解してもらう必要があります。

半分以上の介護士が介護という仕事を続けていく上で、時折思うことはだいたい同じです。

「そこまでして続けていく必要はどこにあるのだろうか?」

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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