通所介護(デイサービス)のグレーゾーン

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通所介護、いわゆるデイサービスは、「利用者がデイサービス事業所に行き、そこで介護サービスを受け、夕方過ぎに自宅に戻る」というのが本来のサービス提供のあり方ですが、デイサービスによってはオプションとして「お泊りサービス」を提供しているところも多く存在しています。

この「お泊りサービス」とは、デイサービス事業所でデイサービスを受けたあとにそのままおろまりもできるというもので、私がデイサービスで働いていた3年ほど前は、結構なニーズがあったのを覚えています。

「お泊りサービス」は、利用される方の多くが特養の空き待ち状態の方であり、家族側にとってもデイサービス事業所側、双方にメリットがあるという画期的なサービスに思えましたが、実際のところはグレーゾーンをついた少々複雑なサービスだったのです。

デイサービスの実情
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お泊りデイ

宿泊もできるデイサービスは、「お泊りデイ」と呼ばれ、デイサービスを提供する事業所の3割はオプションとして「お泊りサービス」を提供をしていたのではないでしょうか?

何が問題だったのか?

デイサービスの大きな特徴として「日帰り」ということが挙げられますが、「お泊りサービス」は夜間帯を中心に提供されため、デイサービス本来の「介護保険サービス」とは大きな違いがあります。

つまり、介護保険を使うことができない「介護保険対象外」のサービスなのです。

介護保険サービスであれば、人員・設備・運営に関する基準を守らなければ「違反」となってしまいますが、介護保険対象外となれば、何のルールもないのです。

  • 何を目的としたサービスなのか?
  • 夜間は誰が見守るのか?
  • 夜間は何人まで泊まれるのか?
  • 最長でいつまで泊まれるのか?
  • 何かがあった場合はどうするのか?
  • 宿泊の費用はいくらなのか?

違反するとどうなるのか?

ここからは介護保険の支払いの仕組みを簡単に説明させていただきます。

介護保険を使える日中のデイサービスであれば、わずか1000円前後でそのデイサービスを利用することができます。

デイサービスを提供する事業所は、 利用者から利用料の1割である1000円 + 国から残りの9割である9000円 が支払われますので、利用者一人で10000万円の収益となるのです。

ここで極端な話をすれば、もしその事業所が違反をしていたとなれば、国から残りの9割である9000円が得られなくなってしまうのです。

ですので、違反とならないためにも人員・設備・運営に関する基準を守らねば事業所の運営を続けていけなくなってしまうのです。

実際のところってどうなの?

実際、どれだけのデイサービスがオプションとして「お泊りサービス」を提供しているのかという数字やデータに関してはこちらを御覧ください。

平成26年10月1日時点での厚生労働省より公表された事業所数

通所介護の事業所数
平成25年38127 事業所
平成26年41660 事業所

通所介護事業所(デイサービス)は、前年度の平成25年と比べ、3533事業所が増加した結果(9.3% ↑)となっており、今現在も緩やかな増加傾向にあります。

ですが、「お泊りサービス」を提供していると都に届出をした件数は、平成25年5月1日時点でわずか361件(東京都)しかないのです。

厚生労働省のデータで見る「お泊りデイの実態」
前回の記事「通所介護(デイサービス)のグレーゾーン」では、小規模デイサービスのグレーな部分である「お泊りサービス...

対策ってあるの?

厚生労働省より公表されている東京都の提案要求には、「お泊りサービス」を提供するデイサービスに対し、

  1. 通所介護事業所において自主事業として宿泊サービスを提供する場合に、基準等を設け、届出を義務付けること。
  2. 自主事業として宿泊サービスを実施する事業所に対し、立入調査や改善勧告等を行うことができるよう、法的な整備を行うこと。

という、具体的を要求を示しました。

そして法改正へ

  • 2015年4月に施行された改正介護保険法において、「通所介護事業所における夜間サービス等のガイドライン」の提示並びに届出・公表制度が開始されました。
  • 宿泊サービスの基準も、国による指針(平成27年4月30日付老振発0430第1号)の発出を受けて改正されました。

つまりどういうこと?

つまり、「宿泊サービスをするなら、違反はしていない証明を届け出てね」ということです。
では、介護保険法が変わる前と変わった後でどんなことが変わったのでしょうか?

それが、主に以下の6つの点になります。

  • 宿泊サービス提供日数に関わらず届出が必要
  • 緊急かつ短期的な利用に限定
  • 設備基準(個室以外の宿泊室の定員について)
  • 利用定員(通所介護利用定員の1/2以下かつ9人以下)
  • 居宅サービス計画に沿った宿泊サービス計画の作成と利用者の同意・交付
  • 事業開始前の届出

また、届け出をしないと指定通所介護事業所としての基準違反となってしまいます。

まとめ

東京都の平成28年3月1日現在のデイサービスの事業所数は3326件です。
そのなかのどれだけが「お泊りサービス」の届け出をしているのかという実際の状況ははっきりとはわかりません。

私が働いていた小規模のデイサービスでも「お泊りサービス」を提供していましたが、やはり、金額的なものもアバウトなら、緊急時に関しても、夜間の職員に関しても、定員数に関しても全てが利益重視の考えでした。

というのも、「お泊りサービス」を利用してくれる利用者は、そのままの流れで日中帯のデイサービスも当然利用することとなり、結果的に安定的な確保につながるので、「緊急かつ短期的な利用に限定」「通所介護利用定員の1/2以下かつ9人以下」といったことは一切守られていませんでした。

つまり、「お泊りサービス」の届け出をしっかりとしているかしていないかで、そのデイサービスは信頼ができるのかできないのかがわかるのです。

ここからは、家族側として注意すべきことと事業所側として注意すべきことをわけて簡単に説明させていただきます。

家族側として注意すべきこと

極端な話をすれば、「お泊りサービスの届け出はしてますか?」と聞くことが最も早いのですが、どうしても利用せざるを得ないといった状況の時には、以下の6つを確実に知っておくことをおすすめします。

  1. 夜間の職員はどうなっているのか?
  2. プライバシーの確保はできているのか?
  3. 宿泊スペースはしっかりとあるのか?
  4. 宿泊サービス計画はあるのか?
  5. 緊急時の対応はどうなっているのか?
  6. 利用料金はどうなっているのか?

特に、夜間の職員に関しては、私が働いていた小規模デイサービスでは、全くの未経験の者にさせていたということもありましたので、利用者への直接処遇に関する専門的知識や介護の提供に係る経験を有する者なのかは知っておく必要があります。

【参考:宿泊サービスの基準及び 届出・公表制度

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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