デイサービス開設を考えるなら知っておきたい「デイサービス運営の難しさとポイント」

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これだけ高齢者が増えてくると、「高齢者を対象としたデイサービス始めたら儲からないかな?」なんて考えたことはありませんか?

今では、その後押しをしてくれるコンサルタント会社なども出てきており、まるで「今始めれば儲かりますよ」と言わんばかりコメントやサイトも度々目にします。

というのも、小規模のデイサービスは、他の介護サービスに比べて初期投資が抑えられるといったメリットがあり、営利法人の参入が後を絶たないといったちょっとした開設バブル状態にありました。

街のあちこちでデイサービスを見かけるようになり、道では介護車両が何台か連なることも珍しいことではありません。

ですが、実際のところ、デイサービスってそんなに儲かるのでしょうか?
これについての答えは、実際にデイサービスの運営をしている方々に聞くのが最も手っ取り早いので、間違えても介護の現場経験のないコンサルタントの方などに聞いてはいけません。

今回の記事では、そんなデイサービスの運営の難しさについてを厚生労働省の資料をもとに説明させていただきます。

デイサービスを運営するなら知っておきたい「今後の動向とポイント」前編
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デイサービスの現状

まず知っておきたいのがデイサービスの現在の状態です。

デイサービスの概況

デイサービスの事業所数

平成26年8月に厚生労働省より公表された「平成27年度介護報酬改定に向けて」では、平成13年度末と比べ、介護報酬請求事業所数は約4倍に増加したとされており、なかでも小規模型事業所は平成18年から急激な増加がみられています。

  • 小規模型事業所:7,075事業所 → 21,218事業所(+約200%)
  • 通所介護全体:19,341事業所 → 39,196事業所(+約103%)

請求事業所数

事業所数の割合

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

デイサービスの利用者の数

  • 平成25年度末現在、通所介護の利用者は約173万人で、介護サービス利用者全体の概ね3人に1人が利用しているとされています。

通所介護の利用者数

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

  • また、デイサービスの事業所の規模別でみた利用者の割合では、約半数以上が通常規模のデイサービス、約3割弱が小規模のデイサービスに集中していることがわかっています。

事業所規模別に見た

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

デイサービスの費用額

  • 平成25年度の通所介護の費用額は約1.5兆円で、平成25年度費用額累計約8.9兆円の約16.9%を占めており、ここ数年は毎年約1,000億円ずつ増加しているということもわかっています。

費用額

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定に向けて

小規模デイサービスの転換期

もうすでにご存知の方もおられると思いますが、小規模デイサービスは大きな転換期を迎えています。

なぜかというのは、厚生労働省の2013年9月18日の社会保障審議会の議事録を見てみるとその理由がわかるのですが、この議事録はおもしろいものではないので、簡単に説明をさせていただきます。

デイサービスの問題

  • 利用者全体の約3分の1がデイサービスを利用している。
  • その費用額は1.4兆円と全体の15.6%を占めている。
  • 小規模の事業所については、その増加が顕著な状況にある。
  • お泊まりデイサービスについては、お泊まりの環境が十分でない等の問題点が指摘されている。

デイサービスの課題

  • 事業内容の自由度が高ので、事業内容を類型化し、それに応じた報酬を検討してはどうか。
  • 事業所が増加している小規模の通所介護は、少人数で生活圏域に密着したサービスであることから、地域との連携や運営の透明性を確保するために、市町村が指定・監督する地域密着型サービスに位置づけてはどうか。

簡単に説明すると

  • 財政をもとにした国の考える介護サービスの流れは、デイサービスの普及で大きく変わってきてしまっている
  • 小規模はデイサービスの中でも介護報酬が高く、その圧倒的な普及を考えると、やはり見直しが必要なのではないか?

ということであり、今後を考えたうえで、

  1. 小規模ならではの曖昧な部分をなくすこと
  2. もっと監視をしやすくすること
  3. 報酬をもう少し下げること

が必要とされ、改正介護保険法が施行される平成28年4月に大きく変わっていきました。

平成28年以降のデイサービスについて
通所介護、通称 デイサービスは平成28年4月から大きく変わっていきます。 それは、利用...

他の小規模デイサービスはどうなったのか?

東京都だけでも平成28年4月廃止が11件も確認されていますが、小規模デイサービスは廃止とせずに売却するケースも多く、あくまで東京都だけの数字ですので、氷山の一角としか今は言えませんが、全ての小規模デイサービスにとって大きな打撃となったことは間違いないでしょう。

で、実際のところ儲からないの?

もちろん、儲かるのか儲からないのかは、その運営の仕方に大きく依存します。
ここでは、厚生労働省より公表されている「平成26年 介護事業経営実態調査結果の概要」を参考にさせていただきます。

給与費割合の推移

通所系の3つの介護サービスの供与費の割合の推移をみていくと、通所介護が最も低いということがわかります。
ここでは通所系3つを比較しましたが、通所介護は全介護サービスでみても、3番目に「収入に対する給与費の割合」が低いということがわかっています。

収入に対しての給与費の割合

【参考:平成 26 年介護事業経営実態調査結果の概要

収支差率の推移

次にみていきたいのが、通所介護の収支差率です。
もともとは高い水準に位置していたが、他の通所系と比べ、下降傾向にあるということです。
ですが、ここでも通所介護は全介護サービスでみても、3番目に収支差率が高いことがわかっています。(収支差率=(収入-支出)÷収入)

収支差率

【参考:平成 26 年介護事業経営実態調査結果の概要

なぜ難しくなってしまうのか?

ここでは主な6つのポイントを挙げさせて頂きます。

① 利用者の数が安定しない

デイサービスの運営の難しさは、利用者の数が安定しないということが最も大きなポイントです。

施設サービスであれば、一度入所してしまえば、安定的に収入が得られるというメリットが有りますが、デイサービスは天候だけでなく、利用者の様態などにも左右されます。
また、デイサービスは「通い」がメインであり、終の棲家ではないため、様態によっては病院、状況によっては特養へと去ってしまいます。

② 無駄な人件費となることがある

利用者が安定しないとなると、やはり無駄な陣形人なってしまうタイミングが出てきてしまいます。
そこで人件費を削減しようと、人員を削ってしまえば、人員基準違反となることも考えられますし、今度は必要なときに人が足りないといった事態にもなりかねません。

「介護職員の人材不足」という言葉は一度は聞いたことがあるかもしれませんが、来ないときにはどうやってもこないほど、介護職員を集めるというのは難しいことです。

③ 他との競合

冒頭でも説明しましたが、これだけのデイサービスがあるなかで生き残っていくというのはそう簡単なことではありません。
オープンしたてであれば、営業もかけられますが、しばらくしたら営業に行くこともなかなか難しくなってしまいます。

どこのデイサービスもあの手この手を尽くしている中で、これといった魅力的なところがないのであれば、売り出そうにも決め手にかけてしまいます。

⑤ バランスが取れなくなってきている

厚生労働省より公表されている「平成26年介護事業経営実態調査結果」を見てみるとよく分かるのですが、平成20年・23年に比べると

  • 施設数は増加
  • 利用者1人当たりの収入は減少
  • 職員1人当たりの給与費は増加

ということがわかります。
つまり、年々、運営が難しくなっていっているのです。

⑥ 小規模だからこそのやりくり

ある程度大きな事業所であれば、変動率が小規模に比べ安定しているといえますが、小規模はコストパフォーマンスが悪いため、小規模事業所と通常規模型事業所のサービス提供1回当たりの管理的経費を比較すると、小規模型事業所は通常規模型事業所に比べ、7.6%高い結果となったことがわかっています。

管理的経費

通所介護の報酬・基準について(案)

まとめ

小規模のデイサービスの多くは営利法人がその運営主体となっています。
そして、状況が悪くなり撤退していく多くもまた営利法人です。

介護サービスは、「儲けよう」という気持ちが強ければ強いほど裏目に出てしまいがちで、感染症や事故、基準違反などが表沙汰となってしまい、より悪い結果につながってしまうといった結果も多いのではないでしょうか?

デイサービスの運営に関わったことのある方に「自分のお金で新しいデイサービスを作ってみたいと思いますか?」と聞いたとしたら、ほぼ間違いなく答えは「いいえ」なはずです。

それは、リスクに対してのリターンを考えると当然のこととも思えます。

ですが、もしそれでも「小規模デイサービスをやりたい」と思うのであれば、一つだけポイントが有ります。

それは、デイサービスを「2級地」に作ることです。

これは、厚生労働省より公表されている「平成26年介護事業経営実態調査結果」を見ていただければわかることなのですが、

介護料収入は他よりも少ないのですが、給与費がほかよりも低く、収入ー支出の差し引きは「2級地」が最も高くなっているのです。
他にも幾つかのメリットが有りますが、「1級地」よりも他の事業所と競いあわなくてすむ、家賃が低いというのはとても大きなことではないでしょうか?
「3級地」から「その他」まで他と比べてみてもわかるのですが、「2級地」の良さは不思議なほどです。

もっと詳しいデイサービスの実情
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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