データで見る特定施設入所者生活介護の経営実態

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特定施設入所者生活介護-3-2

特定施設入所者生活介護のデータって気になりませんか?
他の介護サービスと違い、特定施設入所者生活介護には「偏り」があります。

まず一つに、指定事業所数に偏りがあります。

指定事業所数

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護等について

そしてもう一つに、利用者の経済状況に偏りがあります。

  • 有料老人ホーム
    老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって厚生労働省令で定めるものの供与をする事業を行う施設
  • 養護老人ホーム
    環境上の理由、及び経済的理由により、家庭での生活が困難な65歳以上の高齢者を入所させて、養護することを目的とする施設
  • 軽費老人ホーム
    家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な高齢者が低額な料金で入所し、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を受けることができる施設

【参考:全国老人福祉施設協議会 老人福祉施設・事業所とは

養護老人ホームには「経済的理由」、軽費老人ホームには「低額な料金」といった利用者の経済状況に関わる文言が使われていますが、有料老人ホームには「その他の日常生活上必要な便宜」といった文言が使われています。

では、統計は一体どういったものになるのでしょうか?

ここからは、厚生労働省から公表されているいくつかのデータをもとに、特定施設入所者生活介護の経営にかかわることを簡単にまとめてみたい思います。

特定施設入所者生活介護のサービスの内容につきましては、「特定施設入居者生活介護の内容とポイント」をご覧ください。

受給者に関して

受給者数

特定施設入居者生活介護等の受給者数(1月あたりの平均)の推移
受給者数

特定施設入居者生活介護等の受給者数は、一貫して増加傾向にある。
要介護者を対象としたもののうち、規模の大きな「一般型」は約97%、規模の小さな「地域密着型」は約3%という状況。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

受給者と要介護度

特定施設入居者生活介護の受給者の実態特定施設 受給者割合

特定施設入居者生活介護等の受給者は、特定の区分に偏らず、要支援1から要介護5まで広く分布している (平成24年度)。
平均要介護度は、介護保険制度の創設直後は高かったが、H15年度以降は下落し、特定施設入居者生活介護の見込み量に応じて指定するかどうかを判断するようになったH18年度以降は重度化傾向にある。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

利用状況

年齢別・特定施設入居者生活介護の利用状況 特定施設 利用状況-2

特定施設入居者生活介護等の利用状況は、80代が約5割、90代が約3割。
給付対象サービス全般の利用傾向に比べて、特定施設入居者生活介護等の利用者は高齢化している傾向にある。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

退去者の状況

特定施設における退去者の状況 特定施設 死亡場所

特定施設入居者生活介護における退去者のうち、約2割が施設内で死亡、約3割が病院等 で死亡、約2割が病院等へ入院している。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

入居率

特定施設入居者生活介護の入居率について 入居率

特定施設入居者生活介護の入居率平均は88.8%となっており、入居率が80%未 満の施設の割合は18.8%となっている。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

入居率の変化

特定施設入所者生活介護の入居率の変化入居率の変化

入居率の変化において、「前年に比べて、上昇している」と回答した事業所の割合(18.3%) よりも、「前年に比べて、減少している」と回答した事業所の割合(20.0%)の方がやや多くなって いることや、前回調査と比べ、「前年とほぼ変わらない」事業所の割合が 6.0 ポイント減少(64.8% →58.8%)し、「前年に比べて、減少している」事業所の割合が 9.7 ポイント増加(10.3%→20.0%) していることも合わせて考えると、入居率を維持できない事業所が増えていることがうかがわれる。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

特定施設入所者生活介護の経営主体及び事業所立地の状況

請求事業所数

特定施設入居者生活介護等の請求事業所数(1月あたり)の推移請求事業所数

特定施設入居者生活介護等の請求事業所数は、一貫して増加傾向にある。
「介護予防」については、受給者数に比べて請求事業所数が多いが、自立から要介護5までの入居者を幅広く受け入れる体制を整えるため、「介護予防」と「一般型」の両方の指定を受けている事業所が多いことによるものと考えられる。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護

類型別の施設数・事業所数の推移

類型別の施設数・事業所数の推移事業所数の推移

有料老人ホームについては、施設数が急激に伸びている一方で、指定事業所数の伸びが小さい。軽費老人ホーム・養護老人ホームについては、 施設数も指定事業所数もほぼ横ばい。
類型別の指定状況の割合は、ほぼ一貫して、 (有料):(軽費):(養護)=約75%:約10%:約10%の関係となっている。

【参考:厚生労働省 特定施設入居者生活介護等について

経営主体

特定施設入所者生活介護の経営主体特定施設入所者生活介護 経営主体

  • 株式会社     :74.7%
  • 有限会社     :5.8%
  • 社会福祉法人   :13.4%
  • 医療法人     :2.7%
  • 財団法人・社団法人:0.9%
  • その他      :2.3%

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査報告書

事業所立地の状況

特定施設入所者生活介護の事業所立地の状況級地区分別事業所立地

  • その他:22.2%
  • 三級地:19.7%、
  • 四級地:14.5%
  • 一級地:13.8%
  • 六級地:13.7%
  • 五級地:12.7%
  • 二級地: 3.4%

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

土地・建物の状況

土地の所有形態

特定施設入所者生活介護の土地の所有形態土地の所有形態

土地の所有形態は、「全部賃借」が59.7%を占め、「全部自己所有または無償貸与」は、28.3%、「一部賃借」は10.0%となっている。
前回調査と比べると、「全部賃借」の割合は概ね横ばいであるが、「全部自己所有または無償貸与」の割合が5.6ポイント減少し、「一部賃借」の割合が5.6ポイント増加している。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

建物の所有形態

特定施設入所者生活介護の建物の所有形態建物の所有形態

建物所有形態は、「賃借・無償貸与」が45.9%、「自己所有」が38.7%となっている。
前回調査と比べると、「賃借・無償貸与」の割合が16.8ポイント減少し、無回答の割合が14.7ポ イントと増加している。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

施設種別の状況

施設種別 土地の状況

施設種別土地の状況施設種別土地の状況

施設種別土地の状況では、軽費老人ホームでは「全部自己所有または無償貸与」の割合が 78.8% に上る一方で、有料老人ホームでは、「全部賃借」が 65.8%に上り、事業モデルが異なることが分かる。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

施設種別 建物の所有形態

施設種別建物の所有形態施設種別建物の所有形態

施設種別の建物の所有形態でも、軽費老人ホームでは「自己所有」が 91.7%に上る一方で、有料老 人ホームでは「賃借・無償貸与」が 51.0%に上る。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

施設種別 入居率

施設種別入居率施設種別入居率

施設種別にみると、有料老人ホームよりも軽費老人ホームの方が入居率が高い傾向が見られた。

【参考:全国特定施設事業者協議会 平成25年特定施設経営概況等調査 報告書

特定施設入所者生活介護の経営

特定施設入所者生活介護の経営に関しては、厚生労働省より公表されている平成26年介護事業経営実態調査結果の概要をもとに説明していきます。

平成26年介護事業経営実態調査結果

経営実態調査とは、職員給与収入の状況支出の状況などを調査項目とし、33,339の施設・事業所を対象とした厚生労働省より行われている毎年の調査です。

特定施設入居者生活介護の状況について
調査客体数1,226
有効回答数528
有効回答率43.1%
利用者1人あたり収入 (1日あたり)13,362円
利用者1人あたり支出 (1日あたり)11,734円
収入に対する給与費の割合39.9%
収支差率12.2%

特定施設入居者生活介護 過去の調査結果との比較
収入に対する給与費の割合収支差率
平成26年実態調査39.9%
12.2%
平成23年実態調査49.0%3.5%

特定施設入居者生活介護(総括表)実態調査1

【参考:厚生労働省 平成26年介護事業経営実態調査結果

特定施設入所者生活介護の収支差について

収支差率の推移

介護事業経営実態調査における収支差率の推移 介護事業経営実態調査における収支差率の推移

【参考:平成26年介護事業経営実態調査結果の概要

収支差率分布

特定施設入所者生活介護の収支差率分布収支差分布図

【参考:厚生労働省 平成26年介護事業経営実態調査結果

特定施設入居者生活介護の収支差率が高い理由

ここからは、全国特定施設事業者協議会より公表されている「2015年度介護報酬改定に関する留意点」より、「特定施設の収支差率の分析・評価」の一部を抜粋して説明させていただきます。

特定施設全体の経営状況

介護事業部分だけでなく、不動産賃貸事業を含めた、特定施設全体の経営状況を示していること。
平成23年と平成26年を比較すると、介護事業以外の収入が増加しており、介護報酬が高すぎるわけではない。

借金返済・累積赤字の解消が必要であること

特定施設事業には、以下の2つが必要である。

  1. 不動産投資
  2. (入居率が低い時点からの)職員配置

入居率が安定した時点で、借金返済・累積赤字の解消を行っているための一定の利益を確保する必要がある。
また、土地の購入費用は減価償却されず、収支に反映されていない。

事業継続が、入居者との最重要の契約事項であること

経営破たんによる「介護難民」は最悪の事態であり、今後も人件費・物価の上昇が見込まれる中、 入居率に応じた損益分岐点を越え、一定の利益を確保することとしている。

課税法人が多く、この収支差率から法人税等を支払うこと

この収支差率から法人税等を支払い、その残余により借金返済等や将来の投資(増改築)に充てられる。社会福祉法人の内部留保問題とは別問題である。

【参考:全国特定施設事業者協議会 2015年度介護報酬改定に関する留意点

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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