迫り来る介護業界の暗黒期「団塊の世代」介護業界への影響編

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ここまで2回にわたり「団塊の世代」に関わる高齢化の状況などを説明させていただきましたが、今回の記事、「介護業界への影響編」をもって「団塊の世代」についての説明を完結とさせていただきます。

私は今現在、現場の介護士ではありませんが、度々現場に出ては直接的な介護にできるだけ関わるようにしています。
ですが、あと数年もしないうちに、私は介護業界から離れようと考えています。

正直なところ、「団塊の世代」の方の介護には関わりたくはないのです。
そしてこれは、数年前から考えていたことでした。

「団塊の世代」とは、

  1. 1947年(昭和22年)→2016年現在:満69歳
  2. 1948年(昭和23年)→2016年現在:満68歳
  3. 1949年(昭和24年)→2016年現在:満67歳

主に以上の3つの年に生まれた方を指す言葉ですが、この3年間だけではなく、このあたりに生まれた方々も私としては「同じ世代」に思えています。
前々回の記事「迫り来る介護業界の暗黒期「団塊の世代」特徴と説明編」で、団塊の世代の方々の特徴については説明をさせていただきましたので、現場で働く方であれば、なんとなくは理解していただけるかとは思っています。

ただ、この世代の方の介護にはどうしても関わりたくはないのです。

現場から離れていれば、いくらでも綺麗事は言えますし、立派な理想も掲げられますが、それではただの現場も知らないで介護を語るメディア関係者か、どこかのコンサルタントのようになってしまいます。

本当に現場に関わってきたからこそ心底そう思うのです。

ということで、今回の記事では、団塊の世代が高齢化することで介護業界にはどんな影響があるのかを説明させていただきます。

「団塊の世代」の健康と介護

まず見ていきたいのが、内閣府より公表された「平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果」と「平成27年版高齢社会白書」で、これらをまとめて見ることで今後の介護が少しだけ見えてくるのではないかと思っています。
平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果」は、平成24年のものですが、現在すでに65才以上となる「団塊の世代」を対象にした質問形式の調査で、「平成27年版高齢社会白書」は65才以上の高齢者を対象とした調査となっております。

あなたの健康状態はいかがですか?

  1. とても健康である:11.8%
  2. まあ健康である:65.7%
  3. あまり健康でない:15.7
  4. 健康ではない:4.7%

健康状態

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

万一、あなたが治る見込みのない病気になった場合、延命治療を望みますか?

  1. 望まない:94.8%
  2. 望む:3.6%

延命治療

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

65 歳以上の高齢者の主な死因別死亡率の推移

高齢者の死因となった疾病をみると、高齢者人口10万人当たりの死亡数を表した死亡率では、2013年において、以下の様な順になりました。

  1. 悪性新生物(がん):947.0
  2. 心疾患:561.0
  3. 肺炎:375.0

死因別死亡率

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

65歳以上の要介護者等の性別にみた介護が必要となった主な原因

  1. 脳血管疾患:17.2%
  2. 認知症:16.4%
  3. 高齢による衰弱:13.9%
  4. 骨折・転倒:12.2%

となっていおり、男性の「脳血管疾患」 が26.3%と特に多くなっていることがわかります。

介護が必要となった主な原因

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

介護が必要になった場合の費用負担に関する意識

  1. 特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う:42.3%
  2. その場合に必要なだけの貯蓄は用意していると思う:20.3%
  3. 子どもからの経済的な援助を受けることになると思う:9.9%
  4. 貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う:7.7%
  5. 資産の売却等でまかなうことになると思う:7.4%

費用負担に関する意識

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

あなた自身が介護を必要になった場合、主に誰に介護を頼むつもりですか?

  1. 配偶者:40.7%
  2. 施設や病院等の職員・看護師等:18.7%
  3. ホームヘルパーや訪問看護師等:15.5%

誰に介護を頼むか

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

要介護者等からみた主な介護者の続柄

要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、「同居している人」が主な介護者となっており、その内訳としては、以下のようになっています。

  1. 配偶者:26.2%
  2. 子:21.8%
  3. 子の配偶者:11.2%

また、 性別については、男性が31.3%、女性が68.7%と、圧倒的に女性が多くなっており、要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかります。

介護者の続柄

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

もし、あなたの身体が日常生活を送る上で介護が必要になった場合、どこで介護を受けたいですか?

  1. 自宅:38.2%
  2. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):16.1%
  3. 病院などの医療機関:12.4%
  4. 介護老人保健施設:8.6%

どこで介護を受けるか

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

介護・看護を理由に離職・転職した人数

内閣府の調べでは、わずか1年間で家族の介護・看護のために離職・転職した人の数は、約10万人いたとされています。
なかでも、女性の離職・転職数は約8万人で、全体の80.3%を占めていることがわかっています。

介護・看護を理由に

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

介護・看護を理由に離職・転職した人の年齢構成割合

また、男女・年齢別にみると、男女共に50代及び60代の離職・転職がそれぞれ約7割を占
めているということもわかっています。

年齢構成割合

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

同居している主な介護者の介護時間

同居している主な介護者の介護に要している時間(1 日のうち)をみると、

  1. 必要な時に手をかす程度:42.0%
  2. ほとんど終日:25.2%

となっており、要介護度別にみると、介護度に比例して「介護にかける時間」も増えていることがわかります。

道京している主な

【参考:内閣府 平成27年版高齢社会白書

高齢者に対する政策や支援のうち、あなたが今後特に力を入れて欲しい政策や支援はありますか?

  1. 介護や福祉サービス;68.4%
  2. 医療サービス;60.3%
  3. 公的な年金制度;58.3%
  4. 働く場の確保;15.6%

制作や支援

【参考:内閣府 平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査結果

まとめ

今現在の高齢者でも、ワガママな方・無茶な要求をしてくる方・職員をこき使うような方・いじわるをしてくる方などはたくさんいますが、優しく接してくれる方もいれば、どこか職員を思いやってくれるような方も当然多くいます。
その背景には、やはり「戦争を生き抜いた」という同じ日本人の助け合いの精神と和の心があるからなのではないでしょうか?

もうすでに、戦後生まれの方が介護サービスを少しづつ利用しており、幾つかの施設でも珍しいことではなくなってきました。
実際にそういった方の介護を担当をして嫌な気持ちになったことは数名程度しかありませんが、街にいる65歳前後の方などをみていると、挨拶すらできないような方や横暴な態度の方などを本当に多く見かけます。

「ありがとう」などの感謝の気持ちや気遣いは、本当にちょっとしたことですが、現場で介護に携わる者にとっては「本当の介護」を忘れないための大切な出来事です。

ここで話は少し変わりますが、「世代間闘争」「世代間対立」という言葉はご存じですか?

ここにはいくつかの考え方がありますが、主に、年功序列・終身雇用に守られてきた「団塊の世代」と、就職難・安月給に悩む今の若者の対立を表した言葉です。
つまり、「団塊の世代」の方が介護を必要とした時、サービスの提供をするのはその若者になるということです。

今の50代くらいの方は「団塊の世代」が少し上の世代ということもあり、接し方が上手に思えますが、大きく離れた「団塊チルドレン」や「ゆとり世代」などでは、生きてきた背景があまりにも違うため、なかなか思うように理解し合えないのではないかと思っています。

私の予想する今後の介護は、虐待問題の悪化、離職者の増加です。

「団塊の世代」の方の世間的なイメージで最も多いのは「頭がかたい」「頑固」とどこかのサイトで見ましたが、今後の介護は現場・事業所側だけでなく、利用者側も柔軟にならなければ、絶対にどこかにその歪が来てしまいます。

高齢者に関しての興味深い話 第1章」でもお伝えしていますが、今現在で 4人に 1人が 65歳以上であり、10人に 1人は 75歳以上という世界でも類まれな超高齢化社会です。
そして、高齢者 1人を 15~64歳までの現役世代 2.4人で支えている時代です。

人口的にも財政的にも高齢者でパンク寸前の日本の今の状況、人材不足が深刻化する介護業界、そして介護そのものを見直すためにも、介護をする人間だけでなく高齢者も「共存」を考えることが必要なのではないでしょうか?

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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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コメント

  1. なんでやねん より:

    驚きました。介護に従事した方でなければ思いもつかない、実に当を得たご意見です。介護をする人間と介護される高齢者の共存は、本当は今でも考えられていなければならない、潜在的な問題でしょう。福祉の理念を介護する側に押し付けることによって、合法的に介護者の人権が損なわれ、うやむやにされている人間関係の矛盾が、多くの人を傷つけている。私見ですが、ユーモアの無い対人関係は苦痛でしかない。仕事であっても、それを我慢できるほどの待遇は今後とも得られない。

    • kumo より:

      コメントありがとうございます。
      とても嬉しいご意見で、参考になります。
      私のサイトは内部から見た介護であり、一般理想論でないため、色々と批判も多く、継続に疲れていました。
      このようなご意見をいただけて、本当に嬉しく、本当に感謝してます。
      ありがとうございます。