訪問介護と深い関わりの「20分未満の身体介護」利用者データ編

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前々回の記事「訪問介護と深い関わりの20分未満の身体介護 説明編」では、訪問介護とは切っても切り離せない関わりの「20分未満の身体介護」についての説明、平成27年度の介護報酬改定後の要件などを説明させていただき、前回の記事「訪問介護と深い関わりの20分未満の身体介護 事業所データ編」では、「20分未満の身体介護」を提供する事業所に関してのデータをまとめさせていただきました。

今回の記事でも、厚生労働省の資料をもとに「20分未満の身体介護」に関わるデータをまとめさせていただきます。

【参考:厚生労働省 短時間の身体介護の提供状況
【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

訪問介護と深い関わりの「20分未満の身体介護」説明編
訪問介護に携わっている方ならご存知かと思いますが、訪問介護では「20分未満の身体介護」という介護サービスが存在し...

「20分未満の身体介護」の利用者に関わるデータ

「20分未満の身体介護」の算定要件は、平成27年度の介護報酬改定の前と後で異なりますが、これから紹介するデータは全て、平成27年度の介護報酬改定の前のものになります。
ちなみに、平成27年度の介護報酬改定後のデータは今現在ではまだ公表されておりません。

「20分未満の身体介護」の簡単な説明

平成24年の介護報酬改定で創設された「20分未満の身体介護」ですが、平成27年の介護報酬改定で幾つかの点が変更されました。

変更となった大きなポイントは、主に以下の3つです。

  1. 通常の訪問については、全ての訪問介護事業所において、要介護度に関わらず算定できる。
  2. 頻回の訪問については、当該訪問介護事業所が定期巡回・随時対応型訪問記顎看護を行う場合等に算定できる。
  3. 日中と夜間・深夜・早朝お算定要件を共通として上で、算定対象者を見直し、要介護1及び2の利用者については、認知症等により、短時間の身体介護が定期的に必要と認められる場合には算定を可能とする。

通常

頻回の介護

【参考:厚生労働省 平成27年度介護報酬改定の概要

短時間の身体介護の提供状況

「20分未満の身体介護」の提供は、平成24年の介護報酬改定で創設され、平成27年の介護報酬改定で変更されました。
つまり、「20分未満の身体介護」は、その時期によって算定の要件が異なっています。

訪問介護の利用者数

前回の記事「訪問介護と深い関わりの20分未満の身体介護 事業所データ編」でも説明させていただきましたが、「20分未満の身体介護」の提供にはいくつかの障壁があり、要件を満たさなければならいないことから、サービスの提供には制限がありました。
ですが、平成27年度の介護報酬の改正までは、算定事業所の1事業所あたり訪問介護利用者数平均は、57.6人(要支援含む)と意外に多いことがわかっています。

訪問介護の利用者数

【参考:厚生労働省 短時間の身体介護の提供状況

「20分未満の身体介護」利用者の要介護度別割合

要介護状態であっても、誰もが使えるわけではない「20分未満の身体介護」ですが、実際、要介護度別で見るとどうなっているのでしょうか?

以下のデータからもわかるように、利用者の内訳としては、要介護4~5が合わせて60.9%を占め、重度者の割合が高いことがわかっています。

20分4

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

「20分未満の身体介護」のサービス内容 (要介護1・2)

要介護1及び2の利用者については、認知症等により、短時間の身体介護が定期的に必要と認められる場合のみ「20分未満の身体介護」を利用できるとされていますが、要介護1及び2の利用者に行われる「20分未満の身体介護」は、一日の節目を作るタイミングで利用されていることが多いことがわかります。

(利用者1人あたり訪問回数/日)20分5

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

「20分未満の身体介護」利用者の住居の形

「20分未満の身体介護」は、重度者が主に利用していますが、そういった方はどこで「20分未満の身体介護」を利用しているのでしょうか?

利用する場所である住居は、「外部サービス利用型(有料老人ホーム等)」が46.5%、「サービス付高齢者向け住宅」が22.6%とされており、これは集合住宅以外での利用が進んでいないということでもあります。

20分6

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

利用者1人あたり訪問回数(1週間)

1週間における利用者1人あたり訪問回数を見てみると、「20分未満の身体介護」の利用回数は、持ち家・サ高住ともに半数以上を占めており、やはり集合住宅であるサ高住が持ち家よりも多く利用されていることがわかります。

利用者一人あたり2

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

「20分未満の身体介護」の時間帯別利用パターン

では、「20分未満の身体介護」は主にどの時間帯に行われているのでしょうか?

算定要件が設けられている日中時間帯に利用がある者は約2割であり、早朝、夜間、深夜の時間帯のみ利用している者が約6割であることがわかっています。

20分3

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

「20分未満の身体介護」利用者への効果【利用者票】

利用者にとっての効果としては、持家の場合は「家族の負担軽減につながった」「本人・家族の安心感が高まった」が多く、サービス付き高齢者向け住宅等では「1日の生活リズムが整った」「本人・家族の安心感が高まった」が多く、これらから住居形態による差があるということがわかります。

20講下

【参考:厚生労働省 訪問介護の報酬・基準について

 まとめ

今回、「20分未満の身体介護」の記事を書くうえで、厚生労働省より公表されている幾つもの資料をみていたのですが、「20分未満の身体介護」が誕生するまで、提供できる基盤がかたまるまで、そして浸透するまでにはたくさんの方の思いがあったように思いました。

サービスを受ける側にとっては「ありがたいサービス」ですが、提供する側は、主に深夜・早朝がその時間となっており、職員のことを考えると提供に至るまでにはある程度の批判なども受けていたのではないでしょうか?

介護サービスは、準市場であり「元が取れる」商売とは大きく違います。
ましてや、介護ができる環境が整っていないところに20分未満のサービスを提供しに早朝・深夜に訪問しなければなりません。

サービスを受ける側の利用者の中には、早朝・深夜ということもあり、サービスを提供する介護士を受け入れてくれないような方も多くいたと思います。

強いニーズがあり、大切なサービスであることは間違いのないことですが、私としては、正直なとこと介護士に同情してしまうところがあります。

私個人の意見では、今もし働いている施設から「訪問介護員として20分未満の身体介護をやってくれないか?」と聞かれたら、多分断ります。
そもそも、もう早朝・深夜に働きたいとは思いませんし、

  • 20分未満でサービスを終えられるのか?
  • その前後の給料はどうなっているのか?
  • 勤務形態はどうなるのか?

など、幾つもの不安要素が出てきます。

こういったサービスがあるからこそ今の介護業界がうまいこと支えられているのではないでしょうか?

訪問介護と深い関わりの「20分未満の身体介護」事業所データ編
前回の記事「訪問介護と深い関わりの20分未満の身体介護 説明編」では、訪問介護とは切っても切り離せない関わりの「20...
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kumo

他も見てみたいという気持ちから特養、有料、ショート、デイ、訪問入浴で働いてきました。 特養では介護職として、デイサービスでは立ち上げから運営、そして現在は都内の施設で現場もこなす生活相談員として働いています。 自分の家族介護と介護士としての介護の経験が少しでも介護に悩む方の力になれたらと願っています。
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